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バルバロイ  作者: ずかみん
31/72

返事しろよヌエ(イラスト有)

 唯斗が放った四発の【フランキスカ】は、【穿鎧】のシルエットに吸い込まれて爆発した。

 それから起こった物理現象は、高速すぎて肉眼では視認できず、弾頭に搭載されたテレメータの戦闘()記録()で確認するしかない。


 一つ目と二つ目の弾頭は、【穿鎧】の防護システムによって撃墜された。

 【穿鎧】は多銃身のミニガンを対空兵器として備えている。ミニガンは防御用の火器として、毎分六千発の弾幕を張る目的にも使用されていた。


 最初の二発は、囮のつもりだった。残り二発の弾頭は、弾幕をくぐって、【穿鎧】の砲塔に直撃した。

【穿鎧】は爆炎に包まれ、破片がきらめきながら飛散した。

 

 三つ目の【フランキスカ】は砲塔周囲の装備搭載用バスケットで減衰、チタン合金とセラミックプレートを組み合わせた複合装甲に達し、四つ目が損害部分に続けて着弾した。


「やったか?」とカイトの声が届く。


 爆炎を破って照射された強力な妨害レーザーが、唯斗の無人機(ドローン)【ファハン】のセンサを破壊した。

 【穿鎧】は死んでいない。


 無人攻撃ヘリ【殲鎧】は攻撃の手を休めることなく、優位な攻撃ポジションを求めて飛び交っていた。


 うかつに遮蔽物から出たら、狙い撃ちだ。


 【殲鎧】運用の基本は、厚い防御力を持つ【穿鎧】が目標に肉薄して照準レーザーを照射し、強力な対戦車ミサイル(配備型では毎秒二千二百メートルに達する小型運動エネルギーミサイル弾を使用する)を搭載する【殲鎧】が、安全な視界外から斧の一振りのような攻撃を加えるというものだ。


 唯斗と〈カイト〉は、倉庫の間を縫うようにして回避行動を続けた。背後にミサイルと砲撃の着弾が続く。

 もう有効打を与えられるだけの武装がない。対戦車攻撃用の武装は、唯斗の【フランキスカ】二発しかなかった。二発では装甲を侵徹出来ないことが、すでに実証されている。


 【穿鎧】は〈カイト〉の機体を追って前進した。熱光学迷彩は効力を失い、武骨なとげとげしたフォルムの車体が露わになっている。【穿鎧】は、低く薄い砲塔を持つ、直線造形の戦車だ。


「動き出したぜ」と、〈カイト〉。 

「ルートをMAP上に指示する」

「なにか考えがあるのか」


 いや、あまり考えはないけど。


「返事しろよヌエ! 不安になるから」

『時間が……バッテリー残量も不安要素』

 〈キオミ〉が言う通りだった。タイムスケールのグラフは遅延を示して赤く染まっている。

 バッテリー残量もすでに、なんとか予定地点に辿り着ける程度しか残っていない。もうずっと最大機動での回避を繰り返していて、想定とは、けた違いの電力を消費していた。


挿絵(By みてみん)

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