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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
59/107

日曜日のデートは色気が無い!

日曜日の早朝、午前5時に俺は起床し、先にやっつけなければならない仕事を片付けてしまう。


そして、9時半。


皆が起きて、食堂に集まりだす。


約一名、気合が入りすぎてる女性が、存在した。

朝から、完璧な化粧をし、髪形を整え、これでもかという程、色香を纏い上機嫌で、食堂にやってくる。


俺が昨晩、候葺縁(こうぶきゆかり)さんをデートに誘ったせいだろう。


「武将様~今日はどちらに行きますの~」


俺は、舞がこの場に居なくてよかったと本気で思った。

恐らく、子供たちの面倒を見ているのだろう、、


「渋谷のカフェに行きましょう。よく行っていたお店があるんですよ。」


「まぁ~それは楽しみですわ~」


仁父さんと唯母さんの視線がい・た・い


お父さん、お母さん僕は、絶対に舞を裏切ることはしませんよ!っと、心の中で苦し紛れに言い訳をする。


そして、深紅のFerrariは爆音をあげながら、渋谷までひとっ走りした。

縁さんは超超が二つ付くほどやはり美しく艶やかだ。

このスポーツカーを颯爽と操る姿は、他を全く寄せ付けない強い美しさを誇る。

豪奢な長く棚引くカールがかった美しく輝く髪の毛、キッと前を向きハンドルを取る姿。


アクセルとブレーキを踏む、細くきれいで長い足。


舞以外に、正直これほど素敵な女性を俺は知らない。


渋谷に着くと、縁さんは俺のシートの端に手をかけて、後方を見ながら車を駐車場に車を入れる。


思わず、ドキリとする。


自然な行為で、顔が近くにあり、長く細い指の手が俺の肩に触れるほど、縁さんを感じると思わず、心拍数が上がるのは、健康な男子ならば、当たり前だろう。


肉食獣の様に、襲われると思わず身構えてしまうが、こういった自然な偶然なシュチエーションは、心がときめくものだ。



車を降りて、ドアを閉めながら縁さんに声をかける。


「このカフェは、高校生の時 よくみんなで来たんですよ。」


「まぁ~青春の思い出の場所なのね~そんな場所に連れて来ていただけるなんて、わたくしとても嬉しくてよ」


「ええ、コーヒーが安くてうまいんですよ。」


カラン カラン


店の扉を開けて、店内に入る。


個室風のお洒落なカフェで、こげ茶を基調としたシックな木材を多用した、お洒落な古民家風のイメージだ。


俺達のお気に入りの席は、奥の大テーブルがある個室だ。


俺は先頭に立ち、縁さんを案内する。


いつもの個室に向かって、、、




そこには、二人の男が立って俺達を待っていた。


俺は、縁さんの方を向いて、待ち合わせた(・・・・・・)男を紹介する。


「こいつらが、俺の親友です。」


「こちらはCOOBデザイン社長の候葺縁(こうぶきゆかり)さんです。」


立って待っていた、1人が銀縁の眼鏡を右手の人差し指で、眼鏡の位置を調整しながら


「3月の帝城高校卒業式にご来賓で、来ていらっしゃいましたね。私は常慶貴彦(じょうけいたかひこ)と申します。よろしくお願いします。」


女帝は「・・・・・・」


続いて、ぽっちゃりした見るからに良い人風で、一目見て安心する男。


「とても綺麗な方ですね。僕は保東康臣(ほとうやすおみ)と言います。みんなはホトって呼んでくれます。」


女帝は、タカヒコとホトを見て、俺に視線を移す。


「武将様~わたくしを騙したのですね。」


俺は堂々と「これは僕らと縁さんのデートですよ。」


美しき女帝は溜息とともに「これは詐欺に近いですわよ~」


「わたくし、昨晩から嬉しくて眠れなかったんですよ~」


俺は全く動じずに堂々と「その点については、謝りますが、何の偏見も持たずに、彼らに会って欲しかったのです。」


女帝は俺の言い訳を聞かずに、うなだれ再度 溜息を吐き出す。


「はぁ~私としたことが、まんまと武将様の策に(はま)ってしまったのですね」


「恋は盲目と言いますけど~わたくしちょっと、舞い上がっていましたわ。」


「この歳で、とっても恥ずかしいですわ」


本気で恥ずかしがる、経済界の女帝を見てちょっと俺も悪い気がしたが、どうしても先入観無しで、会ってもらいたかったのだ。


しかし、彼女の立ち直りも超早かった。


キッと、顔を上げ今度は反対にいる、二人に向かい合う。


頭のてっぺんからつま先まで、じ~ッとなにも見逃さないように見つめる。


しばらく、見つめて初めにタカヒコに話かける。


常慶貴彦(じょうけいたかひこ)さん、お会いできて嬉しくてよ」


タカヒコも微笑み返し「候葺縁(こうぶきゆかり)さん、私もあなたのような美しく、品格のある女性とお会いできたことを嬉しく思います。」


「おほめ頂いて、ありがとう。」


つい先ほどまでの、落ち込んで恥ずかしがっていた、女王は既に立ち直り、いつもの女豹と化していた。


