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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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暁企画芸能プロダクションの暗躍

「ワン、ツー、スリー」

ドラムスティックをホトが叩き、演奏が始まる。


HANZ(_)オリジナル曲だ。


ここは、FM東京Bスタジオ生放送中だ。

番組タイトルは【未来の音楽家達】だ、この番組に高校生が出るのは異例らしい、、、


YouTubeのHANZ(_)のMVを見た番組ディレクターが声を掛けてくれた。


勿論ノーギャラだ。全員学校の制服のままだ。

舞のスカート丈が短いのが気になる、、、俺個人的に、、、


演奏は緊張感の中にも、ノリの良さを感じる余裕がみんなあった。


個性的だが、小心者ではない。


皆、どちらかと言うと典型的な【頑固者】揃いだ。


楽しんで演奏をしている。それがHANZ(_)だ。



つかみ(・・・)からいきなり、諷真がやらかす。

ハイトーンボイスで、高らかに響き渡る声で無茶振り始める。

悪乗りするタカヒコ、ベースの弦をチョッパー(・・・・・)で弾き、JAZZっぽくかましてくる。


っで、負けてないのが舞だ。

気の強さでは男に負けていない。


細く長い足で、裏拍(うらはく)を刻み、鍵盤を右端から左端迄全て使って力強く指を立てて弾く。


ここで、やらなきゃ【将軍】の名が無くよな。


キュキュキュ~キュ~ン!


俺はギターを始めたのは小等部の頃、アコステックギターに憧れ独学でピアノとは別に練習していた。


俺的にはアコースティックギターよりエレキギターの方が、いろいろ弾けられる感じが好きな気がする。


そのうちの一つが、俺の好きな速弾きだ!


1曲目から弾けた始まりで、2曲目もノリノリで、あっという間に最後のバラードになっていた。


バラードと言うと、、、もう諷馬の独壇場だ。


誰もが聞きほれる、美声と美貌に酔いしれる。


舞とタカヒコもさすがに最後のバラードで無茶はしない。


曲が終わると、FM東京の番組でMCやりながらDJやってるKATUMIさんが泣いていた、、、


「す、すごいよ君達。僕思わず泣いちゃいましたよ~」


「高校生で、このレベルってオジサンびっくりしちゃってもう~特にボーカルの~え~彭城君(さかきくん)?、君の声と顔はイケメンだよね~タッパもあるしさぁモテるんじゃない?」


「いつからバンドはやっているのかな~?」


こういう時、ミッドがいると一番楽なんだが、スタジオ内はバンドメンバーしか入れてくれなかったから俺が話し始める。


「最初にバンド組んだのは、中二の時に僕、火吹とシンセの葛城とボーカルの彭城で始めました。」


「高校に入って、常慶と保東と裏方役の御堂が加わって今のメンバーになってます」


DJのKATUMIが「そういえば君達のプロモーションビデオYouTubeで見たけど、かっこいいね。完成度も高いしとても高校生のバンドとは思えなかったよぅ~」


「ネット配信、PVプロモーションビデオMVミュージックビデオは全部、裏方の御堂がやっているんですよ。楽曲作りにも参加していて、HANZ(_)には欠かせないメンバーなんです。」


俺がここにいないHANZ(_)のメンバーを紹介する。


KATUMIさんが、横のタブレット見ながら

「twitterでも凄い反響だよ、、、うぉ!リスナーさん感激の嵐みたいだよぅ~」


「ボーカルの人の声に感動しました」とか「高校生のバンドとは思えない。」「プロになった方が良いよ」「久しぶりに良いバンド見つけました。」などなど、、、


「紹介しきれないくらい、反応が良いよぅ~!!」


俺が代表して「ありがとうございます」と答えると。


ヘッドセットから、ディレクターの声が聞こえる。

(そろそろ20時になるから切り上げてね)


