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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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一週間の終わり

こうして、俺達は候葺縁(こうぶきゆかり)さんとの面接を終え、共に昼食を取り、それぞれ会話を楽しんで親交を深めた。


特記しておきたいのは、ホトの今まで見せなかった、【男】の部分がチョイチョイ見え隠れしたいたことだ。


(本気で縁さんに、惚れたのか?)


そして、時間はあっという間に経ち、夕方になったので帰宅することにした。


ホトは、縁さんと別れるのをとても惜しんでいる様子が、付き合いの長さから、ヒシヒシと伝わってきた。


縁さんはタカヒコとホトとそれぞれ、握手して別れを告げた。


そして深紅のハイブリットFerrari、走る高額納税者の証を運転しながら、縁さんは俺に話しかけてきた。


「今日は、とても楽しい一日でしたわよ。始めは武将様に騙されたことにショックでしたけど、タカヒコさんとホトさんとお会いできたのはとても楽しいひと時でしたわ」


俺は助手席に座りながら、横を見て 美しい横顔が夕陽に妖しく照らされるのにドキッとしながら


「騙したつもりはなかったんですけど、縁さんを悲しい思いにさせてしまったことは心から謝ります。」


「良いんですのよ、わたくしは武将様の妾ですから、武将様のなさることに、不満や文句など一切ございませんわ」


彭城楓真(さかきふうま)さんに舞様、ミッドさんにタカヒコさん、ホトさん。っと、武士さん これが武将様のチームなのですね。」


「皆さん、個性的な方の中にあって、ホトさんはノーマルっぽいんですのね。」


俺は美しい横顔に見とれながら「ええ、奴がいないと逆にまとまらないんです。」


「それは、何となくわかりますわ、、、他の方たちはそれぞれ自分で自分を磨いていくことでしょうね。ホトさんはわたくしが磨いてあげてよ。」


(お手柔らかに、お願いしますよ)


っと、心の中で密かに思った。



屋敷には、午後7時頃帰宅した。


日曜日の夜、楓真以外は皆屋敷にいた。


俺と縁さんが帰宅すると、リビングには仁父さんと唯母さんがテレビを見ながら談笑していた。


仁父さんが振り向き、「お帰り、珍しいね二人でどこに行っていたんだい?」


(俺は感じた。なんかトゲトゲッポイものを含んでいることを、、、何も(やま)しい事はしてませんから、信じて下さい。お父さん。)


そんな思いをこの美し女性は、一言で打ち砕く。


「とても素晴らしい時間を二人で、過ごしてまいりましたの」


(いやいや、ちゃんと説明しようよ。それじゃ誤解が深くなるでしょ)


そこに、妻の舞がリビングに入ってくる。


「お帰り、武将。ホトとタカヒコに会っていたんだって?」


(よくわかったな)


仁父さんが、にわかにホッとしながら「そうだったのかい」


舞は、全くいつもと変わらず淡々と「ええ、さっきLINEがきてたから、ホトが縁さんの会社に就職するんですって?」


(そんなことまで、聞いてるの?)


麗しき経済界の女王は「ええ、彼は磨きがいがありそうなので、お誘いしたところ(こころよ)く、快諾(かいだく)いただきましたの」


舞は、縁さんに対して、ぺこりとお辞儀をして


「ホトは、私にとっても親友です。どうかよろしくお願い致します。」


(えっ!!)


舞が、縁さんに頭を下げた。

あの、プライドが高く誇り高い、高潔な女性が妾を唄っている縁さんに頭を下げた、、、


正直、最近の舞の行動と言動には、驚かされっぱなしだ。


急成長を遂げる、愛妻であり優秀なチームメイトだ。


縁さんも、同じことを感じ取ったのだろう。


ちょっと、驚いたように


「畏まりました。舞様のご親友を立派に一人前以上(・・)にして御覧に入れますわ」


舞は一言「よろしくお願いします」


と言って、また二階の自室に戻り勉強を再開し始めた。


ほんとに優秀な人間が、本気モードになった時は 自分を変える事など、いともたやすく簡単にやってしまう。


普通、自分を変えるなんて、相当努力して時間もかなりかけて、ふと振り返ったと時に、自分の変化に気付いて変わったって言えるんじゃないの?


