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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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楓真が駆けるTAKERUシューズ

仕事がうまくいった後の食事会は、とても楽しく有意義であった。


かつての人間関係であったならば、こんな状況は全く考えられなかっただろう


優秀な名門大学卒業の近藤直子さんと寸動永誇さんは、かつて第2法人営業部では、プライドと気の強さで()れもの扱いだったのだ。


だが、火吹武将と一年仕事を共にして、彼女らは周りが驚くような変貌ぶりを見せていた。


返事は明るく、自分の事ばかり主張せず、相手の言い分を聞く。


返事をする時は、軽く微笑む。必要な時は無理な残業も喜んで引き受けてくれる。


まぁ、当たり前と言えば当たり前な事なんだけど、最近の若い人は特に自分の事や権利を主張し過ぎると感じるのは俺だけかな?


結局、会社に居ずらくなって辞めてしまう人もいる。


優秀な人間ほど、自分を変える事に戸惑いはなく、直ぐに変われる。


尊敬する上司に恵まれれば!!


これが一番大事だ。自分で言うのもなんだが、、、


結局は人間同士が集まって、仕事をして生活していく。

そして、お金を産む相手もまた、人間だ。


コミュニケーション能力が高い人ほど、優秀な一面があることは否定できない。


っと、俺個人的には最近よく思う。



ちょっと、疲れて自宅の屋敷に帰宅する。

時間にして22:30頃だった。


リビングに入ると、丁度屋敷の住人全員がくつろいでいた。


俺は、昼間 仁父さんに恥ずかしい所を見られてしまったので、ちょっと気まずかったが、尊敬するオヤジはいつもと全く変わらずに俺に接してくれる。


それが一番安心する。


簡単なようで、なかなか出来ない大人な行為だ。


珍しく、テレビを見ていた葛城唯母さんが、興奮しながら楓真に向かってはしゃぐ


「ねぇねぇこれって、武将さんが関わった靴のコマーシャルじゃないの?」


俺は上着を脱ぎ、シャツの姿でテレビを見ると


大画面のテレビにデカデカとCMが流れていた。


楓真(ふうま)()く、TAKERUシューズ】


真っ黒な倉庫の中の様な背景の中に、1人親友の彭城楓真(さかきふうま)が真っ黒な上下の服を着て、(たたず)み、いきなり水たまりの中を走り抜けるという、至ってシンプルだが実に【かっこいい】CMだ。


スリムな体型で首が長く、豪奢な黒髪に包まれた小さな整った顔は、やはり一言【カッコいい】としか思いつかない。


しかもバックグラウンドに流れる、曲は楓真の4枚目となる新シングル曲になる【片翼の堕天使】だ。


作詞作曲、プロデュース迄。超有名人で囲まれた、ヒット間違いなしの曲で、歌うのがこいつだ。


半端ねぇっての!!


思わず、テレビの画面にくぎ付けになる。


自分の進める仕事がうまくいくことよりも、今は楓真のカッコよさに自分を失っていた。


わずか30秒余りの時間だったが、その場にいる全員が固まり心を奪われていた。


俺が無口で不器用な親友に声をかける


「すげぇじゃん。何だよこんなカッコいいCM取っていたなら教えてくれりゃいいのに」


楓真は全く体を微動だにせずに


「驚かしてやろうと思って、黙っていた。」


っとだけ呟く。


そりゃ、びっくりだよ。


連絡位しろよ。俺も仁父さんもこの会社の社外取締役だよ、、、一応。


仁父さんは、筆頭株主でもあるんだよ。


それぞれ感想を述べる。


候葺縁(こうぶきゆかり)さんは「素晴らしいの一言ですわ、楓真さん」っと、素直に感動を女性の色香と共に表す。


「新人にしちゃまぁまぁね」っと東大学部トップ成績で入学した、俺の妻であり楓真の親友でもある舞が辛口で(のたま)う。


「楓真君には、スターになるべくして生まれた、オーラと言うか才能が溢れているね」

尊敬する仁父さんも素直に褒めたたえる。


ツネさんとシゲさんは、動きを止めて画面にくぎ付けになっている。


(言葉が出ないらしい、、、)


挿絵(By みてみん)


当の本人はいたって、飄々(ひょうひょう)と自然体でいる。これが、スターたるものの振る舞いなのか!


