ホトの素晴らしき日
COOBデザイン本社ビル最上階【社長室】
ガラス張りのデザイン溢れる【社長室】は今は全てのブラインドが下ろされて、中にいる人間の会話はもちろん。
何が起きているか一切、わからない状態になっていた。
もちろん、その中にいるのは保東康臣ことホトと麗しき年齢不詳の経済界女帝候葺縁CEOである。
「っで、どうなったの?ホト」
美しい唯一の上司は、社長椅子の上で細く長い脚に真っ赤なピンヒールを履いた、男性なら誰もが見とれてしまう魅力あふれる脚を交差させて鋭い眼光で何者をも射貫くようにホトを見つめていた。
ホトは、立ったまま自分の鞄から書類を取り出し、自分の恋するCEOに渡す。
切れ長の双方の眼を細くして、女王は紙の束を黙って受け取る。
そして、中身を見て
「これが、何を意味するのかしら?」
ホトは静かにたたずみながら
「そのデザインは、内の会社で通用するものですか?」
そう、紙の束はデザイン画の束だったのだ。
数は優に100枚以上ある。
華麗な最高経営者は、ホトの言う通りに黙って渡されたデザインを見る。
この3年間でホトが、自分に対して無駄なことは一切してこなかったことを一番理解している、上司は言われた通り黙って真剣にデザイン画を一枚一枚しっかりと、見続ける。
これが、3年間で培ったホトと縁さんの信頼関係だ。
全てのデザイン画を見終わり
「まだ、荒らさはあるけど才能としては十分内でもプロとして通用するレベルよ。本人さえその気なら、スカウトしてもいいレベルだわね」
ホトは一礼して
「ありがとうございます。」
「これで、全て完結です。伊藤百貨店様との取引は今後も今まで同様行っていくと伊藤百貨店社長自ら約束していただきました。」
美しく長くカールがかった見事な髪を手で、掻き分けながら
「ホト、私は報告しなさいと言ったのよ。」
ホトは初めて顔を暗くして
「貴女にお聞かせる内容ではありません。」
縁さんは、ホトの反応を見抜いて
「あなたの気持ちは嬉しいけど、私はCEOで全てを知っていなくてはならない。それにあなたが思うほど、か弱くも無く、これまで汚いものも沢山見てきたわよ」
「報告しなさい。ホト。」
暫く、二人の間に沈黙という空間が漆黒の闇を覆うように現れるが、ついに覚悟を決めた、ホトが珍しく下を向き話し出す。
「伊藤百貨店の取引担当は、法人営業部の弥田麻依子さんという方でした。」
「彼女は、とても明るい性格で男性の僕から見てもとてっも魅力的な女性です、、、、」
ホトはここで、言葉が途切れる。
高貴な女帝は、ただ一言。
「続けなさい。」
「、、、、現在彼女は、休職中です。」
またもや、沈黙がCEOの豪華でお洒落な部屋を覆いつくす。
これほど、歯切れの悪い話をするホトはとても珍しい。
「それで?」
ホトは黙っている。
美しき女豹は目を細く、鋭い眼光を更に全ての物を焼き尽くすかのように睨むが、吐き出した言葉は全く雰囲気が違って優し気にホトに語り掛ける。
「あなたが、私を気遣ってくれることはとても嬉しいけど、私はどんなことも知っていて、対応しなくてはならない。そうでなくては、今の地位に私はいられなくてよ。」
「全てを話して」
「ふぅ~」
ホトが吐息を漏らす。
「わかりました。貴方に聞かせるようなことでは無いと判断した、僕の間違いです。」
「弥田麻依子さんは、伊藤百貨店仕入担当取締役後藤剛児なる者に、今後の取引継続を条件に、肉体関係を求められたそうです。」
黙って、候葺縁という経営者は聞いている。
「弥田麻依子さんは、弊社でデザイン部に移籍してデザインをするのが、夢でした。なので、このような無理な要求に応えて自分を犠牲にしていました。」
「しかし、後藤が求める回数が多くなり、要求は更にヒートアップしていったそうです。」
経済界の女帝は、ただ黙って聞いていたが、一言口をはさむ。
「どんな要求を出してきたの?」
ホトは目をつむり
「当社の商品の横流しと彼女に対する不特定多数の人間との性交渉、、、です。」
ドン!!
