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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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火吹衛士隊誕生

「私は、人を見る目だけはあるんです。強い奴か、悪い奴か、言葉だけの上っ面の人間か、大体一目見ればわかります。」


「格闘家として、強敵と命を懸けた戦いをしてきたからでしょうか?リングに上がった瞬間に、相手より自分が強いか弱いかわかるものです。」


「火吹武将様は、格闘技では私や武士にはかないませんが、どんなに酷い目におあいになろうと、命を奪われるようなことになろうとも、絶対に心が折れる事はありません。」


「あなた様のような人間は、ごく僅かですがいるのです。」


「命より【誇り】を大切にするお方です。」


褐色の強靭な格闘家は、真面目に熱心に熱意をもって喋り続ける。


(いやいや、、、いくらなんんでも、、、ほめ過ぎでしょ、、、、)


(ここ一応、お洒落なカフェだし、只でさえ目立つんだから危険な発言は控えようよ~)


「まぁ~、その辺はおいおいお互いに理解していくと言うことで、とりあえずこれから私の自宅に行き、皆に顔合わせと警備を担当する建物の場所と内容などの打ち合わせをしましょう」


「それと、今お勤めの会社とは円満に、退社されますようにお願い致します。就任時期についても今後打ち合わせしていきましょう」


「かしこまりました。」


またしても武士が割ってくる。


「自分も高校辞めて、先輩と一緒に将軍さんの為に働くっす」


(頑固だし、力じゃかなわねぇし、仕方ねぇか~ゴンさんになんて言えばいいんだろ?)


「人事に関しては、谷樫さんに一任しますが、信頼できない人間は絶対に雇わないで下さい。それだけはハードルを下げないで下さい。逆に学歴や家族構成、などは一切不問で結構です。」 


大きな巨人は大きな体を小さくして


「はい、畏まりました。」


と、テーブルの前で頭を下げる。




それから2時間後



火吹家本家 リビングに屋敷に住まう住人全てが集まる中、俺が皆に、谷樫さんと武士を紹介する。


ほぼ全員が、唖然としている。


楓真や舞は、武士とは何度も会ってるから、驚く事はなかったが、他の大人たちは驚愕の目で2人を見つめていた。


(まぁ~気持ちは分からなくもないですけど、、、身長2メートルの褐色の逞しい巨人が2人並んで立つ姿は、恐ろしいと言う言葉がぴったりくる。)


今後の趣旨と2人の役目や将来的な展望を皆に俺が話す。


一番初めに言葉を吐き出したのは、やはりこの色香漂う女性だ。


「それなら、名前を決めなくちゃね。」


「な、名前ですか?」


「火吹家を守る、方たちだから【火吹衛士隊】なんてどうかしら?」


舞が、すぐさま反応する。


「居候のオバサマが決める事ではないんじゃないかしら?」


(おいおい、、いい加減、そのくだり止めようぜ)


「【火吹衛士隊】いいんじゃねぇか」


未来のスターが、高く響くソプラノで歌うように宣言する。


またもや舞が


「居候同士で、好き勝手に決めないでよ」


仁父さんが、珍しく口を開く


「ちょっと古臭い感じもするけど、この屋敷には会ってるんじゃないかな?それに武将君の始めて経営する会社になることだしね」


(経営、、、そうか人を雇って、仕事をさせるわけだから、会社経営になるのか!)


(雇用保険や社会保険、会社設立の登記簿謄本の登記、会計士、税理士、社労士等も契約しなくてはいけないのか)


俺の不安を感じてか、古参の執事が声をかけてくれる。


「金銭処理から経理事務その他の作業処理は、全て私の方で手配させていただきますので、武将様の御心配は無用でございます。」


(流石は、我が家の金庫番にして、オヤジの番頭だった人だ。)


仁父さんとシゲさんが、二人目線を合わせ頷きあう。

ここでも恵まれた環境が、ものを言う。

立派な大人に、囲まれ助けられ俺を助けてくれる。


妻の舞が、束の間の沈黙を破って


「それじゃ社名は【武将セキュリティガード株式会社】がいいんじゃないかしら?」


またこれに即反応するのが、俺は望んでもいないし認めていもいないが、本人は俺の妾候補と堂々と銘打っている。


「火吹衛士隊に武将セキュリティガードなんて名前はアンバランスじゃないかしら?舞様」


「そもそも火吹衛士隊ってのが、古臭すぎるんじゃないですか?」


(おいおい、この二人何とかならねぇ~)


