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科学オタクと吸血姫のヘイワ探し  作者: にゃ~なん
11/23

宿屋

しばらく歩き続けると日も落ちて暗くなってきたので、

一軒の宿屋に泊まることにした。


こじんまりとしているが、きれいな木造の宿屋で、

着物姿のヴァルキリーのおかみさんが笑顔で迎えてくれた。

「一泊、銅貨三枚です。」


「お金、もってる?」

「一文無しだ。」


……私は絶句しながら、ポケットから一枚の銀貨を取り出した。

おかみさんはニコニコしながら私たちを部屋に案内してくれた。


……しかし

「ベッドが一つしかないんだけど?」

あのおかみさん、私たちを恋人同士だとでも思ったのかしら?

とんだ間違いだわ。


「じゃあおれ、床で寝るわ。」

当然のように言った彼を見て、私は思わず声を上げた。

「床でっ!?……カゼひくわよ?」

あなた、いったい何を考えてるの?


「何って……別に慣れてるし。

むしろ床のほうが寝心地がいいって言うか……

研究中によく床で寝てたから……」

彼はあわてるようにそう言った。


この人やっぱり、よくわからないわ……



次回は、彼の話です。

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