半年や一年で、人は変われるものじゃない。


楓真でさえ、中学校の時からプロ目指して、自分を磨いて磨いて、恋も友人も他にもいろいろなものを 削って削って やっと18歳でデビューしたんだから。


天才の異名を取る、あいつでもそれだけの時間が必要だったのに、、、


火吹舞の、俺の知らぬ、何かがきっと彼女の中には熱く激しく眠っているんだろうな。


そして、それはこれから爆発しようとしている。


結婚したせい? 子供を産んだせい? 縁さんが妾宣言したせい?


どれも、彼女を作り上げる素材には なっているだろうけど、俺は直感的に、違うと感じる。


彼女は、俺の妻や子供たちの母親としてより、俺のチームの(かねめ)として、生きていく覚悟を持ったのだ。


だから、昨日俺の部屋に入ってきて、あんな宣言をしたんだろう。


そして、今日 俺と縁さんが二人で出かけていても、全く感情的にならずに、友の為に頭を下げる。


俺は一人、感動していた。


長く一緒にいたからこそ、分かり合える心の機微(きび)

実の両親でも、見逃してしまうようなことも俺は見逃さない。


舞はチームに無くてはならない人間なのは、どうしようもない事実だから。



などと、1人 妻の事を考えていると、ツネさんがエプロン姿で、エプロンに現れた。


「皆さま、お食事のご用意が整いましたよ。」


そうして、やっと一週間が終わりを告げた。


とても、中身の濃い一週間であったな。


明日からまた、頑張るぞ!!


っと、密かに心に思い、食堂へ移動する。


その日の、晩御飯のメニューはキャベツたっぷりのとんかつだった。


明日も【勝つぞ!!】


なんてね



ーそして一年後ー



時はあっという間に経ち、舞やタカヒコにとっては、まさに受験の真っただ中の時期となった。


ホトは、coobデザイン株式会社に就職が決まっているので、勉強はそれほど熱心にしていないようだったが、驚いたのはあのホトの100キロ近くあった体重が、20キロ以上減った事だろうか、、、


候葺縁(こうぶきゆかり)さんに、4月入社するまで毎日10キロ走るように命じられたからだ。


営業は、体力気力が大切だと、言われ 雨の日も台風の日も毎日毎日ホトは、走り続けた。


周囲が呆れるくらい。


その結果、1年で体重20キロ減に成功した。


今では、ぽっちゃりどころか、鍛え上げられた 精悍な若者と変わり果てていた。


ただ、優し気な目と雰囲気は以前のまま、変わることはなかった。


ミッドは、マサチューセッツ工科大学の入試は、昨年の8月にあり、既に合格が確定している。アメリカの新学期が始まるのは9月だ。


流石はミッドだ。


理工系の問題だけでなく、英語も それもかなり特殊な英語を理解し、 答えられるレベルに達していたのだ。

正直、あいつもやっぱり、天才なんだと確信する。 


既に、ミッドは渡米していて新しい環境、新しい国アメリカにて生活を始めている。



タカヒコと舞は、共通テスト(旧センター試験)を受験して国立を目指すようだが、正直どこの大学を目指しているかは俺も知らないし、本人も話さないし、俺も聞かない。



楓真は、ドラマに主題歌大ヒットの波に乗り。


今では、実名共に大スターの仲間入りだ。


最近では、忙しすぎて顔も見ていない。


有名作詞家、作曲家に曲を書いてもらい、それをプロデュースしてもらい、彭城楓真(さかきふうま)というブランドは、才能と実力と共に大きく羽ばたく。


KABUKIエンターテイメントの看板をバックに



シングル曲を既に3曲だし、どれも大ヒット。


歌手アーティストとしては、無論のこと、役者としても開花しつつある、底の知れない天才芸能人だ。


俺の方と言えば、蛇目野社長と葛城仁社長と共に、進めてきた【TAKERU】シューズブランドが、ようやく工場も完成し、製造を始め、営業、宣伝とイメージ作りに、追われていた。


CMには、KABUKIエンターテイメント社長水島さんにお願いして、正式に契約して 楓真にYouTubeとInstagramなどのネットと共に、電車内の中刷りやテレビのコマーシャルなどで、宣伝してもらい、楓真の風貌とイメージが、商品のブランドイメージを押し上げていた。


直営ショップは、東京銀座の一等地と新宿、渋谷にそれぞれ出店し、大阪と福岡にも出店予定だ。


他にも、有名デパートから専用ネットショッピングサイトを作りネットでの注文も受け付ける。


今の時代、ネットショップとキャッシュレスは、物販には欠かせないものとなりつつある。


俺もクレジットカードは、オヤジが家族会員カードを作ってくれていたので、何枚か持っているが使ったことはない。


聞いた話では、クレジットカードにもいろいろ種類があり、年収や地位などによってアップグレードされ、普通会員 ゴールド会員 ブラックカード会員 プラチナ会員とそれぞれあり、また それも一種のステータスになるのだそうだが、


