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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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マスコミのあしらい方

京仁織物株式会社 戸塚営業所敷地内に設けられた臨時特設会場は、マスコミ各社の白熱した馬騰(ばとう)と言う報道の自由の権利を主張して、火吹武将に襲い掛かる。


だが、俺の考えていたのはその場にいる人間達が考えていることとは、全く関係無い事だった。


(ここにいる、マスコミの人たちも頑張って、有名大学を出て、社会という厳しい戦場で戦っているんだな~)


等と、武将節ならぬ武将らしい考えに耽っていた。


「ご返答が無いという事は、事実を認めるという事ですか!!」


一番中央にいる男性がマイクと言う砲弾を発射して、怒鳴る。


俺はそれでも、このマスコミという人種を観察することに夢中になっていた。


人を観察するという事が、これほど楽しいと感じたのはこの戸塚営業所に来てから変わった俺の価値観だ。


商談相手が、どういう立場で何を求めているか?

社会人は、商戦という戦いにおいて簡単に相手に自分もしくは自社の考えを悟られないようにするのが、普通(・・)だ。


この戸塚営業所の売上を飛躍的に、伸ばしてきた火吹武将だからこそ、そこに輝ける価値を見出し自分を簡単に変えた(・・・)


言葉にすれば、簡単なことのようだが、人間は、、、


そう、簡単に自己形成を変えられる生き物でも無い。


自分を変えることのできる人間は、やはり【優秀】という言葉になるんだろう。


そして、火吹武将はその底知れぬ、器に優秀と勤勉、思いやり、体力を備え持つ。


COOBデザイン現在のCEO候葺縁(こうぶきゆかり)さんがよく俺に向かって言う


【帝王学】と言うのは、そこら辺にあるのだろうか?


深く自らの思考に溺れている所に、現在の状況に無理やり引き戻される。


「所長!何か言ってくださいよ」


俺の秘書である、寸誇永誇(すんどうえいこ)主任だ。


っと、そこに黒塗りの見慣れぬ、高級車が正門を通りマスコミが集うこの会場の横づけに静かに停車する。


火吹衛士隊は、緊張態勢を維持していたが、かまわずに黒塗りの車は悠然とゆっくりと敵意が無いように、入場してきた。


ガチャ 


扉が開けられる


その後部席から、一人の杖を突いた、老紳士と威厳のある高級オーダースーツを着込んだ紳士が二人並び立つ。


老紳士は、マスコミなど全く無視して俺の方へやってくる。


そして、老紳士は俺の前でつば付きの帽子を右手で脱ぎ、にこりと笑いながら話し始める。


「君が、【かぶきたけまさくん】かな?」


(???)


俺は、礼儀として目上の者に対して、立ち上がり


「はい、私が火吹武将です。」


っと、マスコミ対応とは全く別にハッキリと自分の名前を告げる。


老紳士はにこやかな笑顔を崩さずに話を続ける。


「そうか、思っていたよりお若いが、しっかりとした人柄のようだね」


「ありがとうございます。失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいですか?」


俺の頭の中に、この老紳士の顔に記憶が無い。


すると、横にいた高級オーダースーツと威厳と言う名前を着込んだ男性が、一歩前に出て俺に名刺を出す。


俺は一瞬、この男性の無言の圧力に夢中になり、自分の名刺を出す事を忘れた。

俺は、こういう匂いのする大人をたくさん知っている。


この男性も同じ匂いだ。


俺はお辞儀しながら相手の名刺を受け取り、相手に自分の名刺を渡す。


名刺には、、、、


イッシン食品ホールディングス株式会社 代表取締役 壱伸 延清(いっしん のぶきよ)と書いてあった!!


