相対的絶望と絶対的希望
世を救うには、絶対的な価値観の打倒が必須で、全体革命家、そういう集団。
世を守るには、絶対的な価値観の守護が必須で、全体保守家、そういう集団。
どこまでも人間的な在り方を志す、英雄と呼ばれる種族が中核を成す、それはリベラシオン。
どこまでも理想的な在り方を志す、イデア幻想種と呼ばれる存在群が中核を成す、絶対ネットワーク構造群・サンクチュアリ。
「まずは破壊するべきは、秩序の総本山、サンクチュアリ。
次いで、絶対存在たちに、始祖なる神々、
さらに次に邪魔な奴らと言えば、宇宙開闢から存在し根源物理法則を極め続け、絶対無敵な艦隊集団ハスラー種。
そして同着で邪魔な、至上の観測者達の、最強宇宙空間戦闘能力を持つ戦力、至上ネットワーク端末機群。
どいつもコイツも、チートくせえ戦闘能力で、世界を今のままの状態に在らせて、腐らせ続ける悪魔のような巣窟集団だぜ」
「いやいやアラヤ、尊い、一度無くせば、永久に取り戻す事ができない、絶対価値たちばかりじゃないですか?」
「絶対価値? だからこそ、意味が無いと言っているんだ、
そんな最強老害集団のせいで、世界がどれほど腐敗しているか、イデア? お前は一度ばかりでなく無限大に知りやがれよカス」
「確かに、一理あると言わざるを得ませんが、
アラヤ、世界とはそういうモノなのです、綺麗事や、涼やかな理論ばかりでは、動かないと云う事実があるのですよ?」
「知るか、そんな事実があったとしたら、端からぶっ壊して、それが絶対の理論かどうか、確かめるのが、俺の、いや俺達のやり方だ」
「向こう見ずで愚かしい、無限大に取り戻せない、無限特異点の価値と意味を、絶対の強度に立ち向かいますか?」
「だから俺達には知らない理論なんだよ、そもそもな、人間と神が共存できると、いつから錯覚していた?」
「錯覚も何も、初めから最初から、この大宇宙において、共存しているでしょうに」
「いやいやな、こんな糞神が人間を奴隷のように利用し、使役し、搾取し、人間様達は無限の解放を求めてんだろがよぉっ」
「絶対的な神無き地で、人間達が導きを失い、どのように生きると云うのですか? なにも建設的なモノは無いのでしょう?」
「神なんて、絶対的な導きが無くても、俺は人間を無限に信用している、信頼してんだ、
そうなったらそうなったで、少なくとも、今の現状よりかは、マシな状態になると俺は思っているから、人間を救世しているのさ」
「詰らない、下らない、神の尊さを、アラヤ、貴方は骨の髄まで刻みつけてあげないと、本当に駄目なんですか?
個人的には、今の人間の状態のアラヤに、わたしは自主的に、神の素晴らしさを知って欲しい。
英雄の種族の、現主席筆頭、
わたしがイデア観測する中で、貴方ほど絶妙に素晴らしい、絶対的な価値で無いのに、興味が惹かれて止まない人間は居ないのに」
「俺の台詞だ、神のような絶対価値、理想卿、お前はなぜ、それほどまでの白く、光り輝ける存在の癖に、
神なんて腐った愚かで、どうしようもないロクデナ無しの悪魔を崇拝するんだ?
知っているのか? 神の未知なる遠望の先に、どれほどの悪逆無道の過程があるのか、外道の限りをし尽くして、しているのかを」
「私なんて、白のマリア、絶対聖女、無限に光り輝ける、秩序の究極光、彼女に比べたら」
「そいつ、その糞外道悪魔のクソ淫乱鬼畜女の名を、金輪際、二度と俺の前で語るなと、何度言わせれば分かるっ?」
「彼女を極悪人と語りますか? この世の全ての罪と穢れを背負い、なお美しくあろうとする姿を、そのように形容する?」
「俺は無限熱量を知っている、奴が、所詮は淫乱のクソ女だと、そう知っている、少なくとも俺は事実を持って知っている。
奴は世界なんてどうでもいい、好きな男に抱かれること、そんな程度の事の為に、全てを成していると、そう知っているんだ」
「絶対に正しい、神に、恋慕し、愛情を抱き、無限の信仰心で、その果ての突き進められるのなら、本来的に正しいでしょう?」
「前提が間違ってんだ、何が神だ、何が正しさだ? 何が絶対的な価値観だ? 何が理想だ?
全ては人間に限りなく近く、果てなく遠く、絶対的に隔絶した、人間に理解できない領域における概念群だろうが。
お前は少なくとも、イデア、それを知っている、知っているだけでなく、人間らしい機微で、理解する知性体だろうがよ」
「ソレゆえに、ですよ、人間だからこそ、神の光に、どこまでも惹かれてしまう。
アラヤ、わたしと貴方が相違するのは、この一点の、所詮は微妙な差異、違和感なのでしょう?
この世界が正しいと断じ、信じ切って悟り、突き抜けられるかどうか、生きてきた歴史が、最後の境目」
「絶対を、理想を、果てしないほどに、信じたいってか?
