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12.命題を解く冴えたやり方

 古来より提唱され続ける命題にこんなものがある。


『男女間に友情は成り立つのか』


 男と女の間で親愛が深まればそれは友情ではなく恋愛に発達してしまうから、友情は成立しないのではないか、という疑義である。まあ成立するんだけど。

 その命題を解くため、我々は画期的な解法を用意した!


「いや、成立するって言ったよね。今、自分で」


 パララパッパパー(効果音)♪ 『セイテンカーン』!

 説明しよう、セイテンカーンとはその名の通り性別を変える薬である。

「なんだなんだ。ノーベル賞狙ってるのかな。ジェンダー問題に真っ正面から向き合うのかな」

 ジェンダーとかじゃないんだよなー。性別を超えていこうぜって話なんだけどなー。難しかったかなー?

「ぶって殺すよ? 正しい意味でぶち殺すよ?」

 バカにも分かるように優しく噛み砕いて説明すると、男と男、女と女で友情が成立している二人の内、片方の性別を変えたら男と女になるわけだ。それでも二人に友情が成立すれば『(True)』。決別、または愛に進んでしまった場合は『(False)』となる。

 分かったら飲め。

「何一つ分からんです」

 オレ、オマエ、トモダチ。オマエ、オンナ、ナル。セェックス!

「分からない分からない。特に最後が分からない」

 性別(セックス)

「単語の意味とかじゃなくて文脈の流れが分からない。

 男女で友情が成立すると言うことを証明したいんよな?」

 違うね! 成立するか、しないのか。どちらでもいいから結論を出したいんだ。一人の科学者として!

「黙れ飲食店勤務。そして何故、愛情に進んだ場合を想定できるんだ」

 五分後には男と女だぜ。

「飲まんよ! 百歩譲っても君が飲みんさいよ!」

 長年連れ添った愚息が無くなると淋しいからダメだ。

「こっちも同意見だよ!」

 はぁ~。オレら二人で実験するのが手っ取り早いのに。

 じゃあ、仕方がない。別のパターンで検証しよう。

「初めからそうしなさいな。して、別のパターンとは?」

 愛に溢れた男女の片方を男にする。または逆側を女にする。男同士、女同士になっても愛情が愛情のままであれば『偽』。愛し合えないけど友達でいましょう、で収まれば『真』。

「どんな育ち方をすればそんなイカレた思考に辿り着くのか。だいたい、どこの誰を対象にして薬を飲ませる気だ」

 第一候補はオマエの親だ。

「ぶち殺すぞ!」

 次点でウチの親。

「お前は本当に人の子か!?」

 第三候補でモルモットの(つがい)かなぁ。

「お前にとって両親は齧歯類に劣るの? 怖いわ。サイコパスだわ」

 ははははは。まともなやつがこんな実験するかよ。

「正論! 自分で言っちゃいけない正論!

 いや、そもそもこの薬で性転換できるとは微塵も信じてないんだけどさ」

 安心しろ。薬の効果は実証済みだ。

「カケラも安心できない……」

 うるせえオラァ。文句ばっかり言いやがって。うだうだ言わんと飲まんかい!

「ごぶっ、おげ、うぉえぇぇ……の、飲んでしまった…………」

 ゴクゴクゴク。

「どぅえっ、お前も飲むんかいっ!」


 パララパッパパー(効果音)♪ オンナノコニナッチャッター!


「うわー! 本当に女になってしまった-!」

 な?

「お前も女になってどうするんだ!」

 なー?

「どういうことだ! 何が何だか! お前は一体何がしたいんだ!」


 とりあえず、女風呂だな。


「…………は?」

 スーパー銭湯に行って、女風呂に入ってきます。

「お前……まさか最初からそれが狙いで…………」

 へっ、バッキャロー。そんなわけあっかよ。

「格好付けやがって――――あー、あー、お前一人で行かせるわけにゃあ、いかねぇなぁ」

 ……お前ってやつは。まったく、どうしようもないな。

「仕方ないだろ。類友ってやつだからさぁ」

 やれやれ。でも、心強いぜ、親友。

「なぁに、いいってことよ」

 行くか。

「行こうじゃないか! 俺達の楽園(パラダイス)へ!」


 エンディング1:オレ達はようやくのぼりはじめたばかりだからな。

         このはてしなく遠い女風呂への坂をよ!


 そして長湯した挙げ句に薬の効果が切れ、捕まり、投獄されるまでがエピローグ。

 次こそは……エッチぃの書くから……っ!

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