第一話 禍々しい空間
人物紹介(的な奴。)
紗夜
この物語の主人公。転生前は無職(高校3年生の不登校生)。
アステット・グー・ロッド
謎の神。紗夜がいた世界『フロッド』が管轄。紗夜を転生させるのもこの者である。
ナイネイ・グー・ロッド
アステット・グー・ロッドの妹。紗夜が転生する世界の管轄。
俺は紗夜。しがないことに、俺はアルバイト。
別に子供の頃なりたかった職業はなかった。
まぁ、夢がない奴なんて殆どがアルバイトになるんだけどな。
こう、夢を実行できるやつは尊敬できる。
なぜこんなことを思い出したかって?それはここが…異世界だからだ。
俺は俗に言う転生っていうのに運良く?悪く?したってことになる。まぁ、選べる権利はあったんだがな。転生した原因は…多分あれだろう。てかこれしかないとは思うが…
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ある日俺は食料が底をつきかけた。そのため俺は近くのコンビニに行った。向かってる途中道路のど真ん中で毛づくろいしている犬が居た。何やってんだよ!と思って通り過ぎようと思った時車の音が後方から聞こえた。
まあ、結構遠かったし助かるだろうと思っていた。
だがその犬は道路から動く気配がなかった。それで危ないと思い犬を助けようと道路に出た。
意味のない行動だったが…その犬はなんとも思わず車が目と鼻の先のようなところにいるというのにずっと
優雅に毛づくろいをしている。
「おい!そこの犬!あぶねぇぞ!!!逃げろー!!」
大声をあげても犬は見向きもしなかった。逆に車を見てビクビクと震え上がり逃げる様子はない。久しぶりに走った感覚はなんとも自分の体が鉛のように感じられた。犬をあと少しで触れ、助けられそうなところで犬は野生の本能…生きる本能を思い出したのか素早く逃げていった。俺は呆然としてしまいそのまま車に惹かれた。こうして俺の17年間の人生が終わるのか…と思っていた。だが俺は謎の禍々しい空間に飛ばされた。
そうか…ここが地獄か、とまで思った矢先…奴が現れた。「…こんばんは?いえ、こんにちは。ですね。こんにちは。貴方は、転生者となるかこのまま死者となるか選べます。どうします?転生者になられますか??」
「……お前は誰だ?ここは……何処だ?地獄か?」
多少の混乱はあるが落ち着いて平静を装う。そして奴の返答を待った。少しにこりと微笑み質問に答え始めた。
「私は………いえ、貴方が選択してから名前をお伝えしましょう。ここは生の場でもなく死の場でもないただ神の監督下。ここからこの世界について監視することができます。
昔は人々の占いで助言をしていましたが…占いをする者たちが減り結果誰もいなくなり助言の手段がなくなってしまいました。さて、この話はおいておきましょう。ここが地獄…か。ですね…先程も言いましたが神の監督下の場。ここをスルーさせていつも私が地獄に行かせるか、極楽浄土…言わば天国と呼ばれる場所に行かせるかを決断しているのは私です。そして、なぜ貴方をスルーさせなかったかというと貴方の死があまりにも悲しく…もったいなく感じたのです。
なので貴方は転生するか…死んで……判決は内緒ですので言いませんが…どちらが良いですか?と選択させるためにスルーさせなかったのです。よろしいですか?」
……情報量が多くてなんとも言えない、だがそのまま死ぬか別の世界で新たな人生をするか選択する権利が俺にはあるという事だけわかった。そしてここは神の監督下…ということはこいつは神ということになる。こいつって言うと罰当たりそうだな…よし、名前がわかるまで謎の神と呼ぶことにするか。だがこのことを知って少し気になった一つ質問してみることにした。
「……考える猶予はあるか?」
どうだ…?また微笑みを浮かべた。
「もちろんあります。ですが…早く決めていただいた方がこちらにも都合が良いので早く決めていただきたいですね。」一様猶予はあるって事か…だけど、早く決めた方がこちらがわにも都合がいいってどういうことなんだ?