「ところで、常慶さんは将来、何をしたいので?」


タカヒコも俺とは違う意味で、美人だろうとブサイクだろうと男だろうと女であろうと対応に何ら変わらない。


ぶれない男が言う「僕は、司法試験に合格して、弁護士を目指してます。」


「ふぅ~ん」


女帝は、右手の薬指を(あご)に乗せて


「常慶さんのお父様も、司法関係者なのかしら?」


「はい、父は検察庁に勤務しており、現在は東京地検特捜部に在籍しております。」


「まぁ、難しい試験を合格して、更に難しい検察官の特捜部にいるなんて、凄いじゃない。常慶君は検察官で無く弁護士を望むのね、それは、、、」


「そうです。将軍と共にある為、日本の弁護士資格とアメリカのロースクールに通い、アメリカでも国際弁護士の資格取得を目指してます。」


縁さんは、ポーズを変えずに、右手の人差し指は顎に付けたまま、左手は見事にくびれた、女性らしい腰に手を当てて


「常慶さんにお尋ねしますわね。」


「はい、なんなりと」


女帝は大きく膨らんだ豊かな胸を誇るように


「著作権法 第10条 4について答えて下さいな。」


法律の問題をいきなり出してきた。


俺でも、びっくりした。

縁さんが、法律に詳しいなんて聞いたことも無かったから


しかし、タカヒコも普通ではない人種だ。


淡々と話し始める。


「著作権法 第10条に4はありません。」


「強いて言えば第10条は著作権物を例示する条項で、3迄しかありません。」


「また、著作権法第10条は、第1項及び第9号にあげる著作権物の保護を意味しています。」


パチパチ


縁さんは、手を叩き「お見事ね。高校生でそのレベルまで言っていれば、国際弁護士も不可能ではないわね」


タカヒコは、全く視線を逸らさず、普通に「お褒めに授かり光栄です。私の事は【タカヒコ】とお呼び下さい。」


中々やるな、タカヒコ。


今すぐにでも、社会人立派に出来るよ。

俺は心の中で、親友の雄姿を見て、改めて自信を持つ。


俺の目標の為には、やはりこいつも(・・・・)絶対必要だ。


これは、縁さんに合わせてタカヒコとホトの能力、人物像を見抜いてもらうためだったが、社会人一年生きてきた、俺にとっても、二人の面接も兼ねているのだ。


タカヒコは合格。


次はホトだ。


縁さんは、ポーズはそのまま、向きをホトに向ける。


保東康臣(ほとうやすおみ)さん。」


絶対の安心感をまき散らしホトは答える「はい。」


(緊張感も感じない、良いぞ)


「保東さんは、何がお得意なのかしら?」


丸い目を真っすぐに候葺縁(こうぶきゆかり)さんを見つめて「交渉能力と絶対引かない忍耐強さです。」


「では、保東さん。私とディスカッションしましょう」


「はい、よろこんで」


「お題は、【お互いの欠点】を言い合うことね。」


(また、とんでもない事言い出したよ~コミュニケーション能力でホトは勝てるのかな?)


女王は全くポーズを変えずに、話し始める。


「それでは、わたくしから行くわね」


「はい。お願いします。」


「保東さんは、どうしてそんなに太っていらっしゃるのかしら?自分に甘いのではないのかしら?」


ホトは、自分の体型にいきなり突っ込まれ動揺したかと思ったが、全く変わることなく


「この体形の理由は、二つあるんです。」


「一つは、初恋の相手にフラれたせいで、焼け喰いして太ってしまいました。」


「もう一つは、優先順序のせいですかね」


思いもかけない単語に縁さんが反応する「どんな優先順序なのかしらね?」


「はい、候葺さんは大変美しく、スタイルも抜群です。誰が見ても素晴らしいと褒めたたえるでしょう。」


「ありがと」


「でも、僕にとって それは、二の次なんです。」


「美しくいる為には、相応の努力と労力が必要です。僕にとってはそれは、一番大切な事ではないんです。」


縁さんは、片目を閉じて


「それでは、あなたの大切なものはとは 何ですの?」


「火吹武将という 人間の切り込み隊長であることです。」


「へぇ~、切り込み隊長って 感じは受けませんけど?」


「将軍のチームには、それぞれ超人であり、個性的と言える、人間が何人もいます。それらの干渉材であり、一番初めに切り込むのが僕の役目です。」


楓真や舞、タカヒコ、武士といった、超が付く個性的な人間の中にいて、ごく普通でありたいという事か。


まぁ、ミッドは小動物系だから、そういう意味では無害に近い。


そして、個性的な奴が切り込むより、普通のホトが行くのがうまくいく可能性が上がると考えているんだな。


候葺縁(こうぶきゆかり)さんは、チョと考えて


「それって、保東君は簡単に言うけど、結構ストレスの溜まる事じゃないの?」


「はい。だからこんな体型なんです。」


「ふふふ、面白い事をおっしゃるわね。あなたなら今すぐにでも内の会社で、営業として働いてもらいたいですわ」


(これは、これは縁さんが、そんなこと言うなんて珍しいな、、、)


