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第十八訓練生 零

作者: 椿山 昇

「目標物との距離は約2,800m 気温20,3℃ 

 風向き、北北西 風力2,0 湿度66%」

無線で目標物との、距離が教えられる

「嘘つけ、中谷!!気温20℃、湿度66%だと?

 絶対に30℃、湿度は90%を超えてるね」

俺は、土や草などでカモフラージュされてるが、

中身は鉄とコンクリートで密閉された部屋の中にいた

「まぁそう言うなゃ竹中、室内と外では気温がなまら

 違うんだよ」

「ったく、そっちはいいよな 外だし、何しろ一人じゃないしな

 それに古いが日本製の武器だしな」

俺の横には、誰もいない あるのは

弾薬とモシン・ナガン(ライフル)とミニミ(軽機関銃)があるだけだ

それに引き替え向こうは高台にいて外にも出てて

武器は室蘭にある数少ない、日本製の「三式12cm高射砲 改」だった。


「ほら、そんなことはどうでもいいから、さっさと撃て

 目標物は待ってはくれないぞ」

「はいはい・・」

俺はモシン・ナガンを目標物に標準をあわせ

引き金を引いた

目標物に弾が命中し、目標物はじけた。

すると、無線で

「よーしリンゴ消滅を確認 よかったな、新記録だぞ、竹中

 ハイ、訓練終了 今回も竹中の勝ちでございます」

俺は無線で中谷に

「おぃ、中谷忘れてないだろな?」

「はぃはぃ、飯をおごればいいんだろ?」

「わかってるじゃないか、ついでに勇二の分もな」

「おぃおぃ勘弁してよ・・なんで弟の分もおごらなきゃいけないのさ」

「こんな時期だし、金がないんだよ。頼むよ」

「・・仕方ないな、早く学校に戻るべ」

「俺はカレーな、しかも、から揚げセット」




俺と中谷は室蘭港防衛隊に所属していた。


しかし、防衛隊とは言ってもそんな建物があるわけでもなく

今は、室蘭の学校にお邪魔している感じになっていた。

学校に戻るとなにか、ざわついていた

すると先に学校に着いていた中谷達が

「おぃ、聞いたか竹中? また中央の奴等が俺達の武器を取りにきたらしいぞ」

「またかよ、もう室蘭には、ほとんど日本製の武器はないぞ」

「俺達の高射砲は大丈夫だがそれ以外の武器はほとんど持って行くらしい」

「嘘?俺のミニミは大丈夫か?」

「いゃ、どうやらそれを中国に持って行くらしい、他にも・・」

「じょっ,冗談だろ?そしたら俺はどうやって戦えばいいんだよ?」

「製鉄所にあるRPDを使うらしいぞ、あそこなら古い銃なら

 そこらへんに転がってるからな」


室蘭製鉄所には古い銃から改良し新しい武器を作る施設がある

高射砲も改良した武器の一つである

だから、中国やロシアから奪った武器や古い銃などが置いてあるのだ。

モシン・ナガンもその中から見つけたのだ


「嘘だろ?あれこの前、暴発して散々な目にあったじゃないか」

「大体、この前も俺のM-24(ライフル)を持って行ったくせに」

「日本以外で戦っている軍隊さんは偉いからだそうだ」

納得もしないまま、中央の奴等は俺のミニミや他の武器を持って行った。



「兄ちゃん、俺のおいたリンゴどうなった?」

食堂でカレーを食べながら勇二が聞いてきた。

「勇二、お前あの場にいなかったのか?」

「うん、リンゴを置いたあと製鉄所で緊急招集がかかって

 そっちに行ってたの」

「まじか、じゃあリンゴはあのままか、やばいな後で取りに行かなきゃ」

「で?どうだったの?」

すると、中谷が

「勇二、お前が今食ってるカレーは誰が買ったと思ってるんだ

 しかも、竹中は、から揚げカレーにサラダ付きだぞ。」

「じゃぁ、兄ちゃんが勝ったんだ」

「そうだぞ勇二、この俺に対しては、血も涙もない兄ちゃんに感謝しな」

「うん、ありがとう兄ちゃん。じゃ、これから仕事だから行くね」

そう言って勇二は仕事場に行ってしまった。

「なぁ竹中、日本もどうかしてるよな、勇二を

 あんな危険な製鉄所で働かせるだなんてよ

 まだ9歳だろ?」

「仕方ないよ、今は俺や勇二みたいな孤児は日本人として

 扱ってくれない時代なんだ」


俺と勇二は本当の兄弟ではない、ただ同じ場所で空襲にあい

その空襲で親を互いに失い そのショックで言葉を失った勇二が

俺が世話していく形で一緒に生きてきた勇二が

「これから、兄ちゃんって呼んでもいい?」と、

突然、失っていた言葉を取り戻し、俺を兄ちゃんと

呼ぶようになっただけの関係だ。



「でもその時は、お前泣いただろ」

カレーを食いながら中谷がそう聞いてきた

こいつ、俺の心が読めるのか?