KATUMIさんが「それでは~大好評だった、高校生バンド、HANZ(_)でした~皆さん応援よろしくぅ~」


俺達全員で「ありがとうございました」と答え、俺達の出番は終了する。



スタジオを出て、ホトが開口一番「面白かったな!」


高校生でラジオ生ライブやって、開口一番面白かったって言えるお前が凄いよ。

っと、おれは思うが、メンバーの中で緊張して手が震えたとか、ドキドキしたとかいう奴はいねぇんだよなHANZ(_)には、、、


心臓にぶっとい毛が生えてる奴ばっかり、、、俺が一番まともじゃねぇ、、、なんて思う時もある。


楽器をケースにしまって、電車でそれぞれ帰宅の途につく。



ー翌日ー


学校が終わると、ミッドが諷真とホトを連れて、俺達の教室に飛び込んできた。


「将軍、芸能プロダクションからオファーがあったよ」


俺と舞、近くにいたタカヒコはびっくりしてミッドの話に耳を傾けた。


「何処の事務所からだ?」俺がミッドに聞く。


ミッドは興奮しながら

「昨日のFM東京聞いて、俺達のMV見て契約したいって言ってきたんだ。今日これから会えないかって!!」


俺は冷静に「だからどこの事務所なんだ?」と再度聞く。


ミッドは俺の冷静な態度から自分の舞い上がりっぷりを少し恥ずかしく思ったようで

「暁企画って、芸能プロダクションだよ」


俺はタカヒコに聞いてみた

「暁企画なんて聞いたことあるか?」


タカヒコは冷たくバッサリと

「ないな」


俺は少し考えてミッドに向かって

「ミッド、その暁企画って調べてみろよ、お前ならすぐ出来んだろ」


ミッドは直ぐにいつも持ち歩いている薄型ノートパソコンをカバンから取り出し電源を入れる。


立ち上がるまで、俺が諷真に話しかける。

「お前はプロを目指しているんだから、あってみてもいいんじゃないか?」


諷真は「俺は自分の安売りはしない」冷たく言い放つ。


ホトも言葉をはさんでくる

「確かに、最近やばいサイトとかに出てる女の子とか滅茶苦茶、可愛かったりして、危ない事務所に所属していて無理やり出させられたりとかって話も聞くよなぁ~」


舞が両手を口に当てて

「ホトもそういうサイト見るんだぁ~」


ホトはかなり激しく動揺して

「いや、み、見ないよ。聞いただけ、そう言う事もあるって聞いただけだよ、、、」


タカヒコが一言

「見苦しい」


そこで、ミッドが額に汗をかきながら

「いや、ホトの言っているのが当たりみたいだよ」


「暁企画って、確かに芸能プロダクションでプロの俳優とかモデルとかもいるようだけど、下の上って所でやばい仕事もやってるらしい、、、事務所は一応、新宿にあるけどね」


「諷真しかHANZ(_)からプロになりたい奴はいないんだから、諷真が良いんなら断ればいいだろ。」

俺が、意見をまとめる。


「そうだね、将軍が言う事が正しいね、それじゃ断っておくよ」ミッドが引き受ける。


俺達は良いも悪くも、目標が高い。


諷真もプロになる(・・)のが、夢ではなく、プロで活躍するのが夢だ。

何処の事務所でもいい訳ではない。


舞だって、町を歩いているとよく、モデルのスカウトとかよくあるけど、冷たくあしらっているもんな。


まだやる事は決まっていないが、遊びでプロになる奴は一人もいないという事だ。


俺は正しいと思う。


世の中、スカウトされて舞い上がって、失敗する話なんて嫌って程ある。


デビューするのがゴールではなく、デビューはスタートなのだ!


諷真以外、まだ俺達は走り出し(・・・・)ていないが、ゴールはもっとずっと先にあるものだ。


ー放課後ー


今日は週一のゴンゾウさんの所でのスタジオ練習の日だ。


バラバラで、スタジオに向かおうとしていた俺と舞に声を掛けてきた男がいた。


「君達、HANZ(_)のメンバーだよね」


上下黒スーツ茶髪のチャラそうな、20代前半の大人だ。


「僕はこういう者なんだ」と言って、名刺を出してくる。


俺が受け取り読んでみる。

「芸能プロダクション暁企画営業スカウト主任、、、」


「そちらのお話は断ったはずですが」


チャラ男は引かずに言い寄ってくる。

「そうなんだけどさぁ~舞さん?君だけでも芸能人やってみないかな~なんて思ってさぁ、君ならモデルでも歌手でも絶対成功するよ~」


舞は冷たく

「興味ありません。お断りします。」

ッと言い、俺の手を引っ張り歩き出す。


チャラ男を残して歩き去る。


俺は(かす)かに、チャラ男が舌打ちしたのを聞いた。


なんか嫌な予感がした、、、

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