遂に肉食獣の怒りは、限界を超えた。
自分のデスクを美しい右手で、叩きつけた。
「、、、それで、彼女は今どうしているの?」
「はい、弥田麻依子さんは一時期、精神的に情緒不安定になって、休職していましたが僕が会いに行った時は大分落ち着いていた感じでした。」
「そう、それで後藤っていうくそ野郎の方は?」
「伊藤百貨店の社長が全ての責任において、解決することを約束していただきました。」
「信用できるの?」
「はい、伊藤百貨店の社長は僕から見ても立派な人柄に見えました。もし、隠蔽や隠し立てするようなら、僕は絶対に容赦なく叩き潰します。」
「どんな手を使っても」
ホトは下を向きながら、両手の拳っをギュッと力強く握っていた。
女豹の決断は、迅速で英断だ。
「ホト!車を用意しなさい」
ホトは直ぐさま
「駐車場に用意してあります。」
ホトは、この件を縁さんに話すことを拒んでいたが、候葺縁という女性が、自分の思い通りになるとは思っていなかった。
その時の準備も既に済ませていたのだ。
これもこの3年間で、学んだ経験値の一つである。
六本木にあるCOOBデザイン本社ビルの地下には、社長専用送迎車
渋い銀色のマセラティ ギブリ特別仕様車が運転手と共に華麗なる主人を待っていた。
実に縁さんらしい車だ。
普通上場企業の社長送迎車は殆どが、国産高級車だ。
そう、火吹武将のよく知るユタカ自動車の高級車は多く愛用されている。
そして、外車と言えばベンツかBMWを選ぶ会社がほとんどだ。
マセラティとは、実に彼女らしさが表れている。
高級車にして、ハイパフォーマンス。
スポーツカーと言っても過言でない。
その排気音は、地の底から吹き上がるよう低く腹に響く。
縁さんがプライベートで駆る、フェラーリとは正反対の排気音だ。
そして、運転手が若く美しい女性であることも候葺縁という人間の個性の表れであろう
美しい運転手が、後部扉を開けて待っている所に、ピンヒールの音を高らかに響かせながら、CEOとその右腕は飯伏銀の高級車後部席に飛び乗る。
行先は中野坂上だ。
そう弥田麻依子さんの自宅に向かったのだ。
道路は比較的空いていて、40分ほどで中野坂上のマンションに到着した。
一度来たことがある、ホトが先に立ちマンション入り口の部屋番号を押す。
「こんにちは、保東康臣です。突然来てしまってすいません弥田麻依子さん。お会いしたいのですが、よろしいですか?」
透明の自動扉は「どうぞ」という言葉と同じくして、開いた。
一度目の時より、かなり声は明るく元気を感じた。
ホトと候葺縁さんは、エレベーターで上がり部屋の前まで無言で到着した。
ホトがドアフォンを鳴らす。
ピンポ~ン
「保東さん、またきてくださ、、、、」
弥田麻依子さんが扉を開けて、目にしたものは想像を遥かに超えた光景であった。
コンクリートで出来た冷たい床に、COOBデザインCEO候葺縁さんはピンヒールを脱ぎ、横に置き
その豪奢な髪が床に着くように
土下座していたのである。
当然、ホトもその横で、土下座する。
弥田麻依子さんは何が起こった理解できず、数瞬途方に暮れていたが、土下座しているのが自分の勤めるCOOBデザイン株式会社のCEOだと理解すると、一転して動揺を隠せずにオタオタする。
縁さんはそれでも、全く変わらずに下げた頭を上げることは無かった。
無言のまま、この異常事態は続いた。
後方にいた、ホトが先に頭を上げて弥田麻依子さんに向かって微笑しながら
「びっくりさせてしまってすいません。」
「CEOがどうしてもあなたに会いたいというので、お連れしました。」
