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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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誘惑

「それじゃ、またな」


陽もかなり傾きかけた頃、俺と彭城楓真(さかきふうま)は、親友たちに別れを惜しみながらも声をかけシゲさんの運転する高級車ロールスロイスに乗り込み、帰宅の途に着く。


車内では、楓真と静かに中身の濃い話が淡々とかわされていた。


「今日は付き合ってもらって、すまなかったな楓真。」


「問題ない。俺の方も良い気分転換になった。それより将軍の方は大丈夫なのか?毎晩かなり遅くまで、頑張ってるみたいじゃないか」


(え!こいつが俺の事心配してくれてるの?成長した?)


「ああ、通常の仕事以外に、会社設立やら経営に関する法律会計の勉強なんかで、かなり大変だな」


俺が唯一、弱音を吐ける男がこいつだ。

妻の舞にも言えないことでも、こいつだけは俺にとっても特別な存在だ。

両親が他界してから、ずっと俺の側にいてくれて共に走り続けてきた戦友。


「一人で出来ないことも二人なら何とかなることもあるんじゃないか?」


楓真が俺を励ましてくれる。

ぶきっちょで、変わりもんだが、優しく誇り高く、友達思いの天才アーティストは、俺だけには普通に接してくれる。


ここまで来るのに、いったい何年かかった事やら、、、


普通に皆にも同じようにできれば、もっとコミニュケーションも上手くいくのになぁ~


「ああ、ありがとうな。たまには愚痴でも聞いてくれよ」


「それは、お互い様だ。」


思わず二人で、ニヤッと笑い目を合わせそれきり一言も話さなかった。


運転するシゲさんは、口元に微笑を浮かべながら、都内の環状線を夕陽を背にして優雅にそして静かに走り続ける。



ー翌日の夜ー


高級帝都ホテル最上階のラウンジのバー


カウンターに座るのは、とても目を引く二人の男女。

一人は銀色の高級スーツに身を包んだ、葛城仁社長だ。

片手には、高級感を表す濃厚な色合いと香りのウィスキーが不定形な氷の中をカランと音を立て、波たてている。


もう一人は、、、


両肩を出した真っ赤なドレスに、放漫な胸元を魅惑的に色香を放ち、髪の毛は腰まであり顔は美しく整っており、両目は妖しく紫のアイシャドウの下に鋭く魅惑的に光り輝いていた。


そして大きく開けた胸元を飾るのは、高級装飾品だ。

しかも、とてもじゃないが普通の人の年収では買えそうもない程大きな高級石が本人の美しさを倍増するように、光っていた。


年の頃は、30歳前後だろうか?


「急に、呼び出してしまってすまなかったね」


「父の時代からお世話になっております。仁さんのお呼びでしたら、いつでもどこでも駆け付けますわよ」


声も妖しく、色気のある妖しく高い声だ。


この(うるわ)しい女性の名は、候葺縁(こうぶきゆかり)

高級ホテルの最上階のラウンジのカウンターに座る、二人を遠巻きに他の客は興味津々に讃嘆と好意の目で、チラチラ見ていた。



「それで、仁さんが私に連絡いただいたご要件は、なんでしょう?」


「ずいぶん性急な、話の持って生き方だね」


「それはそうですよ、私の好意(・・)無下(むげ)になさったのは私の人生の中でも、葛城仁。ただ一人ですから」


「それは、光栄な言われようだね。僕は不器用な人間でね、妻以外にはそういった感情が持てないんだよ」


「もっと早く私が生まれていたらと、本当に悔しいです。仁さんが結婚する前にお会いできていたらと、何度本気で考えたことか」


「それは、現実的じゃないよ。君は充分魅力的で美しく経営能力も申し分ない。僕なんかより素晴らしい男はいくらでもいるよ」


「振られた男に、言われてもしょうがありませんけど、嬉しく思いますわ。」


「ふふ、君のそう言う所はとても好ましいよ」


高級ウィスキーが入った、ロックグラスをカウンターに置いて、魅力的な深紅のドレスを身に包む候葺縁(こうぶきゆかり)の方に身体の向きを変えて、真剣な眼差しで話し始める。


