表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

第2話 わかった、わかったから!

「おお、そういえば自己紹介がまだだったな。わしの名はトロイ、見ての通り魔導士じゃ」


 ツッコミどころ満載である。

 え、何いきなり自己紹介始めているの?この空気読めないの?こっちはもう完全に逃げ腰なんだけど?

 トロイ?……この姿に擬態して何かやらかす気なの?

 見ての通り、って、あなた鎧ですよね?鎧が魔導士なの?

 そもそも、どうして鎧がしゃべってるのよ?

 どう考えても、「トロイ」じゃなくて「呪い」だろ、もう。


 過去の輝かしい戦歴を語るトロイをよそに、ラケルはそっと宝箱の蓋を閉じた。隙間から、引き続き熱く語るトロイの声が聞こえてくる。真っ暗な箱の中、語り続ける鎧……不気味だ。

 ラケルはゆっくりと宝箱の前から後ずさる。


「そこでわしは……ん?なに蓋とじとるんじゃあ!」


 蓋が閉じられていることに、トロイがようやく気が付いたようである。……確かに「とろい」な。


「おぉい、またんか。このっ、待てというに」


 宝箱がずりずりとにじり寄ってくる。ちょ、なんでこっちが逃げようとしているのが分かるの?しかも、まるで見えているかのようにこっちに一直線に向かってくるし。

 動くときの振動で、蓋が開いたり閉じたり……お前はミミックか!


 もうなりふり構ってられない。ラケルは走って逃げだした。

 ……これぐらい逃げれば大丈夫かな。ラケルはもと来た方向を振り返り、()()を見た。


 宝箱が、蓋をがたがた開け閉めしながら、ぴょんぴょん飛び跳ねつつこっちに向かってくる姿を!


 ……お前、完全にミミックだろう!いや、ミミックより怖いわ!


 もう完全に理解できた。ラケルに逃げ切れるわけがない。ラケルは速く走れるわけでも、体力があるわけでもない。一方、宝箱は()()()わけでもなく()()()わけでもなかった。

 断頭台で執行時刻を待つ死刑囚の心境で、宝箱が来るのを待つ。


「なんで逃げる?」


 いや、普通逃げますよね?……というか、蓋をかぱかぱしながら話すのやめてください、ミミックにしか見えません。


「まあ良い、わしとパーティを組もう……そういえば、おぬしの名を聞いていなかったな?」


 あ、これ、絶対に教えちゃいけないやつだ。

 しかし、名前も知らない、初対面の人間とパーティ組もうなんて正気か。しかも鎧(……宝箱?)が。


「え、えーと、僕は……ノロイ?」

「自分の名前を名乗るのに、どうして考えたり、疑問形にする必要があるのかはわからんが……」


 偽名を名乗ろうにもとっさには何も浮かんでこなかったんだからしかたないんだよ。しかし、我ながらよりにもよってノロイかよ。


「まあ、良い。我々はこれから一緒のパーティだ、よろしくな、ラケル」


 いつの間にかパーティ結成されちゃってるよ……って、どうして名前知ってるの!?

 誰か助けて……と周りを見渡しても誰もいない。

 そうでした、あのダンジョンは素人でも攻略できるとの噂で、だから攻略できてもほとんど旨みはなく……そんなダンジョンに人が集まるわけもない。当然のように、周辺一帯には人っけが全くない。

 誰の助けも期待できない、逃げ場はどこにもない、目を付けられた、なぜか個人情報まで握られてしまっている……詰んだ……。


「さあ、わしを着るがよい!」


 いや、どう考えても呪われるよね、これ?


「どうした、早くしろ」


 ラケルはやけになって叫んだ。


「わかった、わかったから!」


 ……でもパーティを組むとは言ってない。

相変わらず短い上に話が進んでいない。

「お前……いいかげんにせんと、いくら温厚なわしでも切れるぞ」

トロイ、こんなところにまで……。お前はウィルスか!

「いいから、さっさと話を進めろ!」

わかった、わかったから!

……でもすぐ書くとは言ってない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