四話 決着
「2ターン目」
ニーノの声が響く。
「先行、テオドール様です」
あの恐怖心があるからまともには、考えられないと思う。ここは足系かな。
「君の爆弾の位置は、左足だ」
「残念だったな」
俺は、笑みを浮かべる。
「後攻、金崎様です」
「お前は、俺がびびってまともに考えられないと思ったんだろ。俺が思うに、爆弾の位置は、左手だ」
「起爆します」
「何で分かった」
左手を右手でかばいながら問かけてきた。
「お前が、前のターン勝っただろ。それが鍵となったんだ。俺は、前のターン恐怖心があった。つまり普通負けている状況でおんなじ手は、使かおうとは思わないからな。それを逆手に取ったわけ。お前もおんなじような考えなんだろう」
勝つのは、やはり気持ちいいな。
「それで勝ったつもりですか」
ふんと何かを押し出すように息をはく。やっぱり、起爆によるダメージは、大きいようだな。
「作戦時間です」
と同時にシャッターが降り、俺は、結構有利になるなと思ったが逆の立場で考えるとやっぱり侮ってはならない。逆に危険だ。
次は、どうする。全く読めないからな。爆弾をどこに設定する。心臓いや危険だ。脳も危険だが、あとひとつの爆発でゲームオーバーだからな。目か耳にするのもありだけど。足も危険だ。よしここは全くの裏をとって胃腸にする。
そうなると、あいつの仕掛ける位置は、心臓意外にシンプルかもしれない脳にする。
そしてタブレットに選択し、時間が過ぎるのを待った。心臓の鼓動が早まるのが分かった。次のターンで俺が死んでしまうかもしれないということを。
機械音が鳴り響く。
「先行、金崎様です」
「お前の爆弾の位置は・・・」
当てる直前だった。「ちょっと待て」という声が響き。俺の声が急ストップして喉を痛めたのを感じるとテオドールが話そうといった。
「なんだよ」
「まあまあ、話し合わないか」
なぜいきなりこんなことを言い出したのか。
「当然の疑問だよな。さっきの作戦時間の時に話たくなったんだよ。まあ聞いてくれ」
俺は、コクりと頷き、話を耳に聞き入れた。
「俺は、幼い時から貧しい暮らしでよ。生きるために食べ物が必要だったんだよ。しかも、父親が俺が生まれる前に死んじまって、母親も病気がちだった。それだからよ、お金が無かった。金崎、俺は、どうしたと思う?」
急に話題を振りかけられる。
「たぶん、盗んで盗んだ物を売って生活した」
素直に思うことを返した。
「ご名答。そのまま大人になって、その何て言うの盗む快感を得てしまって、ばれて警察へGOして今まで盗んできた宝石の件数が異常に多くて懲役10年で俺は、その中で死んだわけ」
淡々と説明するが涙を浮かべていた。まるで自分の人生を悔やんでいるかのように。
「さて、ゲームを再開しましょう」
テオドールの声が響く。
俺が思うにテオドールは、感傷を受けているシンプルでくるのは、間違いない。右手だ。
「爆弾は、右手にある」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
「何がおかしい」
「君の負けだ。胃腸」
俺は、その言葉と同時に血ヘドを吐く。そうして吐いた血の色は、本来赤いはずの色が青色に見えた。まるで敗者を示しているかのように。
手錠の外れる音がすると
「君、そう言うところ単純だね」
返事がなくテオドールが一人でにしゃべる。
「たぶん動揺が無かったらたぶん君の勝ちだったろうけどね。ちなみに仕掛けた位置は、脳だよ」
脳だよ......脳だよ......脳だよ......脳だよ......脳だよ......頭で繰り返される。
「いや、楽しかったよ。また会おう。いや会わないか」
憎しみと後悔であいつを殴りたい。でも、体が動かない。コツ、コツと靴の音が小さくなっていく。心臓の鼓動と共に。
テオドールは、ドアを出るとニーノアイアスが「おめでとうございます」拍手を交えながら褒め称えてくれる。
いい気分だ。
「どうされます。すぐに蘇生されますか」
「ああ」
「それでは、エレベーターに乗って下さい」
歩きだすとすぐに止まり、「ニーノ」と呼ぶ。
「なんでしょう」
「金崎に一番楽に死ねる方法で殺してくれ」
「分かりました」
そうすると、テオドールは、エレベーターに向かってゆっくり歩き出した。正しい言い方をするとテオドール本人の人生へ歩き出したのだ。そう、人生をやり直すために。
完
いやー終わりましたね。たぶん一話から読んでくださっているかたは少ないと思います。
この物語のきっかけは、自分が死ぬ瞬間は、どうなるかなから始まったんです。
そこから色々あって現在に至ります。
そう言うわけで読んでくださった皆様方に感謝します。