ホトの企み
HANZOのメンバーと【25歳の誓い】を済ませた後、俺はシゲさんの車で自宅に帰る。
舞は既に、病院から帰ってきており120畳のリビングでソファにゆったりしながらスマホをいじくっていた。
120畳のリビングがどのくらいデカいかって、、、よく来客者には驚かれるんだが、、、
バスケットボールが出来るくらい?
50メートルプールが入るくらい?
生まれた時から、この家に住んでるのだからこれが当たり前で、自然な事なんだけど、、、
そもそも、俺が作った訳でもないし一応、俺の名義にはなっているらしいが、、、
そういった、お金の管理はシゲさんに丸投げ任せっきりだし。
いわば、シゲさんは我が家の金庫番という事だ。
っで、そのリビングで寛いでいる舞に帰宅した俺は聞いてみた。
「どうだった?病院」
舞は首をこっちに向けてニヤッと笑う、、、
「聞きたい?」
(そりゃ、そうだろう、、、ここでじらされてもなぁ~)
「ああ」とだけ答える。
舞は嬉しそうに「妊娠3か月だって!」新婚の奥さんみたいに喜んで話す。
(俺達高校生だよな、、、)
「順調だそうよ」
「つわりとかきつくないのか?」
俺は10人は座れるソファに寝ころび、細く長い足を投げ出して、スマホをいじくってる妻?に尋ねる。
「そうなのよね、全く普段と変わんないのよ~」
「若いからかしらねぇ」
そこに丁度、シゲさんが現われ来客を告げる。
「保東様と御堂様がお越しです。」
「こちらにお通ししてよろしいでしょうか?」
舞と俺が二人して目を合わせる。
「珍しいな、うちに来るなんて、、、お願いします。」
舞がソファから立ち上がり、髪型を気にして手櫛で形を整え、スカートを引っ張り、身だしなみを整える。
(おいおい、俺の前にいる時と随分違うんじゃないか?)
程なく、ホトとミッドがシゲさんに案内されてやってくる。
ホトが小粒で可愛い目をくるくるさせながら
「相変わらず、将軍の家はでっかいなぁ~」
っと、シャンデリアが釣り下がってる、天井を見上げ深紅のフカフカの絨毯を踏みながらリビングに入って来る。
「いらっしゃい」
と、舞が答える。
ホトは顔を赤らめて下を向く、、、
高校生にとって、近しい女性が妊娠する経験なんてないから何をどう言って分からないのだろう、、、
「2人共、まっ座れよ。」
っと、舞が座っていた馬鹿でかいソファの反対側にある1人用のソファにそれぞれ手を向け案内する。
よそよそしく、2人はそれぞれのソファに腰かけると、体が沈み込みびっくりした顔をする。
ミッドが小動物の様にキョロキョロ部屋を見ながら
「将軍って、本当にお金持ちの家に住んでいるんだね」
ホトも何度かこの家には遊びに来たことがあるが
「そもそも、門から高級車が迎えに来るって、どんな家なんだかなぁ~」
俺は笑いながら
「別に俺が稼いで作った訳じゃないし、生まれた時からこの家に住んでいたからそんな事は気にしなくていいよ」
「俺は、どこの誰でもない。何処にいても【火吹武将】だよ。」
そこにツネさんがコーラをお盆に乗せて持ってきてくれる。
一人一人に微笑みながら「どうぞ」と渡してくれる。
コーラなのにグラスは銀で出来ていて、レモンが輪切りで浮いていて、氷はアイスピックで割ったような大きく不定形な形をした氷だった。きっと、氷も北極の氷とか使っているのかなぁ~などと考え、、、
これをコーラとは言わないと、ひそかにホトは思った。
それでも、コーラを一口 口に入れると慣れしたんだ味に思わずホッとして落ち着いてくる。
っと、そこに更にシゲさんが
「葛城仁様と唯様が、お見えです。こちらにお通ししますね。」
舞が驚いて「お父さんとお母さんが、こんな時間にどうしたの?仕事してる時間じゃないの?」
シゲさんはホトとミッドは、俺にリビングに案内していいか聞いてきたが、お義父さんとお義母さんは案内すると言ってきた。