弥田麻依子さんは同様しながらも
「しゃ、社長、ここではなんですので、中にお入りください。」
CEOとは経営最高責任者の事であり、昨今大企業においては役職名を外国に合わせて呼ぶようになっており、社長という呼び名は正式には正しくないが、日本人にとってCEOとは社長と同義語という認識が今もまだ根強くあるのは事実だ。
声をかけられた、美しく気高いCEOは全く変わらずに、下げた頭を床につけるように微動だにしない。
こういう場にこそ、保東康臣の実力が発揮される。
笑いながら「候葺CEOはこう見えて、頑固で融通が利かないんです。今回の件を全て明白にしてCEOに報告したところ、CEOはこのようになってます。」右手を土下座する縁さんの方にひらりと広げる。
最高上司で最愛の女性を笑いの種にする。
そして、CEOの変わりに弥田麻依子さんと話しをする。
「弥田麻依子さん、CEOはあなたの書いたデザインを見て、是非デザイン部にスカウトしたいとおっしゃられました。」
「あっ、もちろん今回の件とは関係なくですよ」
「そして、今回の件を聞いた我が社のトップは、今こうなってます。」
またまた、土下座する候葺縁に向かって体を開き両手で、アッピールする。
そして、真剣な眼差しで
「弥田麻依子さん、CEOを許していただけますか?」
彼女は動揺も収まり、現状をしっかりと正確に把握した。
すべて、保東康臣が解決してくれたのだと、理解した。
「社長、悪いのは私です。私があんな男のいう事を聞いたばかりに、、、、悪いのは社長ではありません!!」
初めて、候葺縁CEOはそこで、頭を上げ美しい顔を弥田麻依子さんに向けて、目線を合わせる。
その美しさを目の当たりにして、当の女性も一瞬声が出ないほど呆気にとられる。
その美しさに、、、
しかし、その小さく美しい口から出てきた言葉は
「ごめんなさい。」
純粋で単純だが、この華麗なるCEOには一番似合わない謝罪の言葉であった。
「社員を守れないような、CEOで本当にごめんなさい。」
ホトもその意外性に驚きを禁じ得ないが、ホトの場合はまたちょっと違う意味合いもあった。
彼女の素晴らしさを新たに一つ知った喜びである。
自分が惚れた、女性は人間としても会社経営者としても上司としても万点以上だと確信を持つことが尚更嬉しく感じた。
弥田麻依子さんは、納得したような明るい笑顔を取り戻して
「社長、許すも何も社長は何も悪くありません。私はCOOBデザインという会社に勤めることができたことを誇りに思っているんです。こんなこと何てことありません。」
健気にも社長を気遣う弥田麻依子さんというパーソナリティをホトは感心しなおした。
ピンヒールを脱いでも、身長170センチ以上ある美しきCEOは黙って弥田麻依子さんに近づきそっと、抱きしめていた。
「!!」
思わず抱きしめられ、その豊かな胸に顔を埋めると彼女は今迄気丈に張っていた糸がぷつりと切れて、その眼からは溢れんばかりの涙が出てきた。
縁さんは、黙って彼女を抱きしめたまま泣くがままに、彼女の全てを、、、辛さを苦しみを屈辱を受け止めていた。
高級なスーツが涙で汚れることなど、微塵も気にせずに。
30分は経ったであろうか
弥田麻依子さんは落ち着き
「す、すいません。社長、、、、」
「あなたが謝ることは何もないわ。出社出来るようになったら、デザイン部で待っているから出社してくださいな。しばらくは有給扱いで構わなくてよ」
「社長、ありがとうございます。」
「これから、デザインについてはビシビシしごきますわよ」
「あ、ありがとうございます。がんばります。」
