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バルバロイ  作者: ずかみん
33/72

ごめんよ。失敗だ。

 電源を喪失し、レーザー誘導が途切れた。反射光を見失った【フランキスカ】は、それでも車体の上部、エンジン室付近に着弾した。


 制御をうしなった【ピクシー】は、側面から路上へ転落し、舗装をはぎ取りながら横転した。付帯部品の残骸が、遠心力でばらまかれてゆく。


 一瞬、視野が暗くなって元に戻ったけれど、まったく操作は受け付けなかった。

 大きな獣の死体みたいに、転がっているだけだ。


 表示で、化学電池の予備電源に切り替わったことがわかった。

 最低限のセンサとネットワークリンク以外のすべてが沈黙していた。


【穿鎧】の砲塔が旋回した。走行機能は奪えたけれど、攻撃力は奪えなかったようだ。暗い砲身が唯斗を捉えた。


 赤ちゃん農場の動画を思い出す。わたしの赤ちゃんを助けて、と言った少女の姿が、唯斗の脳裏に浮かんだ。


 ごめんよ。失敗だ。


 砲塔を向けた【穿鎧】を、上空からの衝撃波が貫いた。巨人の槍のような一撃。〈カイト〉機のステータスが武装なし状態になっていた。〈カイト〉は地中(バンカー)貫通(バスター)爆弾を使用したのだ。


 重量の関係で、【ピクシー】が搭載する地中(バンカー)貫通(バスター)爆弾は航空攻撃機が発射する物ほどの威力はないけれど、それでも三メートルの鉄筋コンクリート壁を貫通する。


 爆弾は、装甲の薄い砲塔上部を容易に貫通し、地面に食い込んだ。

 遅延信管が起爆し、マッシュルームのように盛り上がった土塊に持ち上げられ、【穿鎧】は亀のように横転した。


「カイト……どうして」

「どうせ時間切れだ。今からでは間に合わない」


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