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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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誠の親友

火吹財閥本家。

まぁ~俺の自宅なんだけど、、、


家に帰ってきたら、100名を超す超がいくつもつくほどの経済界を牽引する大手会社のトップたちが大勢集い、俺の二十歳の誕生日を祝ってくれた。


何も聞いていなかった、俺は驚愕の中に己を閉じ込めて、火吹武将という人間を演じる。


屋敷の庭中央に特別設置されたステージから、二十歳の決意表明をした後、俺はステージをおりて俺の二十歳の誕生日を祝に来てくれた、方々の中にうずもれていく。


来賓の方々は錚々(そうそう)たるもので、ユタカ自動車社長 豊一颯(ゆたか いぶき)氏を筆頭にKABUKIコーポレーション社長、俺の叔父にあたる火吹竜治氏、芸能界では5本の指に入るKABUKIエンターテイメント社長水島浩二社長、KABUKIコーポレーション系列各会社社長や直接に俺と仕事で結ばれた、蛇目野靴製造(じゃめのくつせいぞう)株式会社 蛇目野勝弘(じゃめのかつひろ)社長、同居しているとはいえ、デザイン会社としては日本を代表するCOOBデザイン株式会社CEO候葺縁(こうぶきゆかり)さんにニューヨークからは亡き父の盟友T・T・Dトラオテクノロジーデペロップメントという会社の名前まで付けてしまう、青い眼のナイスガイミスターマルガッス・シュタイン。


ネームバリューで言えばこいつが、この中では一番有名な悪友で親友のスーパーアーティスト彭城楓真(さかきふうま)


(よくスケジュール空いていたな、、、)


全く関係ないことを心配してしまうのも火吹武将の悪い癖だ。


驚いたのは、京仁織物株式会社からも出席者がおり、戸田副社長、神戸常務、木島専務、木原柑奈取締役が仕事帰りに立ち寄ってくれていた。


きっと、仁義父さんに誘われたのだろうな、、、


火吹家に連なる親族一同、俺は半分くらい名前がわからん。


そして、俺の親友たち。

ユニークなバイオリニスト桜木優香さんや舞の親友の遠藤美月さんはじめ、帝城高校の元クラスメートも大勢集まっていてくれた。


その中でも、やはり俺が一番驚いたのはこの人が来てくれたことだ。


帝城高等学校 校長先生。


俺に、三つの言葉をくれた人だ。


【自分の心に気を張りなさい】


【人の心に根を生やしなさい】


【この世界に形を残しなさい】


今も俺の心の中には、しっかりと根付いている。


暗闇でもしっかりとわかる、光った頭が特徴だが、この方にはとても似合っている。大尊敬する大人だ。


俺と舞はツネさんと唯母さんが連れてきてくれた我が息子と娘の顔を帝城高校校長先生に見せるように、挨拶をする。


「校長先生、このような時間にわざわざ来訪いただき、ありがとうございます。」


「ふぉふぉふぉ、火吹君も舞さんも立派になりましたね。それにお子さんたちも両親に似て、とても利発そうじゃないですか。」


恰幅のある、好々爺と化した校長先生はとても嬉しそうに自分の子供と孫を見るように、俺たちにそれぞれ目線を動かす。


舞が着物姿で、優雅に


「ありがとうございます。これも校長先生のおかげです。」


校長はちょっと、考えるふりをして


「私の長い教員生活の中でも在学中に結婚出産して、現役で東大にトップ入学した女性は初めてですね。恐らく舞さんが最初で最後でしょうがね」


にこりと笑い、首をかしげる姿が年齢の割にとても愛らしい


「それに付きましては、心から感謝申し上げます。校長先生」


火吹舞の父親であり、俺の勤める会社社長 葛城仁の発言である。


校長は「いやいや~葛城さん。あなたの様な父親を持てて娘さんはとても幸福でしょう」


ここで舞が、とんでもない爆弾を知らずに放り込む


「そうでもないんですよ、校長先生。この間父は勝手に外泊したんですから、陰で何やっているやらわかりませんよ」


「ぶっ!!」


珍しい、葛城仁父さんが吹き出した。

こんな動揺している、父を見るのは初めてかもしれない。

そんな心が揺れるそぶり全開の尊敬する父は


「い、いや、、、あれは会社のお付き合いだって言ってなかったかな、、、」


「どうですかね~?」


舞は白い眼で、実の父親を貫くように何もかも見通したように射貫くが


「そのくらいで、許してあげなさい。舞。」


実に意外に、仁義父さんの妻。


そう葛城唯母さんが、珍しく話に加わる。


「お母さんがそう言うならいいけど、、、お父さん」


「な、なんだい、、、」


「私は不貞を自分にも家族にも絶対に認めません。」


「それだけは覚悟しておいてくださいね。」


(こえぇって~、マジ舞を怒らすと大変なことになるな、、、気をつけよ、、、)


この屋敷の当主であり、夫でもある俺は本気で恐怖を妻の舞に感じた。

舞の言う事は、もっともで正しくて当たり前のことなんだけど、その迫力があり過ぎだっつうの!