ホトの方へ彼女は向きを変えて
「保東さんにも感謝してます。」
ホトは照れながら
「いや~僕はそんな大したことしていないですよ~」
「そんなことないですよ。貴方は立派なジェダイの騎士です。」
「はははは、、、、」
(笑うしかないな、、、ここは、、、)
「それでは弥田麻依子さん、次にお会いするのは本社で、お待ちしてますわよ。」
「はい社長、ありがとうございます。」
「それと気分転換に引っ越し、しなさいな六本木の近くに。引っ越し費用と今後の家賃は会社が負担いたしますわ」
「えっ、で、でも、、、」
即座にホトは口を割り込む
「貰っとけばいいですよ。実はCEOも他人の家に居候してるんですから、うちの会社も儲かってるんですよ。節税のうちだと思って会社に貢献してください。」
「わ、わかりました。ありがとうございます。候葺社長。」
弥田麻依子さんは、明るい声と顔でお辞儀をしてその日は別れた。
そして、我々がエレベーターに乗るまで、彼女の頭も下がったままだった。
マンション外で待つ、マセラティまで縁さんは一言も口を利かなかった。
そして、車は本社に到着する。
CEOが初めに向かったのは、法人営業部だった。
突然、法人営業部に麗しく苛烈なCEOが入室してくると、そこにいた社員全員が、仕事を止め立ち上がった。
社員が立ち上がった中を堂々と、豊かな胸を誇るようにカツンカツンと一番奥のデスクに立つ、法人営業部部長の前まで向かって行く。
その姿は、まさに鬼の形相だ。
自然と顔じゅうから汗が吹き上がる、法人営業部の女性部長だ。
苛烈なCEOは行動も熾烈を極めた。
いきなり、法人営業部長のデスクの上に自分の細く美しく長い脚を叩きつけた。
「榊部長!私が言いたいことがわかるかしら?」
法人営業部部長は、榊 圭織42歳。妻帯者であり、子供も2人いる。
42歳で結婚、出産しながらも家庭と仕事を両立している女性だ。無能であるはずがない。
「誠に申し訳ありません。」
蹴とばされた、デスクに頭を擦り付けて謝罪する。とても42歳とは思えない美しい法人営業部長だ。
「謝る相手が、違ってよ。伊藤百貨店の事は知っていたのでしょう?」
「、、、、は、い、、、、、」
「何故、わたくしに報告しなかったのかしら?」
「申し訳ございません。」
「謝罪は結構、報告しなかった理由を聞いているのですよ」
烈火の如き鬼神ぶりで詰め寄る、縁CEOに太刀打ちできる者など、この会社にはホト以外にはいない。
榊部長は、苦しそうに言葉を吐き出す。
「い、伊藤百貨店様は当社において、大事な顧客だったために先方の言いなりになってしまい、報告が遅れました。申し訳ございません。」
華麗な鬼神は、容赦がない。
「謝罪はいらないと言ってるでしょう。伊藤百貨店との取引を優先するあまり、優秀な社員を犠牲にして、結果取引自体も失う羽目になっていたのに、今になって報告するのは、遅すぎるにも限度がありましてよ!!」
榊部長は、全身から汗を拭きだし
「今回の件は、すべて私の責任です。私は責任を取り退社し、弥田さんに心から謝罪します。」
怒れる鬼神は、更に苛烈する。
「辞めて、責任を取るですって、笑わせるんじゃないですわよ」
「責任を取るというなら、今の役職と仕事を全うし今後同じことが絶対起きないように徹底なさいましな」
「!!」
榊部長の顔がわずかに上がる
「こ、候葺CEO、、、それでは、、、」
「誰も首にするなんて、一言も言ってないわよ。他所の会社ではわかりませんけど、内では責任の取り方というのは自分の責務を全うすることかしら、百貨店の一社や二社の取引が無くなっても我が社には、何の被害も無いわよ。」