「実は、頼みたいことがあってね」


「なんでしょう?」


「君の魅力で、誘惑して欲しい男性がいるんだけど」


「その言葉が、仁さんの口から出るのは、似合いませんけど?」


「僕もそう思うんだ。」


「・・・・・」


しばし、考えに(ふけ)る、魅惑の美女。


決断は早い。


「いいですわよ。必ず落として見せますわ」


「流石、決断は早いね。それじゃ、明日15時に君のオフィスに向かわせてもいかな?」


「15時ですね、大丈夫です。」


「それで、その殿方のお名前は?」


火吹武将(かぶきたけまさ)というんだ」




ーそして翌日京仁織物本社ビルー


「火吹く~ん、社長室まで行ってくれるかい?」


営業3課 課長の木下尊(きのしたたける)課長が大声で、早朝から俺に話しかける。


俺はいつもと変わらず「わかりました」と返事して自席を立ち、上着を着て社長室に向かう。


コンコン


社長室と書かれた本社ビル最上階の扉をノックする。


いつもの様に、一部の隙も見せない秘書の木原柑奈(きはらかんな)さんが扉を開け迎え入れてくれる。


「おはようございます。」


っと、俺はこれまたいつものように挨拶をし、社長室に入る。


仁社長は、社長の執務机に座っていて、机の反対側近くに俺に来るように促す。

指示されるがままに、机をはさんで対峙する。社長と平社員(義理息子)。


「今日の15時に、六本木のこのオフィスに営業に行ってくれるかな?」


俺は渡された、名刺を見る。そこにはCOBB(こうぶ)ブランド株式会社 本社の所在地と社長 候葺縁(こうぶきゆかり)の名前が記載されていた。


COBBブランド、、、、確か革製品で一躍大企業に成長した会社だと記憶にある。

皮と言う高級素材を安価に、ファッション性に特化させて若者の支持を得て成功した会社だ。


今の社長は2代目だったと思う。

親族経営で、父親が成功を収めて2代目の社長が更に、ファッション性を高めて大企業へと躍進した会社だと、自分の勉強した中では認識がある。


「わかりました。営業の内容につきまして、社長のお考えはおありですか?」


俺は会社では、義理の父に当たる仁父さんにもきちんと敬語を使う。

仁父さんも、オンとオフをしっかり分けて接してくれるので、見習う事にしたのだ。


「うん、全部君に任せるよ。先方にはアポは取ってあるからよろしく。」


「わかりました。ではすぐに準備に取り掛かります。」


社長に一礼して、クルリと身体を反転させて出口に向かう。

出口を出るときに、秘書の柑奈(かんな)さんと目が合ったので、会釈して出ていく。


社長室を出ると、早速俺は行動を開始する。

まずミッドに連絡して、いつもの様にCOBBブランド株式会社の事を調べてもらう。


情報が届くまで、俺は自分の席でCOBBブランドついて調べられるだけの事を調べる。

30分もすると、俺のパソコンに大量のデータが送信されてきた。


御堂大智(みどうだいち)からだ。


ITのスペシャリストは、普通の人では見つけられない情報をあらゆる所から引っ張ってくる。

そして、自分の作ったアプリでまとめて分かりやすくして送信してくれる。


俺は自分で調べた情報とミッドからの情報を照らし合わせて、深く考え込む。


思考する。思考する。思考する。


深く、丁寧に、自分で勉強した事項と照らし合わせていく。


そして、片っ端から電話しまくる。


等としていると、あっという間に約束の時間になってしまったので、スーツと言う戦闘服を着て、颯爽と走り出す。


「課長、営業行ってきます。」


柔和な顔に鋭い眼光の、木下課長に声をかけ部屋を出る。

昼食は、コンビニのお握りを頬張りながら、走り出す。


六本木にあるCOBB本社ビルに着いたのは、約束時間の20分前だった。

俺は、ザっとビルを見てみた。

流石はブランドメーカー本社ビルだけあって、お洒落で洗練された色使いと形であった。


そして俺は、自分の考えを確信して、1階の受付に向かった。


受付嬢は、大変美しい女性だった。

品もあり、大人の女性を感じた。

直ぐに、最上階の社長室に案内される。

途中で会う社員は、皆美しい女性ばかりだ。


社長室に行くと、総ガラス張りで中からとても美しく妖艶な女性が扉を開けてくれた。


俺が中に入り名刺を渡そうとするが、真っ白のお洒落なワンピースドレスをお洒落に着こなした女性社長は、ガラス張りの社長室のブラインドをボタン一つで、いきなり全部下した。

外側からは、中で何が行われているか全くわからない状態に突如として起こった変化に、内心で驚きながらも外面は何事もなかったかのように、自分の名刺を再度渡す。


「初めまして、候葺社長(こうぶきしゃちょう)。京仁織物株式会社の火吹武将と申します。」


妖艶な、候葺社長は俺の名刺を右手で、妖しく受け取り


「ふぅ~ん、君が火吹君なんだ、思ったより若いのね」


俺は外面はいつもと変わらないように、、、心の中はドキドキが止まらなかった。


「はい、間もなく18歳になります。」


「未成年なの?」


候葺(こうぶき)美人社長は妖艶妖しい仕草で、俺のあごに左人差し指を乗せて、耳元にいきなり顔を近づけてきて


「ふぅ~」


と甘く甘美な香りがする吐息を吹き付けてきた。


思いっきり驚く心の内とは全く逆に、堂々と話す。


「社長、失礼ながら仕事の話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」


「ええ、いいわよぅ。」


「ただし私の膝の上でね」


「!!」


大人の女性の色香など、全く興味も関心も無く触れる事も無かった、武将が初めて【大人の女性】に触れる機会であった。

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