夫婦が子供を作れない理由
ミスリルは屋敷についてから疑問に思っていたことを二人に聞いてみることにした。
「そういえば、あのこはめいっこということだが、ふたりはこづくりしてないのか?」
「「ぶっ」」
二人同時に紅茶を吹き出し、真っ赤になる。まさか、2歳児に子供を作っていない理由を聞かれるとは思ってもいなかったのだろう。かかった紅茶を拭きながらミスリルは不思議そうな顔をして首を傾げる。
「だって、ふたりは23さいだっていっていただろう?それくらいだとひとりくらいいてもよさそうなのだが…」
「君は随分と早熟なんだね…パパびっくりだ…」
「あのね、ママたちは魔術師だって言ったでしょ?魔術師って魔力が高いせいで寿命も延びるの。それで子供もできにくい体になるし、なんというか…」
「せいよくがあまりない、ということかなるほど。」
「「あけすけすぎるよ!!」」
机に頭をゴンっと打ち付けるタイミングが同じ夫婦に仲が良いようでなによりだ、と思うミスリルだった。
「おとうとかいもうとか…もうすこしさきになるにしてもたのしみだな。」
「…妖精って人間と同じ生まれ方してたかしら…?」
「いや、確か妖精の木に夫婦が魔力を流してできるって聞いたけど…」
「うむ、わたしはようせいのきのみからうまれたが、にんげんはたいないにこどもができるのだろう?いつかはにんげんのもとでくらすのだからとりょうしんはにんげんかいマニュアルをつくっていたからな。こちらにもほんはいっぱいあるのだろう?ほんをよむのはすきなんだ。」
キラキラと目を輝かせる娘に夫婦は苦笑するしかなかった。
この2年後、あれほどできにくいと言われていた子供ができてしまい、夫婦はミスリルに「幸あれというペンダントの効果は抜群だったか…」と言われ、羞恥に悶えることとなる。