丸坊主の巨人、土門武士が低くドスの利いた声で一言


「火吹衛士隊 株式会社でいいっす。」


身体もでかいが、態度も度胸もでかい巨人は一言で、些細ないざこざをまとめて一言で、静めてしまった。


この場にいる最年少の格闘家は、最大で一番の決定権を持っていた。


だが、只黙っていることが出来ないのは、この家に住む住人の特徴の様に、華麗なる女王は


「それでは、制服と階級章は私がデザイン制作いたしますわ」


「それと、正門から警備塔に繋がるデザインもいっそ、新しくいたしましょう」


当家の女主人が、対抗する。


「いったい、そのお金はどこから誰が出すのかしらね」


年長者の美女は、たった一言


「あら、私がすべて出しますわよ。だって妾ですもの!」


「「「「!!!!」」」」


(もう言葉にならん)


仁父さん迄、悪乗りしてくる。


「いやいや、居候なのは僕たち夫婦も同じだから、そのくらいのお金は僕が出すよ」


この屋敷の住人財産全て集めたら、小さな国くらいなら買えるんじゃないか?

等と、現実味の無いことをつい考え、現実から目が遠のく


まとめるのに、少々?

てこずったが、話は大体決まり、デザイン、設計、警備方法、警備者人選と事は順次動き出す。


施工会社は、清水号建設さんに依頼することとして、やはりここでも感心するのは、候葺縁(こうぶきゆかり)社長の行動力と判断力、実行力の物凄さだ。


あっという間に、どんどん話を進めていき物事をまとめてしまった。


珍しく、舞もその様子を黙って見ていた。


舞も超が付くほど、頭のいい女性だ。

相手が、夫の妾希望者だからと、ポテンシャルの高さを過小評価したりしない。


認める所はきちんと認める。


舞なりに、火吹家当主の妻として相応しい人間になろうと努力しているのだろう。


そして、5日後から工事は始まった。


な、なんと火吹家代々守ってきた、総(ひのき)作りで武家屋敷のような大正門が、全て取り壊されてしまった、、、


新しく出来上がった、正門はデザインは英国風の鉄格子扉の奥に黒鉄色の鉄でできた2重扉であった。


シックなイメージで、今までの古風な門構えとは打って変わり、ハイセンスな門扉となった。


だが驚きなのは、そのシステム内容の凄さだった。


車は、ナンバーと運転手の顔認証で自動で開き、即常駐する警備室に連絡がいく。


もちろん24時間監視カメラも多数設置され、住人は全て顔認証又は指紋、声紋認証で入ることが出来る。


万一の場合に備えて、暗唱キーでの開閉も可能だが、その際は警備室との連絡が必要となる。


夜は暗視カメラによる、屋敷周囲一帯全てを監視して警備員も夜中も配備されている。


都市における現在の要塞である。


警備システムに使われている、カメラ、システムは全てKABUKIコーポレーション製最上級モデルの物で、その分野では世界ナンバーワンのシェアを誇る。


高さ2メートル以上ある2重扉をくぐると、左右に警備室があり、必要な場合はそこで検問する。


そして、警備室を通り抜けると、まさに要塞と言う名にふさわしい、警備塔(火吹衛士隊営舎というらしいが、、、)がガンメタリックの渋い銀色の鉄製建物が見えてくる。


営舎には、衛士隊の住居に当たる個室から訓練場、待機室、警備室、非常時式指令室、食堂など至れり尽くせりの内容設備になっていた。


この要塞の中央部の空いたトンネルを抜けると、やっと火吹家の屋敷が見えてくる。


このトンネルでも、検知システムにより自動的に一定量以上の金属や武器、危険物は持ち込めないようになっている。


もし、危険物を持ち込もうとすれば、トンネルの出口と入り口が上部より降りてくる鉄格子に阻まれ、即座に衛士隊の猛者たちが検問警備体制を取り、トンネルは一瞬にして監獄と化す。


