私はどうしてここにいるの?
〔流石に驚いているようだのう。〕
美形に驚く暇もなく、茶色い髪のおじさんが近づいてくるのを見て後ずさりする。
「あの・・えっと。 誰?」
呆然としながらも声のでた自分によくやったと言いたい。
目が覚めて森?にいるのに気づいてから訳がわからないことだらけだ。
私の周りにいる丸い玉も訳がわからないし、7人の美形がいきなり現れた事にも頭がついていかない。
それでも、現状把握くらいは!と思う。
〔我らは人から大精霊と呼ばれる者。〕
光輝く髪の人が私の質問にそう答える。
「え・・っと。 で? 誰ですか?」
この人は頭がおかしい人なのだろうか?
精霊ってあのよくライトノベルに出てくるやつでしょ? そんなのが私の前にいるわけないし、ましてや自分から名乗るだなんて。
〔ま、混乱するのも無理ないって! 精霊なんて見たことないんだよな? あっちの世界でも。〕
そう言いながら炎を纏いはじめる赤い髪の人。
(は?)
そんなに近くにいるわけじゃないのに、炎を感じて少し熱い。
(待って。 あれ本物なの?)
〔君は自分の姿を見て不思議に思わないかい?〕
唐突に聞こえてきた緑の髪の人の声。
〔君はこの世界ではない所から来たはずだ。 そしてそこではその姿では無かったはず。〕
確かに緑の髪の人の言う通り私はごく普通の日本人で髪の毛も黒かったし、目も黒かった。
だけど今は金茶色の髪に空色の瞳。
緑の髪の人の言う事が本当なら、今私がいる場所は日本じゃないし、地球ですらないことになる。
「え? 世界が違うの? 嘘・・。」
嘘だと思いたい。
だって今日の朝、普通にお母さんの位牌に声をかけて、そして大家のおばあちゃんと挨拶もして。
何の変哲もない普通の一日だったのだ。
〔可哀想に。〕
水色の髪の人が私の頬に手をのばす。
その手は何故か濡れていて。
それに気づくともうダメだった。
「・・ふっ・・うぇ・・ふえええんん!!」
お母さんの位牌置いてきちゃった!
大家のおばあちゃん!優しかったおばあちゃん!
そして高校で出来た友達のみんな。
みんなの顔が脳裏をよぎる。
やだ!やだよおおお!!
〔・・・神も酷なことを・・する。〕
黒い髪の女の人が頭を撫でる。
私はどうしてここにいるの?