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チェンジリング

「なんて可愛らしい人間の娘なのかしら…!ねぇ、あなた、ミスリルと引き換えにこの子、貰って行きましょう?」


すやすやと寝息を立てる人間の子供を抱き上げ、月の光に照らされてきらきらしている金髪をうっとりと眺める妖精の夫婦。その後ろには夫婦の特徴は受け継いだものの、色彩が違う彼らの子供がいる。自分の母親の言葉は彼女にとって想定内なのか動揺は見られない。


「あぁ、それがいい。金髪ではない娘が邪魔になってきたところだ。厄介払いもできて、可愛らしい人間の娘も手に入る。いいことずくしだ!さぁ、ミスリル、ここに残れ。」


乱暴に男は彼女を引っ張り、人間の子供が寝ていたベッドに放る。


「…」


ちょこんとベッドに腰掛け、無表情で自分の両親が喜々として金髪の美幼女を抱き抱えているのを見る緑の髪の幼女。彼女も精一杯抵抗はしたが、鬱陶しいとばかりに乱雑に手を払われたら諦めがつくというもの。振り返りもせず、異空間に消えていく両親を見送り、彼女は書置きをする。きっと、異形の自分では可愛がってもらえないし、捨てられるよりか出て行くほうがマシだと彼女は考えた。


「あなた方の娘さんは妖精に気に入られ、私とチェンジリングされた。残念ながら私はあなた方の娘さんより綺麗ではない。連れ去った妖精は娘さんがある程度大きくなったら彼女をあなた方に会わせるだろう。それまで、あなた方に祝福を私から贈ろう。このペンダントは妖精が近くに入ればわかるものだ。これからの人生が幸あるものであるよう、願っている。

あなた方の養子になるはずだった妖精ミスリルより。」


まだ2歳の彼女にとって字を書くのは難しいことだが、先程見た若夫婦の優しそうな面立ちに奮起して、声に出しながら書く。

これから悲しませてしまう不幸な若夫婦のために。

※ネタバレ?

実は不幸な夫婦は若夫婦ではない

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