東証一部上場企業の社長だ。


「父が昨夜、御社に大変お世話になったと聞いたもので、お礼を言いに出社前に押しかけさせて頂きました。」


俺は瞬間で、理解した。


この老人が昨晩の大雪で、俺達が救出した人の中の一人だと


そう、元戸塚営業所所長 五十吾茂三(いそごしげぞう)が声をかけた人物であったのだ。


俺は、マスコミのことなどなかったかのように、向きを変えて


「それはご丁寧に、ありがとうございます。」


至って、ごく普通に、、、俺にとっては何ら変わることなく


返礼を言う。


「おいおい、こっちの会見はどうなってんだ?こっちだって暇できてるわけじゃないんだぞ」


先ほどの中央のマイクを持つ男性がガナリ声を出す。


俺は全く無視して


「お忙しい中、ありがとうございます。こちらもちょっとざわついてますので、お気持ちだけ頂きます。」


イッシン食品HD社長は、周囲を見て数瞬考えて、意外な言葉を吐き出す。


「私たちもこの場にちょっと、居てもよろしいですかな?」


俺はすかさず、寸動さんに目配せすると


優秀高学歴の女性は、自分と俺が座っていた、折り畳み式のパイプ椅子を持って駆け寄ってきた。


「どうぞ、お掛け下さい。」


「ありがとう」「よっこいせ」と親子は高級車の中に運転手を残したまま、会場にとどまることにしたようだ。


そして改めて、俺はマスコミの前に立ち、堂々と話し始める。


「いくつか、マスコミの方々と当方とでは争点が大分違うように思いますので、ご説明させていただきます」


「昨晩の歴史的な大雪で、交通網は麻痺してこの近くにある戸塚駅では、駅構内から何万という方々が、氷点下を超える寒空に無理やり追い出されました。」


「当社としても早々に従業員を帰宅させましたが、正社員の中で定時まで働きたいという者が居たので、その社員を戸塚駅まで送っている途中で、今回の件を眼のあたりにしました。」


「何万人という方々の帰宅遭難者の中には、お年を召した方や小さな子供を連れた女性も大勢いました。」


「そこで、私は今回の件を皆に相談して、実行しました。」


一呼吸置く。


さっきの男性アナウンサー?らしき人が、つばを飛ばしながら暴言を吐く


「それを白タクっていうんだろうが!!」


(どうもこういう人種とは、相容れないなぁ~)


等と考えながら


「失礼ながら、あなたは昨晩、あの気象状況の中、あの時間何処におられましたか?」


「局の近くのビジネスホテルに泊まっていたのを呼び出し喰らって今ここにいるんだよ、若造が!」


俺はビビることも無く全く変わらぬ口調と態度で挨拶を交わすよう話しかける


「もし、あなたのご両親や身内の方が、帰宅困窮者であったとしても同じように言えますか?」


「ぐっ!!」


「私はあの時間、あの場所に居て、状況をこの目で見ました。」


「そして、私には僅かかもしれませんが、困ってい居る方々を救う手段と仲間がいました。」


「もし、私が行ったことが日本の法律に触れるというならば、私は従いましょう。」


「しかし、、私の心はそれでも悪行をしたとは(つゆ)とも思っていません。また、同じ状況になれば同じことをするでしょう」


「今回の件は、全て私【火吹武将】が全責任を負います。」


「逃げも隠れも致しません。そしてこの行いを恥とも思ってません。」


「以上が、私の見解です。仕事がありますので後はお好きに編集するなりお好きなように報道して下さい。それがあなた方の仕事ですから」



パチパチパチ


いつの間にか、集まってきていた社員含めイッシン食品HD社長とその父親も手を叩いていた。


イッシン食品HD社長は、来ている服とは全く似つかわしくない椅子に座ったまま


「中央の君、君はどこのテレビ局の人間かな?」


興奮収まらぬ、男性アナウンサーはいきなり自分の身分を尋ねられて戸惑う


「ゆ、夕陽丘テレビの森と言いますが?」


「私はイッシン食品HD社長の壱伸だ。夕陽丘テレビの局長は確か林田君だったよね」


「はい!」


男性アナウンサーの顔と表情、態度が一時前とは別人のように変貌していた。


「火吹君は、一切金銭を誰からもとっていない。それは実際救われた、会長の父が証明しよう。これで白タクではなく勇気あるボランティアになるな。林田局長に伝えてくれるかい?」