くるりと向きを変えて、起立している法人営業部社員全員を見て
「いいかしら、COOBデザインで働くという事に皆さんは誇りをお持ちになりなさい!!」
「そして、真面目に職務を全うすることね」
「わかった?」
「「「「はい!!」」」」
たった、数分で法人営業部を一つに纏め上げて、今後一切のこういった不正を許さない会社の姿勢を示したのは、【見事】の一言だとホトは一人思っていた。
候葺縁CEOは法人営業部を後にして、自室のCEO室にホトを連れて、入り総ガラス張りの壁のブラインドを下す。
ゆっくりと縁CEOは自分のデスクの前で、くるりと周りホトと向き合う。
ホトは黙って、縁さんのまだ烈火の如く燃え盛る眼差しを自然体で受け止める。
先に口を開いたのは縁さんだ。
「ホト、帝城高校生の時に私の事を好きだと言ってくれたことは今でも変わらないかしら?」
ホトは高鳴る胸を押し隠して、一言だけ
「はい」
「わたくし処女ではありませんよ」
烈火の美しき麗人は、とんでもないことを平然と言ってきた。
だが、ここにいるホトもまた違う意味で、普通ではない。
「僕は童貞ですよ」
「ほほほ、、、相変わらず面白いことを言うわねホトは」
「ホト、私と結婚したくて?」
ホトは迷わずに
「はい」
「そう、それでは今年の当社の売上を昨年対比倍にしたらあなたと結婚してもいいですわよ」
ホトは胸ポケットから自分のスマホを取り出し、誰かに電話をかける。
ホトの口から出る言葉は、英語だった。
「【英語】ハローミスターティムス。突然電話して申し訳ありません。今大丈夫ですか?」
「【英語】ええ、そうです。その件のお話なのですが、そちらの条件を全て飲みますので、契約をお願いいたします。」
「【英語】ええ、もちろん。こちらは何の問題もありません。ええ、よろしくお願いいたします。」
タン
っとスマホの通話ボタンを切り、己が恋する最高上司に向き合う。
「アメリカに本拠地を置く、フィックス・ファイア・アルベーニ社との取引契約が今、締結されました。」
縁さんは英語を話せるから、今ホトが話していた内容は全て聞いていた。
「フィックス・ファイア・アルベーニ社って、全世界に百貨店を持つスーパービックネームじゃないの」
ホトは変わらずに
「ええ、そのフィックス・ファイア・アルベーニ社全店舗で、弊社の商品を販売してくれるそうです。」
流石の女帝もこの事実には驚きを隠せずに
「ホト、あなた何時からフィックス・ファイア・アルベーニ社と交渉していたの?」
ホトは極自然に
「1年前くらいからですよ、卸値 利益率のパーセンテージで中々折り合いがつかなかったもので、根気よく交渉してました。向こうはメイドインジャパンのうちの商品を是非取り込みたい。だが中々敷居が高くて、、、」
「それでは、どうして今決めたのかしら?」
「縁さんは、売上を2倍にしろとおっしゃいました。」
「なので、利益率は相手の言い値で契約しました。」
「まっ、多少は値引いてもらいますがね、、、、」
ホトの口が、小さくつぼみの様な美しい口でふさがれる。
「!!」
思わず、目を閉じて硬直するホトだ。
だが、相手は百戦錬磨の候葺縁さんだ。
ふぅ~
っと甘い吐息をホトに吐き出しながら口をはなして
「保東康臣さん、わたくしと結婚してくださいな」
ホトは目をつぶったまま
「も、もちろんです。」
「あなたには、わたくしお教えすることはもう無くてよ。」
「よく頑張りましたわね。あなたは私を超えましてよ」
茫然自失なホトを置き去りにして、縁さんは部屋を出ていく。