シゲさんなりに気を使っているんだな、、、
直ぐに、仁父さんと唯母さんがリビングに入ってきた。
二人はもう何度も、我が家に来ているので自然に入ってきた。
麻布にある、葛城家もとても立派な家で間違いなく【うん十億】の値段がする家だが、火吹家ほどではない。
火吹家はお金に計算するのが恐ろしい程の金がかかっている事はさすがの俺でもわかる。
舞のご両親は、ホトとミッドの姿を見ると
「お友達が来てたんだね、悪いねこんな時間に来てしまって、、、」っと、
「結果が聞きたくて、来たんでしょ。二人共。」
身もふたもない事を言ってくる愛娘の舞である。
「お父さん、心配してくれるのは嬉しいけど、仕事はちゃんとしてよね、一応社長でしょ。」
(そんな、追い込まなくても、、、)
仁父さんは、おろおろしながら
「い、いや、その、母さんが心配してだね、、、」
「言い訳しないの」
ピシャリと言い切る。
唯母さんが愛娘を優しく嗜める。
「舞、私達にとっても初めての孫になるのよ、心配しない方がおかしいでしょ」
(しかも40代でお爺ちゃんだもんな、、、)
ホトやミッドがいるせいか、頬を少し朱に染め舞は言う
「3ケ月で、順調だそうよ。私の体長も至って元気。」
「安心した?」
(そんな言い方しなくてもいいんじゃないか、、、)
思うだけで、言えない。
関白な亭主には永遠になれそうにない、、、
仁父さんは、安堵したような複雑な表情をし、唯母さんは珍しく夫の前に立ち宣言する。
「今日から私も舞たちと暮らします。あなたは自分の事は自分でおやりになって下さいね。」
「「えっ!」」
思わず、俺と仁父さんの声が重なる。
「子供を産むのは、そんなに簡単な事ではありません。」
「母親として、面倒を見るのは当然ですよね、仁さん。」
(ここで、旦那さんの事を名前で呼ぶの?血は水より濃いなぁ~)
「・・・・・・・・」
仁父さんは、何も言えず。黙ってしまった。
また、絶妙のタイミングでツネさんが
「仁様、唯様お茶が入りました」
ッと言い、10人掛けのソファの丁度後ろに当たる 敷居は無いが、客間の様になってるテーブルにお茶をそっと置く。
唯母さんが、「すいませんね、ツネさん。頂きましょうお父さん」先に客間のテーブルに付く唯母さん。
仁父さんはまだ、回復しきっていないが、促されるままに椅子に座る。
仁父さんは、そのまま放置されてしまった、、、
俺が、ホトとミッドの方に向き尋ねる。
「っで、お前ら何しに来たの?」
ホトとミッドがいきなり話を振られて、ただでさえ落ち着いてない所に、舞の両親が来て修羅場?見て、、、
動揺している所に、将軍から話を振られる。
ホトが、どもりながらも話し始める
「いやさぁ~俺らなりに考えたんだけど、帝城高校の体育館で将軍とお嬢の結婚式出来ないかなぁ~って」
「そりゃ無理だろ。俺は中退だし、舞は妊婦だぞ」
ホトは負けじと
「でもさぁ、将軍達と知り合ったのも、HANZOのメンバーになったのも【テラスの誓い】をしたのも全部、帝城高校だったじゃないか。」
「二人の結婚式には一番会ってると思うし、学校の連中も応援してくれると思うんだ。」
ミッドが割って入る
「HANZOも解散もしくは活動停止になるわけでしょ、そのケジメの舞台を高校の体育館でやれたら最高じゃない?」
「常識で考えて、無理じゃねぇ、、、気持ちは嬉しいけど、、、」
落ち込んでる、葛城仁が黙って、俺達の話を聞いていた。
そして、時間も立ちホトとミッドは帰宅した。
葛城仁は来るときは唯と二人できたが、帰りは一人。
玄関まで見送る、俺と舞と唯母さん。
自分の車に乗り込む、仁父さん。
静かに車は動き出し、門に向かって行く。
舞が一言「1週間くらいかしらね」
唯母さんが「甘いわね舞、持って3日よ」
葛城仁は誰もいない自宅に一人寂しく帰っていく。
(こぇえ~なぁ女って、、、)
密かに思う。




