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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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土曜日もやっぱり波乱万丈

土曜日は、子供たちの散歩から武士(たけし)と一緒に帰ると、後はツネさんにお願いして、俺は仕事を始めた。


俺は、俺なりにやることは山ほどある。


毎日出される、会社各課の宿題、蛇目野社長と話を進めている、新しい靴ブランドシューズ【TAKERU】の商品の事や販売方法、京仁織物株式会社として、俺個人としてどうしたら利益を産めるか?


失敗は絶対に許されないのだから、必死で頑張るしかない。


俺のつたない経験と知識で、、、


だが、根性と度胸では、恐らく大抵の人間より強いと自分で思っている。


武将ゾーンに入ると、何時間も集中して、パソコンとにらめっこしながら、自分のノートに記帳して忘れないよう記録していく。


先日の寸動永誇(すんどうえいこ)さんや近道直子(こんどうなおこ)さんのパソコンのデータ打ちの、速さと正確さと集中力は、流石は難関一流大学を卒業して来ただけあるなと、俺は感じた。


皆は、気が強くて手に負えないようなことを言うが、俺個人的には、失敗してもへらへらしてる奴より、上司に噛みつくくらい真剣に仕事をしている人の方が好きだ。


安藤先輩に言わせると、そういう所が【自覚】が無いという事らしいが、俺にはこれがノーマルなので、言われていることがよく分からないのが本音の部分だ。



【TAKERU】ブランド基幹商品の試作が、来週には出来上がるらしいから、まずみんなに履いてもらって、感想を聞こう。


楓真に、宣伝してもらえたらいいかもな。

仕事として、KABUKIエンターテイメント社長 水島さんに聞いてみるか、、、


京仁織物の特許を取っている、高級雨具に使用している繊維で、高級ランニングシューズを作る。


軽くて、防水、通気性がよい新しい運動靴。


靴のソールとデザイン、靴型はジャメノさんの培ってきた、ノウハウを使用するとして、やはり一番の問題は履き心地と値段設定だな。


高級を唄うなら、相応しい店構え、宣伝に気を付けなくてはいけない。


直営専門店を都心や地方中心地に、何店舗か出すのもいいな。


そうすると、従業員の教育から、ショップのデザイン、配送方法、、、、等々


滅茶苦茶、大変だ。


これは、候葺縁(こうぶきゆかり)さんが得意そうだよな。


今度ちょっと、知恵を借りようかな。


会社を作るとなると、まず初めに法務局に法人登記しなくてはならない。これは司法書士を雇い、依頼する。


そして、労働基準監督所で必用な許可を取り、こっちは社労士。会計は税理士と会計士に頼む。


消防署には防火管理責任者の申告、避難経路の提出やら非常事態の為の手続き。


所轄の警察にも連絡しないといけない。


会社を作るだけでも、大変な労力とお金がかかる。


そうそう、一番大切な資本金もあった。


運転資金も必要だし、95億円かかるのも何だかわかる気がするな。



等と、パソコンとにらめっこしていると、俺の部屋の扉がノックされた。


コンコン


「どうぞ。」


俺は、首を後ろに向け声をかける。


そこには、妻の舞が相変わらず、美しい姿で(りん)と佇んでいた。


舞は部屋に入らずに、扉の外から話をしてくる。


「武将、私 子供はもう産まない。」


「へ?」


意味がよく分からずに、愛妻の美貌を見ていると


舞は「これからの人生は、あなたの妻や子供たちの母親としてより、あなたのチームの一員として生きていきたいの。」


「だから、子供は尚武(しょうぶ)結紬(ゆいつ)で、終わりにしたいの。あなたの後継者はいるし、問題ないと思うんだけど」


「いいかしら?」


(・・・・・・・)