仁義父さんの本当の事情が、自分にあると全く知らない本人は気軽に考えていたが、その事実、、、


候葺縁(こうぶきゆかり)の本気で命を懸けた恋の決着に突き合わされた、仁義父さんは永遠にこのことを喋ることは無かった。


「ふぉふぉふぉ、仲がよろしくて何よりじゃないですかね」


流石年輪を多く重ねてきた、帝城高校校長先生は柔和に笑いながら、この修羅場を収めてしまう。


ここで、豊一颯社長が俺の前に立ち小声で話始める。


「ここだけの話じゃぞ。【将軍】に前に水素発電技術の事を話した件なんじゃが、うちの技術屋に話したらすでに実現に向けて開発が進んでいるそうじゃ」


「えっ!」

俺は思わず驚いた顔を見せてしまう。こんなに早く現実化への道が開けるとは考えていなかったせいである。


豊一颯社長は更に腰を落として、俺に顔を近づけて小声で話を続ける。


「しかも、その開発にはこれだけの会社が関わっているというんじゃ」


そういいながら、豊一颯社長は後ろに控えている秘書らしいスタイルよく凛とした風格を持った男性に目を向ける。


そのスラリとした日本刀のような印象の男性秘書は俺の横に膝をつき、タブレットを開き見えるように画面を映し出す。


そこには、、、、


とんでもなく有名な財閥系企業から最優良情報IT企業の名前までぎっしりと書きこんであり、それぞれの大まかな役割が映し出されていた。


水素を製造、運搬、設置する企業は、旧財閥石油大手会社が一手に担い、ハードウェアつまり水素発電本体を製造する会社には、日本に限らず世界各国でインフラ整備を担う超大手会社の名前が挙がっていた。


「時代の流れに付いて行けない会社は、淘汰されるからのぅ~ガソリンを販売してきた会社が、電気や水素を売る時代になり、火力発電や原子力発電を作ってきた会社が新たに水素電力や太陽光エネルギーを産む会社に代わる。」


「この変化が出来なければ、どれだけ大きい会社でも他国の会社の傘下に入るか、潰れるしかないのじゃよ。」


「君が実現しようとしていることは、その横の繋がりを一本化に纏め上げて、現実化することが【将軍】に求められているという事じゃ」


圧倒的な、デカすぎる現実。


日本、、、いや世界のインフラを全て変えてしまうほどの驚異的な技術大国【日本】だからこそ可能となるかもしれない、大きな未来の現実。


「言い出しっぺは【将軍】なんじゃから、キチンと責任取らんといかんぞ」


眼光の底に威厳と決意をもって光る、とてつもなく厳しいまなざしで睨まれ俺は思わず言葉が出ない、、、


っと、そこに綺麗で高く若い女性の声が


「豊社長、夫はキッチリと仕事を果たしてくれます。火吹武将とはそういう男ですので、ご安心ください。」


火吹舞。俺の愛する美しい妻だ。手を前に組み合わせて、厳しい眼付の豊一颯社長と堂々と対等に渡り合う。


厳しく威厳のある顔が、一瞬にして変化して柔和な笑顔の顔に戻り


「ふゎっははは~【将軍】の奥方は、美しいだけでなく肝も座っているようじゃ。」


「良い嫁を貰ったのぅ~【将軍】。」


いやいや、舞はこのメンバーの中でよく自然体で堂々としていられるな~

俺だって、【演じてる】に過ぎないのに、どんだけ肝っ玉座ってんだよ。


「おっとそれからこの話は、一切今後他言無用じゃぞ。法律に触れることになるかもしれんからな」


豊一颯社長の言うのは、インサイダー取引になりかねないという事かな?


