死にたがりの最強剣士 ~「お前は不要」――パーティを追放された『剣神』の俺は、屈辱を胸に抱えながら世界各地を旅したが、俺以外の全員がチート化していてもっと屈辱に感じた。だからもう、死のうと思う……~
インフレ世界は残酷ですね。色んな意味で。
俺は今日、首を吊る。
天井に埋め込んでまで縄をつけた。
頭が通る四十センチ程の丸い穴が、俺においでおいでと誘っている。
「やっと死ねる……」
頭の中にあった一片の言葉が口から漏れる。
一年前にパーティから追放された後、屈辱を背負いながらも世界各地を回った。
知らぬ間に魔物や人間が最強化していて、俺じゃあ手も足も出なかった。
その時、パーティから抜かれた意味を知った。
初めは疑問ばかりだったが、世界を回ると見えてくる。
ただ威力が強いだけの剣術を使える『剣神』は、ここまで弱かったのだと。
屈辱だった。
部屋の中にはもう何もない。
強いて言うなら、小さな椅子に俺のスニーカー、そして薄っぺらい遺書だけだ。
首を絞めてから小便や大便が漏れないよう、トイレには行っておいた。
靴も服も綺麗に洗って整えた。
町の景色にも活気ある声にも、もう未練はない。
さて、後は首に縄をかけて椅子から落ちるだけ。
本来ならドアノブにでも縄をかけて首を括り、体を前に滑らせて首を絞める方法もある。
だが、最期くらいは舞いたいのだ。
今まで俺に付き合ってくれた仲間たち、ありがとう。
最後の最期まで、俺はお前らの役に立ててよかったよ。
俺は縄を首にかけて、前に倒れるように椅子から足を滑らせた。
― おわり ―
これ以上話を広げるとややこしくなりそうなので打ち切りです!(転生したり未遂に終わったり、仲間が呼び戻しにきたり、宙に縛り上げられた状態でスパゲティ勧められたり)
気を悪くした方がいましたら申し訳ないです。すみません。
内容的にハイファンではないので、ヒューマンドラマか迷った挙句『その他』です。
さようなら。