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神は見通し  作者: 千代 龍太郎
第二章
51/125

プロローグ

「ここに……奴がいるのね」

 風になびく髪を手で押さえ、彼女は眼下の街を見下ろす。色々な街や都市を見てきたが、ここは比較的静かな街だった。

(はや)る気持ちも分かるけど、相手の事を研究しないと返り討ちにあうよ。ターゲットだけで行動してる感じではない。必ず一人は森羅万象神が付いてるからね」

「でなきゃあ、今日まで生きてこれるワケがねぇもん」

 アドバイスと苦笑が入り混ざる言葉を耳にし、彼女は鼻から大きく息を吸い、ゆっくりと口から吐き出す。

「待ってなさい貧乏神……今こそ仇をとってやる」

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