「次に不法就労させた件については、後ろにいらっしゃる社員の方々はどう思っているのかな?」


壱伸社長は後方に右手を広げて、集まってきていた戸塚営業所正社員たちに話しかける。


「不法就労な、訳ないじゃないですか!!」


近藤さんの高い声が響き渡る。


そして次から次へと抗議と言うミサイルが発射される。


「俺たちが自分で、望んでやったことなんだぞ!」


「お前たち、マスコミはあの場所に居ても何もしないで見ているばかりだった。だがうちの所長は少しでも助けてあげようと行動したんだ。お前らに所長を非難する資格なんてあるのか!」


「そうよ、今迄だって沢山沢山、火吹所長には助けられてきたのよ、仲間だと所長がおっしゃてくれるなら、仲間の頼みを聞くのは友人として当然ですよね」


「お前らマスコミだからって、今 現在 俺達の仕事を邪魔しているのがわからないのか?これは業務妨害じゃないのか!!」


次々と湧き出す、マスコミに対する不満とは別に信頼する自分たちの上司を守る為、必死になる京仁織物株式会社 戸塚営業所所員各位。


俺は、今回の件より社員の一言一言が無性に嬉しかった。

別に、今まで特別誰かを贔屓にしたことも無くいつも自然に振る舞い。一生懸命仕事してきただけだと思っていたのに、この熱気は何だ?


俺が見かけに微塵も出さずに、心の中で感動していると


「ほかにご質問が無ければ、これで説明会見を終了とさせていただきますが」


やはり優秀なる美人秘書 寸動係長だ。


森と名乗る、夕陽丘テレビのアナウンサーが最後の抵抗を試みる。


「会社の車両を使ったという事は、燃料代やその他会社に業務とは関係なく私的に使用したことになりませんか?」


言葉の勢いが、大分弱くなっている。


俺は森と名乗る、自分より10年以上長く生きてきた人生の先輩に対して、最後の核弾頭を打ち落とす。


「今回の件にかかった、経費は全て私が個人的に捻出します。火吹財閥家当主として当然の行いですので問題ありません。」


「「「「「!!!!!」」」」


(火吹財閥家当主、、、、)


(KABUKIコーポレーション創設者一族、、、)


(((ま、まずいぞ)))


