撃たれた時の痛みって後から来るらしい
俺の背後に、その色は有った。有ってほしくなかったのに。
赤以外の色が鮮明になる。
「痛…い……!! 痛いよぉ!! 」
血に染まった脹脛を押さえ、痛みに悶えるのは……俺たちが助けようとしている少女だった。
「嘘だろ……」
「だ、大丈夫!? ど、どうしようみんなぁっ!! 」
奈々の悲痛な叫び。
わからないのは俺だって同じだ……くそっ!
「私がやります」
美鈴が耳を疑うくらい冷静にそう言いながら、真剣な表情で少女に走り寄った。
「え……うん」
呆気にとられながらも奈々はすぐに少女から離れる。
少女の着物の袖を歯で切り裂き(最初は腕を噛みちぎるのかとビビった)、それで少女の足をきつく締める。痩せ細った足は、短い布で充分足りた。
「wwwwwwwwwwwwwwwww」
「wwwwwwwwwwwwwwwww」
擬声語として表せないくらいに声高々に笑う外人ふたり。
奈々は少女を背負い、美鈴と共に路地の角の裏に駆けて行った。
「貴様らぁぁぁぁっ! 」
なんというか、もの凄い声だった。閑静な路地裏だからかもしれないが、さっきの銃声並みに背筋に悪寒が走った。外人と一番近い位置で正面から対峙しているため顔は見えなかったが、部長ガチ切れなのはよ〜くわかった。
でもな。これで部長が外人に襲いかかって、勝ち目あるか? 相手は二人でガチもんの銃だ。
だから、部長が足を一歩踏み出すのと同時に、俺は部長の腕を後ろからしっかり掴んだ。
「……なんだ」
部長は振り返らずに低い声で言う。超怖ええええ!!
でも、ここでビビったらそれこそ最悪なことになる。
「逃げましょう」
「……何を言っている」
訳がわからないといった感じで返された。
解らせてやる。
俺は思いっきり息を吸った。
「いいから逃げろっつってんだろ!!!! 」
精一杯叫んだ。さっきの部長の声に負けていなかった自信がある。
「……冷静になってください」
「……」
返事を待っている余裕など状況的に無い俺は部長の腕を引っ張った。
部長はずっと下を向いていたが、ゆっくりとこちらに歩き出した。
そして、それが駆け足に変わろうとした時。ふと後ろを向いた俺の目には、悔しそうな部長の顔とともに、撃鉄を下された拳銃の銃口が映った。
その瞬間俺は引き返し、走る部長とすれ違うように部長の背後に立ち塞がった。
二度目の銃声とともに、俺の意識は飛んだ。
きつく締めるっていうのは、もちろん止血のためです。でもあんまり止めてたらそこが壊死しちゃうから、時々緩めた方がいいそうな。
その前にお医者さんですね。