この話が外部に漏れて、その会社が大化けして株価が高騰した場合。


この情報を事前に知っていた者が、その関連会社の株を大量に買い込み、大きな利益を産むことを法律は禁止している。


「わかりました。」


俺は短く、丁寧に豊社長の眼を見て返事をするのが精一杯だった。


「ほっほっ、それじゃ~わしはここで引き取らせていただこうかの~」


火吹邸を退出しようとする豊一颯にスッと、近づく男性がいた。


火吹竜治叔父だ。


誰にも聞こえない声で、豊社長に小声で話す。


何を話しているかは全く二人以外には聞こえなかったが、手短な会話が済むと、豊一颯社長は


「ほっほっ、それは楽しみじゃて、火吹竜治君も頑張ってくれよ」


「はい。」


確か、豊一颯社長は葛城仁父さんと同じ大学の先輩だと聞いたことがある。


っという事は、俺の亡き親父や竜治叔父さんとも全く縁が無いという事では無いのかもしれないが、今二人で何を話していたかは、二人にしかわからない事だった。



そこで、いきなりステージから大音声と綺麗な男性とは思えない高い声がマイクを通して流れ始める。


「ハッピ~バースディ~トゥ~ユ~!ハッピ~バースディ~トゥ~ユ~」


彭城楓真の誕生日を祝う声が、綺麗に会場内というか屋敷内外に響き渡る。


こんな贅沢ができるのは、正直今の日本では俺だけかもしれないなと、一人感嘆し聞きほれる。


当然、屋敷内にいる人たちにとっても彭城楓真(さかきふうま)の生歌を聞けるとあっては、誰も騒ぐものは一人もいなかった。


ただただ、声に彭城楓真という存在に聞きほれていた。


すると、俺の手を細く長い女性の手が握り締める。


そして、ステージに向かって歩き出す。


勿論、火吹舞である。


ステージまでの間に、何人の人間にもお祝いを言われながら俺と舞は再び、ステージに登壇する。


もう恒例となりつつある。


彭城楓真(さかきふうま)とその仲間|HANZO(_)の生ライブだ。


活動停止したんじゃなかったっけ?


中退してから、一体何回ライブしてる???


1つだけいつもと違う事があった。


ステージ壇上に、艶やかさでは隣に立つ者もいない候葺縁(こうぶきゆかり)さんが、真っ赤な超スリムで体にフィットしたドレスを纏って、楓真の隣で踊っていた。


当然、胸元は大きく開いていて体の線をクッキリと表す深紅のドレスの背中も大きく空いており、女性という意味では並び立つ者はいないと感じるほどの色香を纏っていた。


これまで、俺たちのライブは何度となく行われてきたが、彼女が壇上に立つことは無かった。


それが今日は、楓真の横に立ち眩いばかりに、女性という色香を放ち巻きあげ踊る。


その姿を見て、葛城仁だけは理由をはっきりと感じ取っていた。


火吹武将に対する、恋の終幕と火吹武将のチームの一員となったことを


そのステージ上に俺と舞は並び立つ。


俺と楓真。


舞と縁さん。


美男美女の大集合だ。


帝城高校出身の学友だった友は大いに盛り上がった。


もちろん大人にとっても、今の楓真を生で見れたという事は、自慢話になるだろう。


そこで楓真はマイクを握り


「今度出る俺達(・・)のアルバムから、一曲【誠の親友】を聞いてくれ。」


そう、先日みんなで作り上げた、楓真の自主制作?ファーストアルバムの一曲。


楓真が本当に作った、俺とのデュエット曲だ。


タカヒコもホトもその場で、一緒に制作にかかわっていたので、演奏には何の支障もない。


だが、あの曲のタイトルちょっと、ハズくね?


舞は着物姿のまま、ピアノに向かい縁さんは、ダンサー?として俺たちの横で、音に合わせて踊っている。


演奏が本格的に始まり、楓真は自分のハンドマイクをスタンドマイクに差し込み、俺には別のスタンドマイクが用意されていた。


楓真が作詞作曲しただけあって、詩はともかく曲はとてもかっこよかった。


ただ、俺には高すぎるパートがいくつかあって、少々辛かったが


横で踊る縁さんは、とても優雅で艶やかだ。


超派手な衣装の割には、品格と清楚感が融合しているのはこの女性ならではの個性だろう。


その美しい後姿をバンドの一番後ろに設置された、ドラムから見るホトの眼には、女神のように映っていただろう。


しかしながら、こいつとデュエットするのは、すんごく厳しい。


難しい。


正直、音楽については平均的な俺には天才の楓真にはついていけない、パートが多すぎる。


今更だが、こいつのアーティストとしての才能の半端なさを思い知らされる。


恥ずかしいとは、思わないが、、、


ついていけないというのが、正直な気持ちだろうか?

