第五話 『僕の人生終了…』
「……あ〜あ、行っちゃった。あっはは。仕方ないあいつから通話神器を通して連絡を待つしかないね。」
初めて僕の世界への転生者があいつでよかった。
「短かったけど…楽しかったよ沙夜。あっ、そういやここから監視できんじゃん。てか僕の世界を監視・管理するのが僕の仕事だった。えっへへ、あいつのせいで忘れてた。」
さて、あいつは………あ、魔王の準補佐官じゃん!あいつ大丈夫かな?たいして実践も積んでないのに……
「お〜い、私用人達〜。耳笹持ってきて〜?あとケーブルも〜!」
少しして椅子の陰から魔王城の騎士共が着てそうな装備をした私用人達が出てきた。
「うわあ、いきなり椅子の陰から出てくるなよ。」
「すみません。私は陰からしか出れないため…」
「ああ、それはわかってるの。え〜とクルテ。それに…服装どうしたの?」
そう言って僕は私用人達のクルテを足元から頭の…いや角の先まで見る。やはりいつもと服装が全くもって違う。
「あ、これはですね…ナイネイ様に秘密のつもりだったんですけどね…私は魔王城にスパイとしていま潜入しています。あ、頼まれていた品です。」
なるほど…魔王城にスパイとして入っていた…か。それにさっき頼んだ耳笹とケーブル……!?
「あ〜!!前魔王の手下に奪われた武具!!ほわ〜!ありがとう!クルテ。」
「いえいえ、ナイネイ様にはいつもお世話になっておりますゆえ。」
「……っそ。え〜と魔王城へのスパイ任務をクルテ。貴方に命じます。貴方の成果に期待させていただきますね。」
「滅相もない…顔をお上げくださいナイネイ様。私は貴方の私用人達です。お気に召すまま。」
そう言ってドレスの裾を持ち一礼し陰に消えていった。
「さ〜てと、あいつはどうなったかな〜?魔王の準補佐官に会ってたけど…会話を盗み聞きしてやる〜いっひひ。」
ケーブルを足元と耳笹に刺し耳笹を耳の近くに寄せる。するとあいつの声が聞こえてきた。
『え…う〜んここから、東の町かな?他は村と国しかないし。』
『ソウカ。ヨシ、イコウゼ!』
……東の町……か…確かあそこには…うん!冒険主義会がある!そこで冒険者登録すれば…任務や遺跡散策もできるしパーティを組む事だって容易い。
「ナイス、沙夜。」
つい心の声が出てしまった…幸い1人だから誰にも聞かれなかった…はずだった。肩を突かれて振り向いた瞬間。僕は、僕の平和な人生は終わったんだと悟った。




