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プロローグ
「ここに……奴がいるのね」
風になびく髪を手で押さえ、彼女は眼下の街を見下ろす。色々な街や都市を見てきたが、ここは比較的静かな街だった。
「逸る気持ちも分かるけど、相手の事を研究しないと返り討ちにあうよ。ターゲットだけで行動してる感じではない。必ず一人は森羅万象神が付いてるからね」
「でなきゃあ、今日まで生きてこれるワケがねぇもん」
アドバイスと苦笑が入り混ざる言葉を耳にし、彼女は鼻から大きく息を吸い、ゆっくりと口から吐き出す。
「待ってなさい貧乏神……今こそ仇をとってやる」