「当たり前だろ、感動したよ。1年間ぐらい喋らなかった勇二が突然喋って

 突然お兄ちゃんだぜ 感動するに決まってるだろ」

「で?泣いたのか?恥ずかしがるなって吐いてしまえ楽になるぞ」

「ご想像にお任せします」


すると、後ろから

「なんだよ、竹中って恥ずかしがり屋だな」

こいつは、中谷と一緒に高射砲を操る仲間の竜崎だ

「いいだろ恥ずかしがり屋でも、で?どうしたんだ」

「いゃ、座るところがなくてよ隣いいだろ?俺の彼女もいるけど?」

そう言いながら隣にまだOKもしてないのに座って来た

「なんだ自慢をしに来たのか?いいよな彼女、俺も欲しいよ

 なぁ中谷?」

すると、中谷は何やら勝ち誇ったかのように

「悪いな竹中、俺も最近できたんだ」

「なにっ!!じゃあ彼女いないの俺だけ?」

隣に座っていた竜崎が

「でも竹中、お前、部下には結構慕われているだろ」

「男にモテたって意味ないんだよ竜崎」

すると、彼女が

「今度、誰か紹介しましょうか?」

だが、中谷が

「紹介しない方がいいですよ こいつすごい上がり症で緊張すると

 倒れちまいますから」

「変なこと言うなよ、中谷

 こんなことより、竜崎、俺たちに何の用だよ。そこの彼女

 室蘭の情報司令部に所属してる人だろ」

「ちぇっ冗談の通じない奴だぜ まぁ彼女なのは本当だけどな

 彼女からもらった情報なんだが

 人間爆弾って知ってるか?最近シベリアでは、その被害が出てるんだ

 いま、ロシア人の数人かが、装備しているらしい」

中谷が落としたスプーンを拾いながら

「なんだその気味の悪い話は?」


「スパイの情報によるとはじめは、

 犬につけて走らす予定だったらしいが

 犬が、弾が飛び交う中、怯えて自軍に戻ったりして大変だったらしい

 だから、人間につけて走らすのさ。いわゆる昔の日本がやっていた

 玉砕ってやつだ」

ったくよくこんな気味の悪い話をしながら食事ができるもんだ。

俺と中谷は完全に食欲が無くなりスプーンが止まる中

竜崎とその彼女はラーメンを食べ続けていた。

似た者同士、くっつくと言うがまさにそれだ。


まだ、竜崎の話は続き

「実際は人間爆弾を付けているやつは重罪人か

 相手に知られたらまずい情報を持ってる奴が情報漏洩を

 防ぐために付けてるらしい 別に任意で付けてる奴もいるらしいがな

 まぁ、それほど奴等も必死なんだろう 詳しい造りのことは分からないが

 手榴弾と同じ原理だろう安全ピンを抜いて衝撃をあたえてドカンだ」


しかし疑問が残る

「なんで、こんな田舎町でそんな情報がわかるだよ」

「それは、彼女は中央に知り合いがいてなそいつが情報司令部の結構上にいてな

 それでここにもそんな話がくるのよ」

「なるほど」

そう言いながら残りのカレーを頑張って、一気に口に流し込んだ。


「さて、本題はこれからだ、中谷と竹中よ

 東京に行く気はないか?東京中央二部訓練学校にあの有名な

 教官が戻ってくるらしい」

「誰それ?」

「いや、俺も詳しいことは分からないが、異名は、怒ると怖い癇癪玉

 だが、実績は凄く一つの部隊で町に駐在していた軍隊を壊滅させたらしい。

 教官としては、よくわからないが、あまりにも厳しすぎて自殺者が出たって噂もある

 でも、そこを卒業した奴はある分野においては最強になるって聞いたぜ

 ある分野とは近距離戦闘か遠距離戦闘かのどちらかのことだと思うし

 中谷はここらの連中で敵うやつはいないし、竹中は遠距離に関してはすでに最強だ

 だからそこで訓練を受ければお前ら最強になるぞ。しかもだな・・」



警報がなった。

「第一級警備配置につけ 遂に来たぞ中国だ

 死ぬ気で守れよ」

無線ではそんな内容が飛び交っていた。

俺達は急いで自分達の死ぬ場所に急いだ



高台に着き俺は自分の持ち場に着いて

ある事に気づいた、

「おぃ、中谷どうしよう俺の所にまだRPDが届いてない」

ミニミが今はもうない、なら俺はその場で戦えない

高射砲を竜崎と動かしながら中谷は

「製鉄所に取りに行け、きっとあるはずだ。しばらくは海軍がどうにかしてくれるはずだ」

「わかった。お前ら俺が着くまで死ぬんじゃないぞ」

そう言い残し俺は製鉄所に急いだ



あともう少しで製鉄所だ・・

なんだ今の衝撃は?