その場にいるマスコミ各社の大人たちの全員の共有する胸中観念だった。


「これは、これは道理でお若いのに堂々とされていると思いましたが、火吹財閥家の当主であったのですのね」


壱伸延清社長が、笑いながら俺に手を差し伸べてくる。


俺はしっかり目を見て、差し出された右手をしっかり包み握手する。


「家柄は今回の件には、全く関係ありませんが、一応そういう(・・・・)事になってます。」


「そうですか、これも何かのご縁です。今度はビジネスのお話をしに会いしましょう。」


イッシン食品HD社長は、そう言い残し車の方に向かう


父親である、イッシン食品HD会長は杖を突き俺に2歩ほど歩み寄り


「昨晩は、助かったよ。今度ゆっくりと食事でもしようじゃないかね」


「はい、喜んで。」


俺は、腰を45℃直角に曲げて、お辞儀する。

どちらが、お礼をしに来たのか分からぬほどの光景だが、俺は目上の者に対する態度を変えるつもりはない。


イッシン食品HD創業者であり代表二人を乗せた、高級車は火吹衛士隊の誘導により、正門を後にする。


俺は車が見えなくなるまで、ずっとお辞儀をしていた。


そして車が見えなくなると、腰をまっすぐ伸ばし


パンパンパン


手を3回叩く。


「納期が迫ってますよ、皆さん早く仕事に戻ってください。」


「谷樫さん、マスコミの皆さんには丁重に(・・・)お帰り頂いてください。」


火吹衛士隊隊長は、分厚い胸と女性の腰回りほどあるぶっとい腕を右手に水平に出して、大声で命令する。


「武士!!記者の皆さんのお帰りだ!誘導しろ。」


「はい。」


静かに野太い声で、答える身長2メートルを超す心優しいが、見た目は怖すぎる勇敢なる戦士。


ドスドスドス


大股にマスコミのいる特設会場に3人の仲間と共に大股で、圧倒的迫力という圧力で空気を押しつぶすように、記者たちの頭上から野太い声をかける。


怒気を含んで


「お帰りはこちらですよ、皆様。」


イッシン食品HDに火吹財閥に京仁織物株式会社。


この三つを相手に喧嘩することを判断できる責任者はこの場には、居なかった。


しかも、どうやら真相は相手側が有利のようだ。

自分たちの早とちり、間違いであった可能性の方が大きい。


これは撤退だ!


そこにいる、マスコミ各社の全員の共有する考えであった。


いそいそとその場から、カメラや照明、マイクと言った機材を積んできた、マイクロバスに詰め込み撤収を速やかに始める。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※


そして、京仁織物株式会社 戸塚営業所は日常の平和が戻ってくると同時に、仕事と言う戦場に変幻する。


ーお昼時ー


帝城高校出身、高卒にして特殊な資格や勉強はしていないが、人間として安定感と言う言葉は、ここ戸塚営業所ではこの人の右に出る人はいない。


安藤聡先輩であり23歳にして東証一部上場企業 京仁織物株式会社 戸塚営業所 営業課長である。


異例中の異例に出世した、信頼感抜群の先輩が、俺の座る食堂のテーブルに向かってくる。


だが、、、22歳で営業所所長を務める、俺はどうなのか?


全く社会的にも世間的にも理解していない俺が言うのも何とも可笑しなものだというくらいは、把握しているつもりだ。


「所長、ご面会のお客様がいらしてますよ」


「すぐ行きます。」


今日で、一体何回目だ?


昨晩のお礼に、訪れる方達がひっきりなしだ。

正直、俺の仕事がはかどらん。


しかし善意を無下にも出来ない。


俺は食べていた、食事をサッと片づけて席を立ちあがる。

っと、癖になってるように椅子の背もたれにかけてある、自分の作業着を取ろうとするが、そこに作業着は無く。


ロッカーに入れてある、接客用スーツの上着が掛けてあった。


(そうか、作業着は昨晩、救出した子連れの女性に渡したんだったんだ)


都心において、積雪5センチを超えればそれは豪雪と言う災害になる。


雪国では、それこそ何メートルもの積雪もあるだろうが、都心ではその備えが無く、人口があまりに多すぎる。


やはり昨晩の積雪は、災害と言って良いほどだったと認識を改める。


入口玄関近くに、準備された待合室の入り口のガラスに、小さな影と女性のシルエットが映っていた。


コンコン


俺は扉をノックして、待合室の扉を開ける。


「昨晩は、大変助かりました。ありがとうございます。」


席を立ち俺に挨拶してきたのは、昨晩俺の車に乗車していた親子だった。


倒れていた、お婆さんを助けるために途中で、車を降りて徒歩で帰って言った二人だ。


母親の胸には、大切そうに俺の作業着が綺麗に洗濯され畳まれた状態で、胸に抱えられていた。


俺は右膝をついて、しゃがみ込む。


子供と目線を合わせて


「お母さんをしっかり、守れたかな?」


優しく、尋ねると子供は大きな声で


「オジちゃんが、貸してくれた服が温かったから、全然へっちゃらだったよ」


俺は微笑する。


(最近、忙しさにかまけて結紬(ゆいつ)尚武(しょうぶ)にもゆっくりかまってやれてないなぁ~)