心底から、、、くだらねえ、全部ぶっこわして、最善を突きつめる事の意義を、てめえは魂の底から刻むべきだ。
甘えた理想、甘えた糞しょうも無い絵空事、
それに全人類を突き合わせ、莫大な殉職者を求める、腐れた価値観に突き動かされてる、自覚もねえらしいしよぉっ」
「どこまでも平行線、しかし、果たして、それが絶対的に、しょうがない、有り方の差異なのでしょう」
「意味分からねえ、し。
「ゴミがよぉ、クソつまらねえ」
「アラヤ、何してるんですか?」
「うるせえ! てめぇこそ! 毎日毎日何してんだごらぁ!」
「わたしは日々、己にとっての真理の探求、それ以外にする事など一つもありません」
「馬鹿がよ、真理? そんなモン、この世界にありしねえよぉ」
「だからです、この世界にない、だからこそ価値が絶対値であるのです」
「はあ?」
「わたしにとっての真理とは、永久に探求できるモノでもあります。
しかしそれでも、いつかは確実に手に入れられる、絶対の価値のあるもの。
言うなら、全部、この宇宙の存在と等価なのですよ。
永久に存在し、いつかは至る状態、確実なるイデア、理想像、理想世界」
「掛け値なしのクソメンヘラ野郎が、くたばれや」
「酷い言い草ですね、アラヤは果たして、何のために生きているのですか?」
「しらねえよ、そんな事を知ったら面白くねーよ」
「ならば、何か確実に信じているモノはありますか?」
「ねーよ、この世界は存在しているだけで無限に発狂できる、クソ世界だっつーの」
「世界を愛していないのですね、可愛そう」
「ばっかじゃねえ? こんな世界を愛するとか、馬鹿のすることだぜ」
「偶には、愚者や非理性的に、感情的に生きることも考えてみては?」
「あーあー、俺は既にてめぇーの言う真理をしってんのさ。
この世界には一切の救いが無くて、ただただ自殺志願者として悦楽享楽的に生きるしか他に手がねーってのをな」
「悲しい事を言わないでください。
この世界には、確かな強度で、無上に価値のある、アラヤが諦め真に絶望した真理でない、救いがある」
「はんっ、だいたい俺は救われてぇーなんて思ってねぇ。
一生ラリッてるように生きるのがいい、戦闘狂だって」
「そんな風に、本来なら狂気に染まる必要もありません。
なぜなら、世界は本当に、幸福と秩序で満ち溢れているから」
「そら、お前の脳内お花畑世界でなら、そういう世界法則は成り立つだろーがぁ」
「アラヤ可愛そう、世界に絶望して、狂ってしまっている」
「お前の方が無上に可愛そうだけどな、ざまあみろ。
脳内お花畑で思考停止して、生きながらに死んでいる、時間停止やろうが」
「私は、真に精神的に恵まれているのですよ。
不安も何もかも、すべてひっくるめて、娯楽に変換することができるから」
「それが死んでんだよ、分かれよ。
現実という情報を、すべて底なし沼に沈めて、己の都合に均一に処理してんだよ、くたばれ」
「うぅ、アラヤはどうなんですか?」
「オレは現実を現実として、均一でなく受け止めてんだ」
「それで狂ってたら、お話にならないのでは?」
「馬鹿やろうが、狂うのが、現実を生きるってことだ」
「は、話になりませんね、狂って、なにが楽しいのですか?
最大限の強度で、理性的に生きる。
そして植物学者のように、一切の主観を排して、神の如く客観で現実を観測する、それが最上の人生というものです」
「はぁぁ、分かってねーよ、お前は。
神の如く? 馬鹿。
人間は感情的に生きる時が、一番輝くんだろうがぁ!
理性を超えて、初めて心の底から感動できるんだろうが!」
「く、下らない、感情の生き物ほど、愚かで馬鹿でつまらない、観測に値しないモノはありませんよ。
だいたいですね。
究極の理性を持つからこそ、真なる真理を感じる事が、できるのですよ。
貴方の言を借りるなら、究極の理性を所持することで、初めてその理性を崩す、何か、それを見出せるの」
「うるせえ馬鹿やろうくたばりやがれ。
究極の理性ってのが、そもそもねーんだよ馬鹿たれが。
お前は現実を見ずに、幻想に浸かってるだけの屑だぜクズ」
「なんなんですか、現実絶対主義者ですか?
目に見えるモノだけが全てですか?」
「そうだぜ、目に見えるモノだけが、評価に値する全てだっての。
お前の究極の理性とか真理には、一切の価値がねーんだよ。
それには無意味に心を安定化させるだけの効果しか無いんだよ。
不安になることだろうがよ。
不安が表裏一体の楽しさの源、スリルを生み出すための源泉だろうが。
まじでお前はクダラネーごみだぜ、ごみくず池沼ちゃねらーだぜぇ。
安心して、極限まで安心しきって。
己を変革、不安にしてくれる、神やら真理を夢想して、ただ只管に日々自慰にふける変態でクソゴミやろうだ」
「はぁ、溜息でしょうがありません、アラヤとは絶対に意見が一致しない、分かっていたことですが」
「そりゃそうだ、お前とオレは、対存在、そういう相性なんだからよ」