「聞いてもいいかしら?」縁さんは、今では興味津々にホトを見つめる。


「はい、どうぞ」


「保東さんの初恋のっ女性って、もしかして舞様の事かしら?」


「その通りです。3度告白して、全く相手にされずにフラれました。」


「まぁ~失恋を自慢話の様に、お話になるのね。うふふふ」


(おいおい、こんな縁さん始めて見たぞ、意外にもホトが好みのタイプなのか?)


(いやいやあり得るかもだぞ、この人は外見で無く 心の形に惚れるからな)


縁さんは、微笑みながら


「それでは、次はホトさんの番ですわ」


ふくよかな、体型を揺らして、ホトは話し始める。


「候葺さんの欠点についてですね」


「はい、どうぞ何でもおっしゃってくださいな」


「それでは遠慮なく。候葺さんの欠点は【美しすぎる点】です。」


(はい?)


縁さんは、目が点になってすぐ直後に吹き出す。


「ホトさんは、本当に面白い方ね。わたくしの美しさが欠点だという意味は何処にあるのかしら?」


ホトは、俺やタカヒコとは全く違う感じでにこやかに動じずに


「美しすぎる女性は、余計な罪を背負う事が多くあります。」


「罪とはどういう事かしら?」


「一目惚れってやつですかね」


(はい?)


縁さんはまたしても、目を万丸くして


「それは、恋の告白と受け取ってもいいのかしら?」


ホトも全く動じず普通にのろける


「はい、僕は自分の事はさておき、女性の好みはかなりハードルが高いんです。こんな事言ったのは、あなたで二人目です。」


縁さんは、ちょっと考えるそぶりをして


「・・・・・・光栄なことですけど、わたくしお慕いしている殿方がいるのですよ。」


ちらっと、横目で俺を見る。


ドキッ


(今日の仕返しするつもりなのかな?)


ホトはがっくりと肩を落として


「そうですか、、、また僕の恋は実らずに終わりました。」


「候葺さん、その相手が誰であるか、聞いても良いですか?」


経済界の女王は、高校生の純粋な告白を笑い飛ばしたりせず、真摯(しんし)に神のお告げであるように答えていた。


「火吹武将。」


「それがわたくしの思い人の名です。」


「「!!」」


(やられたよ!!)


タカヒコは黙って聞いてるだけだ。ここで余計なことを言って、ホトや俺を困らしたり傷つけまいとする。タカヒコなりの配慮だろうが、俺は、、、、非常に困る。


ホトが小さく真ん丸の目を未来て


「将軍には、舞や子供たちもいますよ」


縁さんは、いつもの事を平気で堂々と答える。


「ええ、そうなの。だから【妾】にして下さいって、いつも言ってるんだけど、中々首を縦に振ってくれないんですのよ」


ホトは珍しくかなり動揺する。


「高校生の僕には、その感情がよく分かりませんが、妻帯者をお相手に選ぶのは、いくら将軍とはいえ、、、、」


候葺縁(こうぶきゆかり)さんは、真剣にホトと話していた。

30歳と18歳。


年齢、経験、立場、性別そういったものを全て、無視して彼女なりにキチンと話を続けた。


「では、例え話として」


「わたくしとホトさんがお付き合いをしていて、わたくしが、火吹武将様とは縁を切って、結婚しましょう!!」


「っと、わたくしが言ったら、ホトさんは火吹武将様と絶縁できますか?」


「うっ!」


このディスカッションで、始めてホトがつまずいた。

そして、苦しそうに胸の底から声を絞り出す。


「そ、それは、、、」


「出来ません!!」


縁さんは、優しげな眼をでホトを見て


「ホトさんのその判断は、正しくてよ。」


「わたくしの気持ちも分かっていただけると、思います。」


「高校生のあなたにしては、周囲に振り回されずに、とてもよく自分を知り、正しく行動してますわよ。」


(おかしいの多いからな俺の親友は)


「わたくし、ホトさんとお付き合いすることは出来ませんけど、わたくしがあなたに教えて差し上げる事は沢山あると思いますわよ」


「先ほども言いましたけど、卒業したらうちの会社に勤めて見ない?それとも大学行って、くだらない般養(ぱんきょう)(一般教養の略)とか勉強なさいますの?」


ホトは即断する。


「就職させていただきます。」


「親御さんは、大丈夫なの?」


「心配いりません。僕が説得します。あなたほど難しくは無いと思います」


「ほほほ」


「では、来年の4月お待ちしておりますわよ」


「はい、よろしくお願いします。【社長】。」


(おいおい、良いのか?)


こんな展開なるとは全く想像しておらず、一番びっくりしているのは、全ての人間を知る武将だった。

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