俺の限界を感じると、実に上手く楓真が俺のパートをカバーしてくれる。


音楽に精通していないものから見たら、俺も楓真に匹敵する天才アーティストに映っているかもしれない。


しかしそれは全て、楓真が演出カバーしてくれているからであって、俺が一人で歌ったらこうはいかない。


たった一曲の全力演奏だが、皆の顔からは汗が弾け飛び、興奮に顔が紅潮する。


やっぱり、楽しいよ。


こいつらとバンドするのは!


すると、横で踊っていた縁さんが、俺のマイクに横から入り込み


「一緒に楽しみたい方は~ステージに上がって踊りまっしょう~」


っと高く遠くまで響く声で、叫ぶと真っ先にこの女性が壇上に上がってきた。


桜木優香さんだ。


今日はバイオリンを持ってなかったので、ストレスがたまっていたのかもしれない。


音に合わせて、腰を振り踊る姿は、以外と言えば意外に見えたが、とても可愛らしく何よりも楽しそうなのが印象的だった。


そうすると、次から次にステージに友人たちは上がり始めて、舞の親友である遠藤美月も髪を振り乱して踊っていた。


しかしひと際目立ったのは、2メートルの高身長のイベント大好きアメリカンなミスターマルガッス・シュタインの踊りだ。


手足が長くリズム感があり、ダンスという文化を日常として持つ流石はアメリカという、エンターテイメントなお国柄か、ダンスは年齢の割には、キレッキレで滅茶苦茶目立っていた。


ある意味、楓真より目立つという点においては群を抜いていたかもしれない。


ステージ上は、もう人が溢れんばかりの状態になり盛り上がりに盛り上がっていた。


【誠の親友】はなんと、3回も繰り返し歌い、踊り俺の誕生日をみんなで楽しんだ。


俺は、二十歳の誕生日なんてただの通過点であり、誕生日は黙っていても一年には一回必ず来るもので、特別に祝うようなことでは無いと思っていたが、こうして皆が楽しんでいる姿を見てきっと俺のために何人もの大人たちが動き今晩の誕生日会を用意してくれたのかと思うと、無性に嬉しかった。


何よりも、豊一颯社長との数瞬ではあるがとても有意義で現実的な話が出来たのは、とても嬉しかった。


そして、最後になってしまったが俺の勤める会社の上層部の方たちと挨拶を交わす。


「副社長はじめ常務、専務、木原取締役の皆様にはわざわざ私の様な若輩者の為にお時間を作っていただきありがとうございます。」


戸田副社長が初めに俺の挨拶に対して言葉をかけてくる

「火吹財閥当主という君がこれほど凄いとは露にも思わなかったよ」


「戸田副社長、これは私が作り上げたものではありません。今まで通り厳しく指導してください。」


「君の良さはその謙虚さと勉強熱心なことだね」


「ありがとうございます」


続いて元人事部でお世話になった神戸常務が右手こぶしを口元にあてながら


「くっくっ、相変わらず規格外な人間だね君は」


「ありがとうございます。そういえば皆さまご挨拶が遅れました。ご昇進誠におめでとうございます。」


「ありがたい言葉だけどね、君の夢と比べたら恥ずかしくて大きな声では言えないよ」


俺の社会人の師匠は【鬼の人事部長】の異名をとっていたが、俺と話すときは全くの別人のように思える。


木島専務が一言だけ


「火吹君二十歳の誕生日おめでとう」


寡黙に威厳ある大人としてお祝いを述べる姿は、京仁織物株式会社戸塚営業所 工場長である兄の木島工場長そっくりだ。


口数が少なく、職人気質で全く隙を見せない。

俺はこういう大人が大好きな変態だ。


そして最後は素敵でスキのない女性、木原柑奈取締役が微笑みながら俺に右手を出して


「火吹君おめでとう」


俺は出された彼女の右手を軽く握りしめて


「ありがとうございます。」


俺の弱さを辛さを知る数少ない社内の人間だ。

元葛城仁社長の秘書室長という仕事柄、俺はよく社長室に呼び出されてプライベートなことから仕事まで話していたから彼女は俺の真の姿を知る女性だが


木原取締役は仁社長の信頼を得ている女傑だけあって、そういったことは決して他人には話さない。


俺にとっても大尊敬する女性だ。


5年後の今日、俺はもっともっと人間的にも大きくなって、俺を支えてくれる大人たちはもちろん。


大切な仲間の為にも走り続けなければならないと、実感した火吹武将二十歳の誕生日であった。



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