一人思いに耽るが、若い女性は子供を叱る。


「まぁ~マサルったら、オジサンは失礼よ。」


マサルとは子供の名前なんだろうなと思いながら、俺はゆっくりと立ちあがり女性に向かって


「いえ、いえ。私も子供が二人いますから、充分オジサンですよ。」


「そ、そういえば、昨晩車の中でもお聞きしましたね。」


若い女性の母親の顔が真っ赤になる。


俺は彭城楓真(さかきふうま)という世界最強の美男子と一緒に暮らしているので、男っぷりには全く自信が無いが。


身長180センチ。

体重78キロ。

髪の毛は黒く、やや硬めで毛量も多い方だ。

寝癖を直すのが大変手間がかかることもある。


まっ、一般的には美男子?好男子と取られても当然なのだが、やはり何度も言うが、本人の自覚が全くないのがこの男なのだ。


改めて、標準以上に美しい若い母親は俺にお礼を言い、昨晩貸した作業服を綺麗に洗濯したうえで、俺に返却してくれた。


顔を真っ赤にしながら


「ご丁寧に、洗濯までしていただいて、ありがとうございます。よく一晩で、出来ましたね。」


俺は柔和な顔をしながら、微笑み話すと


女性は更に、頬を赤くして


「わ、私の主人がクリーニング屋を営んでいるものですから、、、、主人もお礼に一緒に来たがっていたのですが、お店があるもので、、、すいません。」


俺は綺麗に畳まれた自分の作業服を受け取りながら


「お心遣い、ありがとうございます。何よりご無事に帰宅できて何よりですね。」


自分の作業着を受け取り、その洗濯の完成度や綺麗に畳まれた服を見て、この女性の旦那さんの職人気質さを感じ取れた。


俺は女性の眼をしっかり見て


「これも、一つのご縁です。もしよろしかったら此処の全従業員のクリーニングも今後お願いできませんか?」


現在は、皆それぞれ自宅に持ち帰り洗濯している状況だ。


今の戸塚営業所の業績から考えて、作業服をクリーニング委託することは従業員の負担を減らし、気持ちよく仕事をする為の必要な経費でもある。


俺は一瞬で、判断して提案する。


「えっ!」


若い母親は、驚きを表情にして


「しゅ、主人に相談してみませんとわかりませんが、よろしいのですか?」


「はい。この戸塚営業所に関しては、私が全ての決定権を会社から委譲(いじょう)されてます。」


俺は平然と答えるが、規模にもよるが個人経営のクリーニング屋さんだったとしたら、従業員500名分の作業着の洗濯売上代金は馬鹿にならないというか、相当の売上比率になるだろうと、勝手に俺は想像してみたが、決めるのは本人だ。


「ちょ、ちょっと主人に電話してもよろしいですか?」


「ええ、かまいませんよ。」


っと言って、再びしゃがみ込みマサル君と遊び始めた。

息子の尚武と遊んでいる時の様に


5分ほど、話をしていた、母親がスマホを切って


「是非とも、お受けさせて頂きたいとのことです。」


「それは、よかった。」


俺は、全く普通に会話していたのだが、突然若く美しい母親は、、、、


両ひざをついて、泣き出してしまった。


「あ、ありがとうございます。」


俺は、こういうのが一番弱い。


オタオタしながらどうしたらいいのか分からず、とりあえず優しく声をかける。


「ど、どうしました?大丈夫ですか?ご気分でもすぐれませんか?」


これだけ動揺する、武将も珍しい。


「じ、実はお恥ずかしいお話ですが、昨晩私の実家に行っていたのもお金を両親に借りに行っていたのです。」


「主人は、仕事ではとても職人気質でこだわりが強く、妥協しません。」


「起業して間もないのに、借金して新しい洗濯機やアイロン設備を整えたりして、実際 家計は火の車でした。」


「そ、それを、、、、あなたは、、、」


女性の両肩を優しく抱え込み、立たせてあげると


「ご縁ですよ。」


ニコリと微笑む。


両手で顔を隠しながら、泣きじゃくる母親へ


「オジちゃん、ママをいじめるんじゃないぞ」


この場最強は、マサル君であった。

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