おふろ
まさか、科学オタクがにんげんだったなんて……
「じゃあ、あなたは人間の最後の生き残りなのね。」
そう言ってやけに落ち込んでいる科学オタクの肩をたたくと、
彼はパッと顔を上げた。
「それ、なんかカッコよくて、いいな。」
……単純ね、この人。
「お客様、気分転換にお風呂に入られてはいかがですか?」
おかみさんが頬に手を当てて言った。
おかみさんによると、この宿屋の売りは大きな大浴場と露天風呂だそうだ。
「そうだな、行って来るわ。」
「大浴場は、あちらですよ。」
科学オタクとおかみさんが大浴場に向かい、私は部屋に一人残った。
この宿の床はタタミというものらしく、昔のニホン(?)を再現しているんだそうだ。
科学オタクは「なつかしい!」と言って喜んでいたけれど、
私は足がチクチクしてあまり好きになれない。
暇をもてあましていると、ショウジがカララと音を立てて開いた。
「お客様も、お風呂にはいられてはいかがですか?」
……そうね。
歩いて汗もかいたし、
ロテンブロとかいうのもちょっと気になるから、行ってこようかしら。
そういうとおかみさんはニッコリ笑って
「さあさあ、早くしないと、あの方があがられてしまいますよ。」
と、私の背中を押した。
「大浴場は、混浴ですからね。さあ、早く。」
コンヨクって……なに?