っと、あえて親友の才能に驚きを禁じ得ない。


(こりゃぁ~TAKERUシューズも売れるな。化けるかもしれないぞ、、、)


密かに一人考え込む。


アメリカにあるミスターマルガッスさんの会社T・T・Dから入ってくる、特殊コーティング剤は俺の想像をはるかに超えた素晴らしいもので、半永久的にコーティングできるというのも納得ができる代物だった。


それをこのTAKERUシューズの上級シューズに使用している。値段は高いが、履いて使えば一発で商品の素晴らしがわかる出来だ。


しかし、実際TAKERUシューズを世に出すまでには何百億というお金がかかっている。

だからこそ、こうやってCMを打てるわけだし、楓真のギャラだって、今ではそう安くはないはずだ。


(KABUKIエンターテイメント社長の水島さんが、かなり気を使っているだろうけど、、、)


大金を投入して、商品を売り儲けを出す。


至ってシンプルな構造だが、それには物凄い労力とお金と大きなリスクが、付いてくる。


誰にでも簡単にできる物では無いの確かだ。


依然調べた、統計調査では起業した全体の3割の会社が3年以内に無くなっているとあり、30年続く会社は全体の何と3%しかないとあった。


時代と共に変革していき、その都度にリスクを負って勝負にでる。


自由競争という名のいわゆる大博打(おおばくち)に近いと、俺個人は思わずにいられないが、あえてその博打を打とうとしているのが、俺自身でありそれが【商人の血】なのかと思うこの頃だ。


俺は候葺縁さんに身体を向けて、話題を変える。


「縁さん、ホトはどうですか?」


縁さんは、即答せずに余裕を持って間を置き、赤葡萄酒を口に少し運び小さな唇から、一言


「内緒ですわ」


今は3月上旬、4月からCOOBデザイン株式会社で働きだす、親友を心配して話を向けたのだが、あっさりと拒否られてしまった。


この一年、ホトこと保東康臣(ほとうやすおみ)は、登下校、お昼休み、帰宅してからの約10キロを毎日走って、走って走りまくったのだ。


級友が皆、大学受験に備えて猛勉強している間、あいつは一人自分と戦い続けていたのだ。

簡単な事じゃない。


しかもそれを命じたのが、縁さんだ。


ホトが恋慕を明らかにする、妖艶なる女傑だ。


そのホトの努力は、見るだけでわかるほど見違えた。


100キロ近くあった体重は、今では俺とほぼ変わらない。


身長が俺の方がある分、BMIはホトの方が高いだろうが、見違えた容姿になったのは紛れもない事実だ。


たった1人で、周りと全く違う事をする。


これが、どれだけ厳しく自分を不安にさせるか、よく知っている自分が言うのもなんだが、改めて褒めたたえてやりたい。


普通じゃできない。


絶対できない。


それを命じた、縁さんの覚悟も凄いが、実践したホトの人間性がとても誇らしく思えた。


そこに、仁父さんが軽やかに話しかけてくる。


「そういえば武将君、去年に続いて今年も、帝城高校の卒業式に出席するんだよね」


俺は少し前に郵送されてきた、卒業式来賓への誘いの手紙を思い出して


「ええ、同級生の卒業式ですから、校長先生のお誘いを断ることはできません。」


(ここの所、小袋さんの件で滅茶苦茶忙しかったから、忘れていたよ~)


(そうか、舞も東大受かって卒業するのか、、、また一つ目標に近づくな)


俺は、1人思いに拭けた。


それを妨げたのは、ほかならぬ親友の大スターだ。


「俺にも招待状が来てたから、行くぞ」


(校長先生もまた、とんでもない奴呼んだな、、、こいつ1人公の場に現れるだけで、どんな騒動になるか去年の卒業式でわかっているだろうに、、、ひょっとして校長先生も楓真のファンなの?)