俺にはほとんど意味を感じない。


現金に困った時だけ使えればそれでいい。


カードの色には、全くと言って(こだわ)りが無い。


(ちな)みに、俺の持ってるカードは、アメックスとANA

とダイナースカードだが、どれもプラチナ以上の特別なカードなのだそうだ。


以前、シゲさんに紛失したり落としたら すぐ連絡するようにきつく言われたからな。


一枚のカードで、ベンツのSクラスの最高級グレードに全部のオプションを付けても買える価値があると、脅かされたからなぁ~


そんな怖いカード、持ち歩けねぇよ。


18歳になり、クレジットカードを持てる年齢になったので、銀色の年会費無料の楽天カードを先日作って、それを利用している。


楽天のポイントを貯めるのが、なんか楽しいんだよなこれが


等と、庶民的に普通にニヤニヤしながら、会社の廊下を歩いていると、突然声をかけられた。


「課長代理!!」


声をかけてきたのは俺の部下の近道直子(こんどうなおこ)さんと寸動永誇(すんどうえいこ)さんだ。


そう、俺は今年の4月から【課長代理】に昇格した。


それと共に、門田応史主任も係長へ


安藤聡先輩は、主任へ


そして声をかけてきた二人もそれぞれ班長へと昇格して、それぞれ2名の部下を持つことになっていた。


火吹武将の衝撃のデビュー一年目から昨年一年、俺達(・・)の係の成績は、伸びに延び。


一昨年は、売上前年対比250%アップを達成したものを 昨年は更に更新して、売上前年対比150%アップを達成した。


ッという事は、俺が入社して僅か2年で、売上高前々年対比

350%アップという事になる。


製造ラインが、悲鳴を上げていると俺の耳にも聞き及ぶ。


このまま順調に売り上げが、伸びると新たに製造工場を造らなければ間に合わないと、冗談交じりに葛城仁社長が言っていたな



俺は振り向き、いつものように堂々と自然体で話す。


「どうしました?」


1年前は、俺の事を敵対視していた、彼女ら高学歴の二人も今では絶対の信頼感を産む、俺に向かって微笑みながら


「火吹課長代理、昼食はどうするんですか?」


寸動さんが声をかけ来る。


俺は全く変わらずに「午後にアポがあるので、コンビニのお握りでも食べて行こうと思ってますが」


近道さんが、頬を赤らめて


「それでは、栄養のバランスが悪いですよ。良かったら永誇(えいこ)とお弁当を作ったんですが 召し上がりませんか?」


俺は、全く変わらずに「それは、嬉しいですね。頂きましょう。では天気もいいですから、屋上で皆で食べましょう」


と言い、安藤先輩と門田係長に声をかけて、一緒に屋上に行く。


安藤先輩は、お母さんが作ってくれたお弁当持参だった。


門田係長は、ひとっ走りして近くのお弁当屋さんで、鳥から弁当を買ってきていた。


大都心渋谷の屋上は天気も良く、気持ちよかった。


二渡の女性は、サッと敷布(しきぬの)を広げ、座る場所を確保する。


仕事も早いが、こういう気遣いも他人より早い。


以前は、気が強く ()れもの扱いされていた二人だが、火吹武将という人間が、上司になった途端 本来持っている高いポテンシャル以上の能力を発揮して、今では自分の部下には無くてはならない強力なサポートメンバーだ。


安藤先輩は、横目で俺を見て「課長代理だけって、ずるくないですか?お弁当」


お弁当を作った二人は咄嗟に、顔を真っ赤にして


「べ、別に深い意味は、あ、ありません。」


近道さんが、言い訳がましく答える。


「たまには、いつもお世話になってる、火吹課長代理にお弁当を食べていただこうと、昨日話し合って作ってきたんです。」


寸動さんも頬を赤らめてはいたが、きちんと話を貫き通す。


門田係長も安藤先輩から見ても、女性二人が俺に好意を抱いているのは明らかだが、本人の俺が鈍感すぎるのか、全くそこら辺は、感じてあげられていなかった。


「では、時間もあまりありませんから頂きましょう。」


「「「「頂きます!!」」」」


晴天の大都心のど真ん中に響き渡る。

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