魔法が使えるの?
あれから色んな話を聞いた。
私はこの世界では精霊の子供と言われる人になったらしい。
17才にもなって子供とか・・って思ったけど、7人のみんなの年を聞いてそれも当然か・・と納得した。
眩しい光の髪の男の人は見た目通り光の精霊で、名前はクラルテ。
緑の髪の男の人は、風の精霊でヴァイン。
青い髪の女の人は、水の精霊でラクィア。
赤い髪の男の人は、火の精霊でフラム。
青と緑の混じった髪の女の子は、木の精霊でアブル。
茶色い髪のおじさんは、地の精霊で、デッラ。
黒い髪の女の人は、闇の精霊で、テネーブル。
アブルとフラムはまだ産まれて500年くらいらしいけど、クラルテ・ヴァイン・ラクィア・テッラ・テネーブルは2000年を超えてからはもう数えていないと言われたのでそれ以上なんだろう。
私に色んな事を教えてくれたのは風の精霊であるヴァインだった。
最初はクラルテが教えてくれるはずだったんだけど、この世界の名前とか何故私がココに来たのかを聞くと、(それが当たり前だからだ。)と胸をはって言われてしまい、それを聞いたヴァインやラクィアによって「クラルテは説明禁止!」となったからだ。
ともかくヴァインの説明によると、私がココに来たのは予め決められていたそうだった。
この世界での今日の日付、花の月の2モワの日に精霊の子供がこの世界に降り立つと決められていたらしい。
この世界の一年は、全部で12ヶ月。
一か月は30日と決められており、向こうの世界での4月はこちらの世界で花の月。
5月は緑の月、6月は萌と読むそうだ。
そして一週間は同じだけど読み方が違う。
モワ、フラン、アクト、セブル、オーロ、デル、タークで、元の世界の月〜日曜日になっている。
どうやらなん月なん日という言い方はしないようで、花の月の2モワとは花の月の二週目のモワと言うそうだ。
そして、この世界。
この世界に名前は無いけど、私がいるのはアースディア王国にある惑いの森の奥の聖なる場所という所らしい。
この世界には魔獣がいて、しかもこの惑いの森は人が入れないよう術がかけてあり、聖なる場所であるこの場所から少し離れた所にはA級冒険者でも相手にならないほどの魔獣もいるそうだ。
(冒険者かぁ。 やっぱりギルドとかあるのかなぁ。)
〔ただ、この惑いの森にいる限り魔獣に襲われることはないから。〕
火の精霊フラムがそう話す。
この森は精霊の森。
いくら強い魔獣とはいえ、それは人に対してだけ。
精霊には襲って来ないらしい。
精霊の子供である私も、精霊と同等と見なされるそうで強い魔獣は襲って来ないが、ただそれ以外の魔獣は別だそうだ。
〔知能がある魔獣は襲って来ないけど、知能のないのは襲ってくるよー。 あいつらバカだからねー。〕
そう言うのは木の精霊アブル。
〔・・この森は・・安心。〕
〔そうだのう。 儂らもおるし、暫くはここにいてみたらどうかの?〕
闇の精霊テネーブルと地の精霊デッラの提案にのった方が良さそうだと思った。
とりあえず、暫くはこの場所にいる方が良さそうだ。アブルが言うには森には食べる物もあるし、精霊の子供が来るから簡易だけど小さい小屋も作ってあると言われた。
「でも、なんで私がくることを知ってたの?」
私の問いかけにクラルテが答えてくれた。
〔我らは今日この時、この場所へ来なければいけない事を知っていた。それは誰に教えられることなく産まれた時から。〕
私が今日、この場所にやってくることは予め決められていた事だという。
「それで、私はこの世界で何をしたらいいの?」
何かを決められてこの世界に来たのならば、何をしたらいいのか聞けばいい。
〔精霊の子供がしたいことをすればいいのよ。 この森で止まるのもいいし、世界を見て回ってもいい。 魔法を使ってしたいことをしてもいいしね。〕
ラクィアはそう言って微笑んだ。
え?
私、魔法がつかえるの??