表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バルバロイ  作者: ずかみん
54/72

ただ、ピアノを演奏するのが上手だ、とだけ

 FBIの交渉人(ネゴシエーター)が犯人グループと対話を続ける間にも、ピーター・エバンスの自宅には、妻カーラの指や、耳が次々と送り届けられた。


 しびれを切らしたピーター・エバンスは、捜査陣には知らせることなく身代金の受け渡しを自分自身でセッティングした。得意のITテクノロジーで電子的に安全な受け渡し方法まで(仮想通貨を経由して、現金化をする手法だった)用意して、犯人グループと接触。

 犯人グループに受け渡しが安全であることを証明しさえすれば、妻カーラは自宅に戻れる筈だった。


 だが、心無いマスコミから、電子的な決済は原理的に追跡可能である旨の報道があり、激昂した犯人グループは、カーラをリボンがかかった五つの小箱に詰めて、ピーター・エバンスの自宅に届けた。


 当時、セレブを目標にした外国人グループによる誘拐がアメリカ国内で頻発しており、一説によると、治安当局者は『身代金受け渡しの成功』によって、身代金目的の誘拐が実現可能であると認識されることを恐れた。とも言われている。

 マスコミの失態は、治安当局者の意図的なミスリードによるものだと。


 四歳のアリーは、リボンのかかった小箱を抱えて、よろけながら、無邪気に、父へ届けたそうだ。


 ピーター・エバンスが書いた自叙伝には、妻のことは書かれていても、娘についての記述はほとんどない。


 ただ、ピアノを演奏するのが上手だ、とだけ。


 娘のプライバシーに配慮したのか、それとも娘に関心がなかったのか。テキスト情報だけでは、唯斗には判別がつかなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