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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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謝罪

「武将君の提案を無条件で飲みましょう」


色香漂う魅力的な候葺 縁(こうぶきゆかり)社長は、はっきりと宣言した。


「ありがとうございます。」


俺は起立して、腰を90度曲げてお礼を言う。


「それじゃ、せめて私の自宅まで送ってくださるかしら?」


「ええ、喜んで。」


俺は立ち上がったまま、(ゆかり)社長の背後に回り、静かに優しく椅子を立ち上がるのと同時に引く。

男性のマナーとして、幼き頃から叩き込められた自然な行いだが、こういったことが(ゆかり)社長(いわ)く、帝王学と言う事らしい。


俺にとっては、ごく普通の自然な事なのだけどなぁ

幼き頃より、両親に連れ教えられたことをしているだけなのだが、、、


またすぐ様、女性の右横に立ち左手を曲げエスコートする。


魅力的な大人の女性は、とてもご満悦の様だ。


ラウンジにいる全ての人が、この二人を見ている。


芸能人と間違われているのか、何かの撮影と勘違いされているのかわからないが、どちらにしろ【実に絵】になる二人ではあった。


帝都ホテルの正面玄関を出ると、白い手袋をはめて直立不動で立つ執事の見本のようなシゲさんが、ロールスロイスファントムの後部扉を開けて、待っていてくれる。


俺はシゲさんに一言


「すいませんが、候葺 縁(こうぶきゆかり)社長の自宅まで送っていただけますか?」


「かしこまりました」


静かに答える、シゲさんは余計なことは一切言わない。


俺と候葺 縁(こうぶきゆかり)社長を乗せて、高級外車は滑るように走り出す。


(・・・・・)


この車、8人乗りなのに(ゆかり)社長は俺の座席の横にペタリと体をくっついて座る。


「この車なら、シャンパンとかあるのじゃないかしら?」


シゲさんは、気を利かしてどうやら用意していたらしい。

俺や舞は未成年だから飲酒できないから普段はそんなもの置いてある訳もないのに


「どうぞ」


と言い、ボタンを押すと前席の背もたれ後ろ側の間にある扉が、自動で開き冷えたシャンパンとグラスが出てきた。


(すげぇなぁ~シゲさん、、、これも親父の頃からそうだったのか、、、)


「まぁ、とても素晴らしいは!ドンペリのピンクじゃないの!流石は武将君ね」


(ドンペリのピンクがどれくらい高いのか知らないが、(ゆかり)社長の喜び振りからするととても高いのだろうな~)


俺は、慣れない手つきで栓を抜き(ゆかり)社長の持つ細長いシャンパングラスに、ピンク色の発砲ワインを注ぐ。


(確かに美味しそうな色合いだ、ジュースならいけるんだけどなぁ~)


(ゆかり)社長は上機嫌で、シゲさんに自宅の住所を伝えて、俺に向けて乾杯のポーズを取る。


俺は静かに首を縦に曲げる。


(しかし(ゆかり)社長、、、距離がち・か・い、、、)


ミニスカートの魅力的な足を俺の足にくっつけて、放漫な胸を俺に押し付けてくる。


(これはまずいって、、、)


(ゆかり)社長はアルコールが少し回って、さらに機嫌がよくなる。


「武将君は、今の奥様のどこに惚れたのかしら?」


いきなり本質を突いた、質問を投げてきた。


「妻とは、幼馴染なんですが、、、そうですね結婚を意識し始めたのは、両親が他界した時にずっと、一緒にいてくれた頃からでしょうか?」


「そう、またもや私の出番の前に運命の人と出会っていたのね、、、これで私を振った男は2人になったわ」


「えっ、(ゆかり)社長を振る男なんていたのですか?」


「全く二人して、振っておいてそういうこと言うかしらね~」


「ところで武将君、君にとって私は女として魅力に欠けるかしら?」


俺は、くっつぎすぎて喋る妖艶な女性に向かっていつもの様に話す。


「縁社長は、容姿は優に及ばず、頭がよく 決断力もあり 行動力 言動 どれをとってもとても素晴らしい女性と思います。」


「まぁ、それはとても嬉しい評価だわ」


縁社長は細長いシャンパングラスを揺すりながら


「それじゃ、私を武将君の【お(めかけ)さん】にして下さらない?」


「はい?」


「だ・か・ら、私は武将君に恋してしまったのよ、でもあなたは結婚しているからお妾さんにしてと言っているのよ」


「そ、そ、そんなこと出来ませんよ、、、」


「あら?なんでかしら?さっき、私の事をとても魅力的だと言ってくれたじゃない」


「いえ、それはそういう意味ではなく、、」


いきなり、縁社長のピンクの小さな唇が俺の口をふさぐ。


「!!」


俺は驚き、車のシートの隅っこ迄 飛び退く。


「ゆ、縁社長。失礼ながらこれは はっきり申し上げさせていただきますが、私はそう言う事が出来るほど、器用な人間ではありません。」


「どうかご勘弁ください。」


「全く、私を振った二人の男は、全く同じ言い訳をするのね」


「でも、良いわ。それじゃまずお友達から始めしょうね」


「・・・・・」


肉食系の魅力的な女性は、上等なご馳走を前に舌なめずりするように、ピンク色の発砲シャンパンを左手に持ちながら俺をジッと見つめる、、、、俺は少し恐怖を感じた。


「それじゃ、今度武将君のご自宅に招待して下さらないかしら?」


「ええ、別にかまいませんが、、、どうしてまた?」


「純粋な好奇心よ。天下のKABUKIコーポレーションの火吹家本家がどんなおうちなのか? それに、、、奥様にもお会いしたいのよ」


(舞と会わせたら、、、絶対まずい気がするなぁ~)