「教えてくれてありがとう。少し猶予はあるってことな。なら少し考えも整理したい。どこか休憩するところはあるか?」
どうだろうか、一見何もないように見えるが…神であっても少し休む事はあるはずだ。
「ふふ。もちろんございますよ。どうぞ、こちらです。」
謎の神は少し意味深い笑みを浮かべながら空間に案内してもらった。
「わぁ……」
ため息が出るほど綺麗に整頓され部屋のインテリアも白
一色でまとめられ、部屋が常時散らかっていた俺の部屋と比べると自分の心が清められたような気分になる。
「あちらに机と椅子がありますので、そちらに腰をかけて待っていてくださいね。すぐにお茶とお菓子を用意します。」
神なのに何故か凄い…丁寧な接待にしてくれている。
しかも部屋に案内して、お茶やお菓子も頂けるなんて…
普通こういう場合こういう所に飛ばされてきたらなんか色々図々しい神に色々言われて無理矢理行かせられると思っていた。この神は他の神とは違うのかな。
さて、行くか死ぬかを考える為に連れてきて頂いたんだ。
早く決めてあげないとな。さて、どうするか…あの神が言ってた異世界ってどんなところだ?そこを聞かないと行けないな。多分異世界だから魔法とかギルド(冒険団)があるんだろうな。そして転生するにしろ俺はどんなのに転生
するって言うんだ?まずはここらへんから聞いとかないといけないな。
「え〜〜と……」
「!……あっ、そうですよね。名前とかで呼んで頂かないと
区別……まぁ、呼び出しにくいですよね?そうですね……
私のことはアステット・グー・ロッド……ロッドやアステットでいいですよ。」
「そうですか。ありがとうございます。え〜と、アステットさん……いや、様付けの方がいいか…アステット様。」
「いえいえ、ここは私以外今の所いらっしゃらないので
私と貴方だけの時はさん付けや呼び捨てで結構です。」
「そうですか?なら…アステットさんで。それで質問なんですが…」
さっき、気になった事を全て聞いた。
「はい。まずは他の神がいるか…ですね。もちろん。いらっしゃいますよ。他の神は、自分の世界をお持ちで貴方がいた世界は私の管轄下の世界少し覚えやすくするために
『フロッド』とでも呼びましょう。貴方が転生する世界は私の姉妹の世界言わば私の妹の管轄下の世界に行っていただこうと思っております。コホッ、コホン、ン"ン"ン」
ずっと説明していたせいか少し疲れているように見えた。
なんか…申し訳ないな…そして、俺が行く異世界はアステットさんの妹さんの管轄下の世界らしい。そして、もう一つ重要?な事を言っていた。神は一つずつ世界を持っている。と言っていた。つまりー
「つまりは、他の神は一つずつ持っていてその神ごとに
世界の度合い…世界の外観考え方。呼び方も違うのか?」
「はい。殆ど合っておりますよ。他の神。まぁ、私の妹
『ナルネイ・グー・ロッド』は、ファンタジーが好きな用で……自分の管轄の世界を少し改造して人間たちが魔法などを使えるようにしました……ですが…可愛そうなことに………
そこに魔王が転移し……その世界を蝕みはじめたのです。」
なるほど…?いや待てよ…
「…えっと、なぜ神は改造することができるのに魔王を排除しないんだ?」
「……ふふ。その質問が来ると思っておりました。そうですね…神は少し自分好みに自分の世界を改造することはできます。ですが…人間の進みに直接干渉することはできないのです。そしてその世界にいる動植物の変更はできますが…
殺生はできないのです。そのため魔王は、その世界にいる神以外の者が倒すしかありません。ですが……」
「ですが…?」
「ですが、妹の世界にいる人間達は魔王の存在に気づいていながらなんの処置もとらない…なぜ自分の世界が危機となっているのになんの処置も取らずに平然と暮らしていられるのでしょう…あっ…コホンッす、すみません。少しあつくなってしまいました……つまり、今魔王を倒せるは異世界に転生できる貴方だけなのです。」
あつくなってしまうほど…やばい状態なのか…
この情報を知って自分の死を選ぶのはただのくずだな。
そして、俺は魔王を倒さなきゃ行けないということだな。
「いいですよ。俺が魔王を倒しましょう!ですが…俺は
ずっと学校に行く以外部屋にこもりっぱなしだった奴だ。
こんなやつが魔王なんて倒せるわけないんだけど…?」
「大丈夫です。貴方には、特殊な能力を授けました。
能力はまぁ…旅していればいずれ分かるでしょう。そして…妹の世界に飛ばす前に説明を少しいたしましょう。」
俺は異世界に行くことにしたのだった。