俺は、びっくりした。


子供も正直、望んでつくったわけではない。


授かったから、今がある。


俺の将来の夢、目標は 気持ちは固まっている。


その意志に彼女なりに答えたいという、舞という女性の現実的な、発想に驚かされる。


俺は思わず「君がそう思うなら、それで構わないよ」と答えた。


舞は嬉しそうに、微笑み


「仕事の邪魔してごめんね。」


「ちゃんと避妊してくれれば、エッチはしてもいいからね」


「な、何をこんなところで、、、」


俺は激しく動揺する。中学生から異性と同棲しているというのに、その手の話に結構 初心(うぶ)なのは、俺の性格らしい


そんな、動揺している俺を見てまた、余裕で微笑み


「それじゃね」


っと、言って扉を閉める。


一人残った俺は、俺なりに何か悶々としていた。

何に対してか、わからないが、いまひとつ現実的に受け止められずに、やはり悶々とする。


そこにまた、突然と俺のスマホの着信音が鳴り響く。


(ミッドからだ)


スマホの画面をスライドさせて、電話に出る。


「どうした?」


「将軍、言いにくいんだけどさぁ、内の親が楓真の楽曲の印税の金額見て、困った事になっちゃってさぁ、どうしようかと思って、、、」


俺は、何となく今のミッドの話しぶりから、どんなトラブルか予想がついた。


そして、その予想は的中した。


ミッドは、話し続ける「父さんがさぁ、会社辞めるって言いだしてさ、あのお金を使って事業を起こすとか、新しい家を買うとか馬鹿なこと言いだしちゃって、聞かないんだよ。」


「これじゃ、僕 留学なんてできなくなっちゃうよ。どうしたらいいかな?」


俺は声のトーンも変えずに「今、ご両親は家にいるか?」


「うん、もうはしゃぎまくっちゃって、困ったよ」


俺は即断して、ミッドに宣言する。


「今から、お前の家に行くから、ご両親には家にいてもらうように言っといてくれるか?」


「うん、わかった。ありがとう将軍、それじゃ待ってるね」


返事は、明るい物に変わっていた。

火吹武将と言う人間に対する、絶対の信頼感。

自分の親よりも時には、信頼する(おとこ)だ。


「ああ、後でな」


お金は、人を変える。

権力もしかり、格差は他人や世間が決めるのではない。


自分が決めるのだ。


亡きオヤジがよく俺に言っていた言葉だ。


俺は席を立ち、自分の部屋を出てリビングにいるシゲさんに声をかける。


「10分後に、ミッドの家まで車出してもらっても良いですか?」


重道勘蔵は一言「畏まりました」と言い 白い手袋をはめた。

土曜日だというのに ネクタイを締め、ベストを着用した正装だ。


この人は、どんな時もどういう事が起こっても、【ぶれない】俺が尊敬する、数少ない大人だ。


そして、俺は亡きオヤジのクローゼットがある部屋に行き、オヤジの高級スーツを着て、髪の毛を速攻でワックスでオールバックにして、出かける。


御堂大智(みどうだいち)の家は、同じ帝城高校に通っていただけあって、目黒の閑静な住宅街にある。


車で土曜日なら20分くらいの距離だ。


ミッドの家の前に、高級車ロールスロイスファントム

が静かにそして、無言の威厳を溢れさせながら立ち止まる。


昭和の執事は、運転席から出て、後部席を開けて直立不動で扉の横に立つ。


俺は、ゆっくりと黒塗りの高級車から降り立つ。


ミッドと両親は、家の玄関から出て俺と車と昭和の執事シゲさんを見て驚いている。


ミッドの家だけでなく、周囲の何軒かの家からもカーテン越しに視線を感じる。


目黒の住宅街に一戸建ての家を買うには、年収1千万円は無いと、銀行の審査は通らないだろう。

という事は、ミッドのお父さんはそれなりに(・・・・・)勝ち組と言っていいはずだし、仕事も頑張ってきたからそれだけの給与をもらってきたはずだ。

それをたった、一曲の楽曲の大ヒットの印税を見て、自分を見失ってしまっている。


大抵の人間は、そういうものなのかもしれない。


だが、俺はそういう人間には、どうしたらよいか 一番効果的なやり方を知っている(・・・・・)