空を見上げると戦闘機が旋回していた。

くそっ海軍は持ちこたえれなかったのか、急がないと

このままでは上陸される


なんで、反撃をしないんだ。航空隊は何をしている。

しまった。見つかった

当たり前だが、町中を堂々と走っている俺が

見つからないわけがない

敵機が撃ってきた。後ろからどんどん迫ってくる音がする

俺はその場に倒れこんでしまった

ヤバい死ぬ・・・

敵機が追い抜かして行った。

助かった、弾は当たってない。

急いで製鉄所に行かなくては・・・



俺はどうやら少しの間、気を失っていたらしい

目の前で製鉄所や学校が燃えていた。

すでに戦闘が終わっていたのだ

海岸沿いには、中国の船が二隻泊まっていた。

とりあえず高射砲の所に行こう


高射砲はほぼ無傷だった。

中谷は何かをしていた。

あいつ、何をやってやがる

「おい、何してやがる 早く撃てよ」

「竹中、生きてたのか?手伝ってくれ、ジャム(根詰り)った」

「わかった、今行く」

そこに行くと

操縦席に座っている竜崎がいた

「竜崎、何しているお前も手伝え」

しかしなにも反応しない、

「まさか・・」

「竹中、竜崎を席から降ろすの手伝ってくれ」

竜崎は死んでいた。そして、高射砲が動かない理由はジャムではなかった

竜崎の遺体の一部が高射砲に引っ掛かっていたのだ。

「中谷よくお前は無事だったな」

無事と言う訳でもなかった。服に血がにじみ出ていた。

「まぁな、戦艦の一隻ぐらい落とさないと死ねないよ」

二人係でようやく竜崎を下し終わった。


その時、海岸で銃声が鳴った。

「なんだ?おい、中谷、双眼鏡貸してくれ」

双眼鏡で見ると

この戦いでの生き残りの人たちが一か所に集められ

そして敵に一人一人殺されていた。

何とかしないとそう思った時、俺は鳥肌がたった。

一つに集められた場所に勇二がいた。

そして、敵は勇二に銃口を向け引き金を引いた。

「止めろー」遅かった。勇二は倒れた。

「あの野郎!!」

俺は自分の持ち場にあるモシン・ナガンを取りに行った。

「竹中、止せ 気持はわかるがここからは届かん

 3,000mは離れてる」

「だったら、俺の記録を塗り替えてやる」

「それに、あそこには五人敵がいる一人を倒せても

 残りの四人はどうする モシン・ナガンは連発はできないぞ

 しかも、ボトルアクションだから標準がいやでもずれる、どうする気だ」

そんなことは、考えてもなかった

敵に標準をあわせ引き金を引いた

一人また一人

敵がこっちに気づいたけど遅い、あと一人

五人倒し終わった。

一か所に集まっていた人たちが一斉に逃げだした


「よし中谷、戦艦を落とすぞ!!」

中谷は、双眼鏡で覗きながら

「竹中、お前ってやっぱりすごいな・・」

「いいから、早くしろ弾は俺が入れてやるから、お前は戦艦を落とせ」

「わかった。戦艦を落とせば俺もすごい奴の仲間入りだ」

そう言うと中谷は操縦席に座った。


一隻に向かって集中的に撃ちまくった。

「なぁ、竹中これ終わったら一緒に東京に行くべ

 一緒に癇癪玉とやらの訓練を受けようぜ 

 俺は得意のナイフとハンドガンで中・近距離 お前はライフルで遠距離

 それで一緒にバディを組むべ

 竜崎もきっと喜ぶさ だからあんな話をしてきたんだよ」

「そうだな、お前となら一緒に行ってもいいぞ そうするか?」

「おう約束だからな、じゃあさっさとこれ終わらすぞ 