火吹家屋敷の出入り口は、この正門を抜けるか、ごく何人かしか知らない、屋敷地下の秘密の出入り口によって、道路向かいの火吹家所有のタワーマンションのみとなる。


この地下通路の出入りのチェックは、さらに厳しく、秘匿されていた。


何ちゅう、敷地の広さだと今更ながら思い込む。


この2つ以外の、出入り口は全て封鎖され、厳重なセキュリティ体制となっていた。


万一、無理やり2メートルを超える壁を侵入しようとすれば、直ちに警報装置が作動し火吹衛士隊がオートバイや車に乗って駆けつける。


万全の火吹家要塞の誕生である。


この仕事を行った、清水号建設社長の清水社長が思わず(つぶや)


「ここまで、する必要があるものなのですかね?」


確かにその気持ちは、理解できる。


だが、この屋敷には一部上場会社の代表取締役が2人もおり、未来のスターもいて、次代の火吹家当主もいる。


心配し過ぎという事は、無いと思う。


逆にこれだけの仕事を僅か2か月で完成させた、清水社長の苦労と有能さがとてもよく理解できた。


素晴らしい。


の一言だ。


当然、それを監督していた、候葺縁(こうぶきゆかり)さんの優秀さは今更だが、、


彼女の仕事は、基本(あめ)(むち)だ。


厳しい事をバンバン言った後は、必ず褒める。

しかも、美しき女性の武器を最大に使って。


あんな目で、褒められてドキドキしない男なんか、楓真くらいしかいないぞ。


胸元開きすぎだっての!


スカートの丈が短い!


顔が近い!


この人は、自分の事をとてもよく理解して武器にしている。


尊敬できる人だ。


俺は、どうだろう?


何が、俺の武器なんだ?


火吹家と言う代紋を取り払った、後に残った俺の価値、良さとは?


前にも考えたことがあったが、依然と同じく思考を停止する。


この環境に育ったのが、火吹武将と言う人間であり、パーソナルだ。


無一文になろうと、失敗しようと俺は変わらない。


【火吹武将】は変わらない。


これからも、ずっと。


っと、そんなことを考えていると、スマホの着信が鳴る。


(ミッドからだ)


今日は丁度、日曜日なので直ぐにスマホに出る。


ミッドは興奮したように電話口に出た。


「将軍、桜木優香さんが今日帰国するって!!急に連絡来たんだよ」


「そうか!!何時頃だ?」


「それが、将軍の結婚式に参加していた、マルガッス・シュタインさんがプライベートジェットで一緒に今、成田に向かっているって」


「わかった、直ぐに成田に向かう。ミッド連絡ありがとう」


「うん、気を付けてね」


丁度、運悪く、話を聞いていた。この女傑が高らかに声をかけて、俺の手を引っ張りリビングから連れ出す。


「急ぐんでしょ、私のフェラーリで成田まで送るわ」


舞や仁父さんたちが、何も言う間もなく、高潔なる女王は俺を拉致していく。


珍しく、舞もあっけにとられてる。


(たまには、良いわよ。)


跳ね馬の異名を取る、高級スポーツカーFerrariは高く爆音をまき散らしながら、屋敷の車庫を物凄い速度で飛び出していく。


休日のガランとした、オフィス街を抜け首都高から成田まで高速道で疾走する、赤のスーパースポーツカー。


座席位置が異様に低く、運転する(ゆかり)さんの綺麗で細く長い足が、魅力的にアクセルを踏み込む。


先を行く、車と言う車が車線を譲ってくれる。


甲高い爆音を残して、抜き去っていく。


成田まで約1時間半くらいで着くとの事なので、桜木優香さんの事やマルガッス・シュタインさんの経緯など、話しながら高速道を駆け抜けていく。


(ゆかり)さんの今日の洋服は、深紅のフェラーリと相まって、濃い赤色の超ミニのワンピースだ。

腰まである長いカールした髪の毛を後方に吹き飛ばしながら、屋根のないオープンカーは速度計を見るのが恐ろしい速度で走り抜ける。


当然だが、抜き去っていく車のドライバー全員が、(ゆかり)さんを見て驚きの目をする。

(ゆかり)さんにとっては、日常の事なんだろうな、、、楓真も同じ人種だからな。


こんなことで、一喜一憂していてはいられないんだろうな、、、


慣れるしかないか。


俺もだな。




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