俺は、高級車で登場しオヤジの高級いスーツを身に纏い、一分の隙も見せぬ様に、身だしなみを整えて、優雅にそして堂々とミッドの玄関に向かう。


「突然、お邪魔してしまってすいません。大智君の友人の火吹武将と言います。」


と言って、両手を両足に付けて、お辞儀する。


ミッドのお父さんは、IT系外資の会社に勤めていると依然聞いたことがある。


目上の者に対する、礼儀のつもりだが、相手はかなり動揺していた。


ミッドから俺の事は詳しく聞いているだろうから


大人程、肩書や身分に弱い者なのだ。


それは、この一年間 社会人やってきて嫌って程感じてきたことだ。


「少し、上がらせていただいてよろしいですか?」


俺は、丁寧に年長者に対する敬意を失わずに、話しかける。


「あ、ああ、ど、どうぞ。」


ちょっと、嚙みながらも言葉を吐きだし、俺をミッドの家に入れてくれる。


シゲさんは、車の横で直立不動で、俺を待つ。



俺は、リビングに案内されてテーブルに腰かける。

ミッドのお母さんが、緊張気味にお茶を入れてくれる。


俺は丁寧にお礼を言い、ミッドのお父さんに顔を向け 肝心な話を始める。


「失礼ですが、お父様は今 おいくつでいらっしゃいますか?」


不思議そうにミッドのお父さんは「48歳だが、それが何か?」


「48歳ですか、、、僕の父は45歳で他界しています。」


「「「!!!」」」


ミッドが、心の中で驚く。

(そうだった、将軍にご両親はいないんだぁ)


俺は全く変わらずに話し続ける。


「印税は、いくら入金されてきたのですか?」


単刀直入に、切り込む。相手が立ち直る前に、畳み込む。


お父さんは、オドオドしながらも何とか、言葉を発する。


「5千万円くらいだが、、、」


俺は金額を聞いても全く動じずに


たった(・・・)の5千万で、これまでお父様が培ってきた、信頼や信用を売るおつもりですか?」


「失礼な言い方かもしれませんが、お父様のこれまで頑張ってこられたのそんな はした金ですか?」


「ぐっ」

思わず、御堂のお父さんは言葉に詰まる。


「大智君と僕らは、25歳で起業して、5千万円なんてお金の何十倍ものお金を稼ぎだすつもりです。」


「それには、大智君のアメリカ留学は、絶対に外せない案件です。」


「僕が、火吹武将が約束します。」


「将来、大智君は5千万以上のお金を稼ぎ、ご両親を楽にさせてくれます。今は彼の留学を優先させてやってください。」


「どうか、お願いいたします。」


俺は堂々と、お父さんの目を見ながら頼む。


すると、横に座っていた、ミッドのお母さんが、会話に入ってくる。


「お父さん、火吹君の言う事が、正しいですよ。大智にはアメリカ留学させましょうよ。私たちまだ隠居するには、早いわよ」


お父さんは黙り込む「・・・・・」


しばし、沈黙が御堂家のリビングを漂う


「KABUKIコーポレーション創始者直系の武将君が、そう言うなら、、、、そうしよう。」


(やっぱりここでも、それが絡んでくるんだよなぁ~まっ結果オーライってとこか)


「それでは、この件はこれで和解したという事でよろしいですか?」


「そういうことになる、、な」

お父さんは、まだ未練がありそうだな、、、


「はっきりと、申し上げますが、後でお気持ちを変えたりしないで下さい。ここで、きちんと約束してもらっていいですか?」


お父さんは、ついに観念した


「これじゃ、どっちが年上かわからないね。」


「もう大丈夫、君の言う事に従うよ。」


俺は安心して、どうしても言わなくてはいけない言葉を最後に吐き出す。


「それと、私たちが25歳で起業するという事は、まだ誰も知りません。口外しないようにお願い出来ますか?」


「わかった、約束しよう。」


「ありがとうございます。生意気なことを言い、大変申し訳ありませんでした。」


正しく、お辞儀をして、御堂家を出る。

ミッドが玄関まで、来てくれて


「ありがとう、将軍。助かったよ」


「いや、俺にとってミッドの能力は絶対必要だという事が、社会に出て良く分かったから、こんなのお安い御用だよ」


そして、目黒の御堂家を後にする。


自宅に着いた頃には、もう陽も暮れ夕食の時間で、仕事に行っていた、仁父さんや候葺縁(こうぶきゆかり)さんも帰宅して、いつもの様に赤葡萄酒を優雅に(たしな)んでいた。


そして、一日の最後に俺が最後の爆弾を落とす。


「縁さん、明日デートしませんか?」


「「「!!!」」」

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