「それじゃ、今週末にお伺いするわね。」


「えっ!!」


(行動力半端ないな、この人は、、、)


「運転手さん、すいませんが、頂いたお花と一緒にご自宅の住所を書いておいてもらえますかしら?」


シゲさんは、どんな時も変わらず慇懃(いんぎん)


「かしこまりました」


とだけ答える。

シゲさんが、今の会話を舞に話すようなことは絶対しないだろうけど、、、まいったなぁ~


続けざまに、肉食系美女は質問を投げかけてくる。


「武将君はさぁ、帝城高校中退って言っていたわよね。帝城高校と言えば、お金持ちの人達の超有名進学校なのにどうして中退したの?」


俺はそこだけは、迷わずに堂々と答える。


「はい、子供を授かったからです。」


「子供が出来たから、高校を中退する意味って、武将君のおうちにとっては無いんじゃないの?」


「経済的にはそうかもしれませんが、僕の誇りが許せないのです。子度を育てるのに、働かない親という存在は僕の中にはありません。」


「やっぱり君は、特別中の特別よ。これほど本気で男性を好きになったのは、私にとっても生まれて初めてかもしれないわね。」


「大抵は、私の身体や財産、地位が目的だったりするからね、武将君はそんなものには全く興味がなく。【誇り】が自分の命より大切な人なのね」


(いやいや、そんは大層なものではないんだけど、、、この人の決断力、行動力、頭の回転の速さは半端ないな。)


等と、会話とは全く別の事を考えていると、豪奢な美女はたたみかけてくる。


「それでは、その誇りにかけて今約束して欲しいんだけど」


「な、なにを、で・す・か?」


「これからの武将君の人生の中に置いて、奥様と私以外の女には手を出さないって!」


「いやいや、だからそ、それは、、、、」


「火吹武将!約束しなさい。」


今迄のお茶らけた感じと一変して、女は豹変した。

高貴なる女王の如き、威厳と風格を伴って降臨した。


俺は、相手の本気さを悟り、右手を出し握手を求める。


「誓います。」


ただ一言だけ言って。


高貴な女王は、俺の返答を聞くなり、俺が握手として差し出した右手を取り自分の両手でつかみ、放漫な胸の谷間に埋めて、にこりと妖しく微笑む。


(%$#!”|$¥)


俺は言葉にならないほど、動揺する。


「これで、私たち公認のお妾さん関係契約確定ね。」


「そ、それはずるいですよ。(ゆかり)社長。」


「ゆ・か・りって呼び捨てにして。」


もう言葉が出てこなかった、、、、


俺の右手は、縁社長の放漫な胸に埋もれたまま、車は候葺家の自宅前に到着した。


俺はやっと、この地獄から出られると安堵し、車らから出ようとする。

シゲさんが、後部座席の扉を開けようと車を降りた瞬間。


女豹は襲い掛かってきた。


俺に抱き着いてきて、唇に唇を重ねる、、、、


「!!」


俺は、本日何度目かの驚愕を体験した。


舌が艶めかしく、俺の口の中に入ってくる。


「▽%$◇#!”〇|$×¥」


シゲさんが、扉を開けるほんの一瞬の出来事だ。


後部座席の扉があいた時には候葺縁(こうぶきゆかり)社長は俺から離れて毅然と言い放つ。


「これは、お花のお礼よ」


放心している俺を置いて、颯爽とシゲさんにお礼を言って、自宅に入っていく、肉食系放漫妖艶美女はドレスの大きく開いた背中越しにチラリとこちらを見て去っていった。


(・・・・・)


シゲさんは、縁社長が自宅の扉に収まるまで、じっと見守っていた。

そして、帰宅を見届けた昭和の執事は、扉越しに話しかけてくる。


「武将様、大丈夫でございますか?」


「・・・シゲさん。」


「はい」


「オヤジもこんなことあったのかな?」


シゲさんは、俺の質問に答えずに車に乗り込み、火吹家自宅に向け発進させる。

沈黙が続いたが、10分くらいしてシゲさんが話し始めた。


「故虎雄社長も経済界や社交界では、大変おモテになりました。」


俺は黙って聞いていた。


「しかし、私が知る限り虎雄社長が、奥様以外の女性とそういうご関係になったことは存じません。」


「そうですよね」


「武将様、時代は変わるものです。お父様の時代では虎雄社長の生き方は他の見本となり、尊敬に値する生き方でした。」


「今の時代でも、そこは変わらない|のではないですか?」


「はい、時代と言うより候葺 縁(こうぶきゆかり)社長の人としての魅力は、不肖(ふしょう)私もこの年齢になっても心動かされるものがございました。」


「女性として魅力もさることながら、人として、経営者として素晴らしい方だと思いました。」


(経営者としての資質はとにかく、ああいう肉食系なのは身近に一人おっかないのがいるからなぁ~)


「参考までに、ああいう雰囲気になった時、父はどう対応していましたか?」


「虎雄社長は、ただひたすら誤り続けておられました。」


(オヤジらしい、、、)

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