そこにまたまた、当然とばかりにこの女性が、絡んでくる。


「まぁ素敵。もちろん私も出席させていただきますわよ」


居候の色香漂う、日本一を誇るデザインメーカーCOOBデザイン株式会社CEOにして、超美貌の持ち主。


候葺縁(こうぶきゆかり)さんだ。


俺の妾を自信満々に公言している。

事実とは異なるが、経済界の女王の発言である。


東大入学が決定している、舞が珍しく会話に入ってくる。


「去年の様な、暴力沙汰は止めて下さいね。縁さん。」


(えっ?)


舞が、縁さんの事をさん付けで、呼んだぞ。


前に聞いた、縁さんに対する評価の変化の表れかな?


「あれは、身にかかる火の粉を振り払っただけですわ、舞様」


縁さんも直ぐに、舞の変化を感じ取り今までの様に、喧嘩腰ではなくコミュニケーション能力に長けた女帝は直ぐに反応する。


舞も負けていない。


「あれは、油に火の粉を振り込んだような物でしたよ。縁さんのおっしゃていたことは正しかったですけど」


「おほほほ」


赤く紅を引いた、小さな口を手で隠し上品に笑う俺の仕事の師匠でもある。


「今度、私にも護身術をご教授くださいませ。」


舞が、妾を公言する女性に頼みごとをする。

優秀な人間ほど、自分を変える能力に長けているんだな。


美辞麗句をどんなに並べても足りないくらい美しい女帝は


「喜んで」


っと、一言返し会釈する。


時間にして数分のやり取りだが、その場にいる全員が微笑んでいた。


仁父さんもやっと、自責の念から解放されるんじゃないかな?

随分、舞と唯母さんにやり込められていたからなぁ~


リリリ~ン


ッとそこで、屋敷のリビングに外線電話のメロディが流れる。


静かにそして、格調高く慇懃に振舞う、火吹家の金庫番。


重道勘蔵こと、シゲさんがそっと、電話の受話器を持ち上げる。


「火吹家でございます。」


重厚に、腹の底に響く低い声で答える。


(今時、電話に出るのに()ってつけるか?普通~)


っと思わずにはいられないが、昭和の飯伏銀(いぶしぎん)の如き執事は、全くの自然体だ。


二言三言話し、通話を保留にしてリビングにいる俺達の方を向いて、これまた静かに話し出す。


「舞様、朝日テレビの早坂様という方からテレビ出演依頼が来ておりますが、いかがいたしますか?」


(東大合格発表の時に取材を受けたカメラマンだ。)


俺は直ぐにわかったが、当の本人は、、、


「テレビに出る気はないわ」っと即答で断ってしまう。


優雅に赤葡萄酒を愛飲しながら、経済界の女帝が提案する。


「舞様、失礼ながらお言葉を挟んでもよろしいでしょうか?」


舞は、向きを変え美しい女性二人同士向かい合う。


「はい、構いませんが」


「メディアの影響力は、良いも悪いも計り知れないほど大きなものでございます。今の内に慣れておくのも勉強かと存じます。」


麗しき女帝は、これまでとは全く違った喋り方で、舞に接するように今日から変わった。

自分の大切な愛弟子を丁寧に、尊厳を持って育てる親の様にに、、、


舞は逡巡し、即答する。


「縁さんがそうおっしゃるなら、シゲさん編集抜きの生出演なら出ると伝えていただけますか?」


「畏まりました。」


これまた変わらず、慇懃にお辞儀して答える。


数分間、電話口で話合い電話を切る。


即座に舞の所へやってきて


「舞様、2週間後の土曜日午前10時に生放送番組で、【日本を担う未来の若者】というコーナーに武将様と共に、出演していただきたいとの事でございます。」


『えっ!!』


俺もなの?


シゲさんは、更に驚きの言葉を平然とし合うかに吐き出す。


「楓真様もその番組に出演予定との事でございます。そこで、元同級生3人との会談をしてほしいとの依頼でございます。」


「まぁ~素敵ですわ」


「夢の様な、番組になりますわよ」


金色に染めた豪華なカールした、長髪を軽やかに揺すりながら感想を述べる。


美淑女COOBデザインCEOである。

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