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KABUKIコーポレーション  作者: イー401号
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テラスの誓い

放課後、いつもの学校の食堂テラスは、誰もいなく椅子も全部テーブルの上に逆さまにして、あげられて片付けられていた。


HANZ(_)のメンバーは舞を除き、全員が集まる。


俺は皆の顔を見て、開口一番静かにしっかりと


「俺、親になるんだ。」


「「「「!!!」」」」


メンバー全員驚きで言葉もなく、ただただ俺の発した言葉を飲み込むのに必死だ。

そりゃ、高校生で子供の親になるって言って、「おめでとう」と言う奴はいないだろうけどな、、、


始めにホトが突っ込んで来る

「お嬢が妊娠したってこと?」


お嬢とは、葛城舞の事だ。こいつは昔から舞の事をお嬢と呼ぶ。


「ああ、そうだ」

俺は冷静に淡々と答える。


「それで、高校を辞めてどうするつもりなんだ将軍?」


タカヒコが銀縁の眼鏡の奥にある鋭い眼光を光らせて俺を見つめてくる。


「そうなんだ、そこの話を皆としたいと思って集まってもらったんだ」


高校生で子供が出来る事より、その先を話し合いたいと将軍は言ってきた。

皆、話を飲み込むのにかなり時間を要した。

そりゃそうだ、周りでそんな奴見た事も聞いた事も無いだろうからな、、、


俺は、皆の衝撃が冷めるまで黙って、待った。


タカヒコが一番初めに立ち直った。

「産まないという、前提は無くて出産、育児、子育てしながら俺達とどうしていくか、話し合いたいというのか将軍は?」


「ああ、そうだ。」


堂々巡りだが、俺は冷静に静かに語る。


意外な男が言葉を発した。


「俺達にどうしろと言うんだ?」


静かにそして端的に聞いてくる。

彭城諷真(さかきふうま)である。


諷真とは舞に次ぐ、長い付き合いだ。

俺の両親が死んだ時も、随分助けられたものだ。


そもそもそこからHANZ(_)は始まっている。


普段言葉少なく、長身の超イケメンはその冷たいイメージから誤解を受ける事が多いが、俺は知っている。


こいつが、優しく激しく熱く、そして既に走り始め(・・・・)ている事を、、、


皆の視線が俺に集まる


「25歳。」


『????』


「25歳になったら俺は起業する。その時に一緒に走ってもらいたい。それぞれの形で!」


俺は覚悟を込めて、皆の視線を一身に受けながらも、微塵も動揺する事なく、覚悟を吐き出す。


ミッドが小動物系の様におろおろしながら

「大学出たとして、卒業する時は22歳だよね、その3年後に将軍と一緒に会社を立ち上げようってこと?」


「そうだ。」


短く、余計な事は発せず決意を表す。


タカヒコが聞いてくる。

「何故、25歳にこだわる?」


「俺の他界した、親父が会社を継いだのが25歳だったからだ。」


続けて、タカヒコが聞いてくる。

「将軍が、KABUKIコーポレーションを継ぐって、話なのか?」


「いや、それは無いと思う。今も叔父が社長をやっているし、そんな話出た事は無い。」


「それで、高校を辞めて将軍は何の仕事をして、起業の為の勉強をするつもりなんだ?」

タカヒコは何時も現実的だ。


「舞のお義父さんの所で、仕事して起業のために必要ないろいろな事を8年間で学ぶつもりだ」


俺の覚悟は皆に伝えた。

皆が、どういう結論を出すかはそれぞれに自由だ。

ただ、中途半端な奴は駄目だ。

俺が求めている者は【やるか】【やらないか】のどちらかでやるからには相応の覚悟を持ってもらいたい。


やっぱりこいつが結論を出すんだよな。


「俺は、歌しか歌えない。だが、将軍とやる。」


彭城諷真だ。


走り出している、こいつは決める事も早いし、行動力が半端ない。


ホトが小さな目に力を込めて


「俺もやる。」


「俺は大学に進学して、経済学を学んで営業として将軍とやりたい。」


ミッドは小柄で明るく、話し上手だが、実は天才的なプログラマーなのだ。

HANZ(_)のそっち系の仕事を一人でこなして、楽曲も作り営業やマネージャー役までこなす小柄な小動物系は実はとても勤勉で真面目なのだ。


「僕は大学院まで進んで、AIプログラマーを目指そうと思うんだ、親も協力してくれるって言うからさ」


「僕の能力が、将軍の起業する会社に必要かな?」


俺はミッドに向き直り、その身長差約20センチを埋めるように、顔を近づけ


「ミッドの能力はどんな業種でも、これから必ず必要になるものだ。それに君の仕事ぶりは俺は良く知っている。」


「ミッドの覚悟があれば、相応しい仕事と環境を作るのが俺の役目だ。」


「どうだ?俺を信じるか?」


ミッドは目を輝かして言う

「将軍の性格は良く分かっているし、リーダーとしての資質は充分良く分かってる。僕は君とやるよ。是非仲間に入れてくれよ」


タカヒコは最後に現実的な意見を言ってくる。


「俺の親父は検察官で東京地検に勤務している。」

「俺も、司法試験受けて、検察官になるつもりで勉強してきた。」


俺はタカヒコが自分をしっかり持っていて、舞と勉強で争っていたのもその為だったのか、っと思った。

それは、それで良い事だ。


自分をしっかり持っているという事だ。

俺と一緒にやって、必ず成功できるという保証は何も無い。

むしろリスクしかない、、、


検察官なら公務員で、安定していてしかも社会的地位もある。タカヒコがそれを選ぶならそれもいいだろうと俺は思った。


だが、タカヒコは


「その夢を(あきら)めて、弁護士になると言う事もありだな。どうせ弁護士になるなら国際弁護士目指して、企業の外国法律関係を学ぶのもいいな。」


「俺も乗ろう。」


こいつら、大馬鹿どもだ。


高校中退の俺を見輿(みこし)(かつ)ぎ上げて、自分の人生を掛けると言ってくれる。


大馬鹿野郎どもだ。


だが、今はそれが頼もしい。


「みんな、ありがとう。」


「俺は今月で、学校を去り、走り始める。皆も1日も早く走り始めてくれ」


ミッドがそこで


「この約束は、後に【テラスの誓い】なんて言われるようになるんじゃないかな?」


そんな洒落(しゃれ)たものじゃないだろうと、突っ込みたくなるが、、、


皆の覚悟は決まった。


後は実働あるのみ!!


実に単純で、体力勝負だ。


俺の最も得意分野でもある。





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