表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊に愛されし早少女  作者: 月宮 (つきのみや)
私がこちらに来た日々は
10/18

治癒術とは。


周りの静けさに内心では(ヤバイ!)と焦るが、まだ怪我人がいたはずだとミノリは周りを見る。


だが、足が痛いはずのその人は治療が終わった人のそばで呆気にとられていた。


だけど、そんなことはおかまいなしにすぐ側へ行き足に向かって「ヒール」を唱える。

足が曲がっているとはいえよくこんな怪我のままで人一人を背負ってきたな。とミノリはその人の我慢強さに感心しながら。


「終わりましたけど。」


そんなミノリの一言を待っていたかのように周りから一斉に声がかけられる。


「なんだ!あの治癒は!!」


「治癒師って無くした足も再生出来るんだ。」


「バカ野郎!そんなの出来るわけないだろうが!!」


「あれは神官の領域ですよね?しかも高額の。」


「うおおーー! 俺初めて見たー! 治癒ってすげぇ!」


「え? あれ? 治癒ってこんなのでしたっけ?」


そんな声が聞こえる中でミノリに近づくのは最初に助けを求めた男の人。


「バグスを助けてくれてありがとう。 俺はブルードと言う。 Dランクの冒険者だ。 」


そのブルードの声にさっき治癒した男の人もミノリへと頭を下げる。


「俺はジェイル。 同じくDランクの冒険者だ。 ルードを助けてくれて感謝する。後、俺の怪我もありがとう。」


丁寧な感謝の言葉にミノリも慌てて自己紹介する。


「あの! 今日から冒険者のミノリと言います。そんなに感謝されることをしたわけじゃないので。」


「ミノリさん。 あなたの治癒師としての働きにギルドから見合うだけの報酬が出せないのですが。」


そう言ってミノリの側に立ったのはあの受け付けの女の人。そしてその後ろには眼鏡を片側だけかけた男の人がいる。


「「「(ギルド)マスター!!」」」


周りのその声にこの人がこの冒険者ギルドのマスターだと知ったミノリ。


「え? 受け付けのお姉さんがギルドマスターさん?」


周りの人達によると、大型討伐の時や、何らかの事情でギルドに人がいない時などに時々ギルドマスターが受け付けを担当するとのこと。


「今日は大型討伐があったからギルド員が出払っててね。 で、新人の人が来ると私が受け付けを担当するの。 改めて初めまして、この街アルタイン支部冒険者ギルドのマスター、シューリアです。私の後ろにいるのが副ギルド員のカートルード。 よろしくね。」


「これでもここにいる誰よりも年寄りなのよ。」

そう小声で言ってフフッと笑いながら挨拶してくれるギルドマスターのシューリアさん。


「それでね。 さっきの書類を見てミノリさんに頼んだ治癒のことなんだけど・・。 まさかエクストラヒールまで使えるなんて思わなくて・・報酬が・・。「高額なのはわかっている! なんとか払うようにする!」


「助けて貰ってるんだ。 全財産を使ってでも支払いするから!」


すまなそうな顔でこちらを見るシューリアさんの言葉を遮るように言葉を出すブルードとジェイル。


「あの・・。 報酬は通常支払う治癒師さんと同じでかまわないんですが。 使ったのは初級のヒールとキュア、中級のエクストラヒールのみなので。」


そんなミノリの発した言葉にギルドマスターのシューリアは目を瞠った。


「エクストラヒールが中級!? そんなわけないじゃない! あれは神官でも上位の人しか使えない治癒術なのよ!? ましてや足の再生までしてるんだから。 」


「そうだ。 本来エクストラヒールは治癒のみで再生なんてできない。 君が行ったのはもっと上位の治癒だ。」


シューリアさんの言葉に続いて話しかけてきたのは副ギルド員のカートルード。


このギルドでも治癒術を行う者は数人いる。

だが、ヒールは本来ちょっとした怪我を治すだけ。

エクストラヒールを使えるのはこのギルド内でも希少な神殿から出向している二人。

だが、そのエクストラヒールでは骨折など少しひどい怪我を治す事は出来ても無くなった足を再生する事は出来ないという。

(恐らく、エクストラヒールではないのだろう。)

再生は神殿で高額な報酬を寄付して初めて神官が行うものなのだ。


つまりミノリはただのエクストラヒールを使うだけで、神官並みの治癒を行ったのだ。


「え?でも、治癒って初級、中級、上級、最上級なんですよね? それで初級はヒールとキュア、中級はエリアヒール、エクストラヒール。 上級でエリアエクストラヒール、ソウルリバース、最上級がエンジェルブレス。 そのうち私の使ったのは初級と中級なんですけど? それで高額報酬って言われても。」


治癒術について話すミノリ。

治癒を行う者がいるのだから当然知っているものだと思っての事だ。

だが、それを聞いたギルドマスターのシューリアの反応はミノリが思っていたのとは違うものだった。


「は? え? 上級?最上級?」


シューリアが聞き返すのも無理はない。

治癒として知られている魔法はヒール、キュア、エクストラヒールの三つのみ。


神官が神殿で行っているのは通常ミノリの使用したエクストラヒールとその上のソウルリバース。

しかも、ソウルリバースは神官のなかでも最高上位につく者しか使用できない為秘匿技術とされており、世間一般的にその呪文があることさえ知られていない。


「すまないが、ソウルリバースとは?エンジェルブレスとはどんなものなんだ?」


シューリアではあてにならないとふんだカートルードがミノリに質問する。


「えーっと、確かソウルリバースが意識不明の人を治す呪文ですし、エンジェルブレスは完全完治ですね。 四肢欠損しても元の状態まで戻せます。 肉体再生と疲労回復まで行う治癒術最高の呪文です。 今回使用したエクストラヒールはエンジェルブレスとは違うので足は再生しても流れた血は戻らないし、本人の魔力から再生を行ったので少なくとも元どおりに歩けるまで時間がかかります。」


「ちなみに元どおりに歩けるまでの期間は?」


「恐らく一週間くらいかなー? 貧血もあるし魔力がたまるまで安静にしとかないと。」


カートルードの質問に淡々と答えるミノリ。


だけど、その内容は驚くべきものだ。

ミノリの答えは今までの治癒術の全てが根幹から覆るものなのだから。


「今回使ったのは初級と中級くらいなので、そんなので高額とか逆に貰えないですよーあはは。」





冒険者ギルドの静かな空間にミノリの笑い声だけが響いていた。




すみません。


内容を読み返す時間がなかったので後で少し編集するかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