 弾が切れたぞ 竹中まだか?」

「ここにあるやつは全部使っちまった、

 待ってろ、取りに行って来る」

取りに向かったその時、高射砲が爆発した。

いや、正確には戦艦から攻撃された。

「中谷!!」

高射砲があった場所には鉄くず以外何も残っていなかった。




その後、札幌からの援軍によりこの戦闘は終結した。

室蘭港防衛隊は、壊滅し生き残った俺達は別の部隊へ

配属されることが決まった。

だが、俺はそれを断り竜崎の彼女のもとへ向かった。

「頼む、東京への行き方を教えてくれ」

「中央二部訓練学校に行くの?」

「あぁ、あいつと約束したからな 一緒に行くって」

「お願いだから行かないで、政府はいま北海道を放棄する事を検討中なの

 日本はいつか負ける 政府は負けた後の国際への復帰方法まで話し合っているのよ

 それなのにまた軍隊に入るだなんて 自殺行為よ

 もうこれ以上まわりの人たちが死ぬのは嫌!! それなのに行きたい?」


俺は黙ってうなずいた。

「どうしてここにいる人たちはこうなの?竜崎君もそう

 北海道が放棄されるって教えても何にも動じないで逆にあなた達に

 訓練学校の話までするし私には考えられない 死ぬのが怖くないの?」

「それはない、誰だって怖いさ だけど何もしないで死ぬのはもっと嫌だ。

 これは誰かの言った言葉なんだけど

 死ぬのが遅いか早いかなんて関係ない、問題はどう生きたかだ

 竜崎だって後悔はしたと思うよ、だけど後先考えずに生きるってことも

 今の時代には必要なんじゃないかな?」

彼女はそれを聞いて諦めたのか

「しばらくしたらここにヘリが来るわ それに乗るといいわ

 兵隊さんに言うのも変だけど 死なないでね 戦争が終わったら

 いい女の子紹介してあげるから」

そう言ってどこかに行ってしまった。



しばらくすると、海岸沿いにヘリが1機着陸した

そこに行くと

「お名前を確認しますのでお名前と年齢をお願いします」

「竹中 隼人 17歳です」

「ようこそ、第十七訓練部隊はあなたを歓迎します。

 あなたが入隊する訓練部隊は第十八になります。つまり、私たちと

 入れ替えで入ることになりますのでこれから1年間、頑張ってください」


ヘリに乗り込もうとすると

「後ろの方は誰ですか?」

振り向くとそこには、彼女がいた

だが、一瞬、いゃ俺の幻覚だと思うが横に中谷と竜崎、勇二が見えた



まったく、俺の頭もおかしくなんたもんだ、そう思いながら

「ありがとう、行ってくる!!」

そう言って俺は勢いよくヘリに乗り込んだ。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

竹中を主人公にしてまた書いてしまいました。

多分、この調子でまた書くかもしれないので

その時はよろしくお願いします。

また、意見や要望がございましたら

ぜひとも書いてください

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― 新着の感想 ―
[一言] 最初中谷が中隊長かと思ってたんですけど違ったんですね。
[一言] 今回の話でやっと戦況がわかってきました。 補給どころか装備の引き上げ…… 末期どころの話じゃないですねぇ。
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