Ⅰ
「おーい!みんな番号順に並んでるかー?」
担任の五十嵐先生は1年5組45人全員に聞こえるような大きな声で言った。
「はーい!」
生徒はそれに応えるかのように声を揃えて言った。
「葵!早く行って下さいよ~」
そう言われて私は体育館へ入って行った。
声をかけてきたのは、さっき友達になったばかりの矢口優。
京都出身で身長は170㎝以上あるんじゃないかってぐらいスラッとした長い足。顔は整って美人だし可愛い。スタイルも良くて、ちょっと茶色いロングヘア。モデルやってるんじゃないかってくらいに素敵な人。女の子だったら誰でも憧れると思う。
苗字が同じで順番が前後だという、一般的な出会いをした私と優。こんなちびっ子で顔もスタイルもダメダメな私に優は話しかけてくれた。声が可愛くて、京都弁がすごく似合う京都美人。優と友達になれたことがすごく嬉しかった。
そんなことを考えてたら呼名に入っていた。
「1年5組 相川隆弘。安西亮太。飯沼……」
五十嵐先生の声が体育館いっぱいに響く。
「……山田歩美。矢口葵!」
「は、はい!」
「矢口優!」
「はい!」
そうこうしてる間に呼名も終わり、祝辞等が読まれた。祝辞の間に男女問わず大半の人の頭がカクカクしてた。真面目そうな優まで寝てた。
「続きまして、お祝いの言葉を…生徒会長、3年5組吉岡隆幸」
「…はい」
生徒会長のあいさつがあるようだ。
みんな眠たい目を擦りながら生徒会長を見た。すると眠気が嘘のように、1年生がざわつき始めた。
「なあなあ葵…あの生徒会長めっちゃかっこよくない?」
「そうかなー」
周りの女子のざわつきはそれが原因だった。
生徒会長はステージに上がりみんなに向かって一礼した。そして話し始めた。
「1年生のみなさん。ご入学おめでとうございます!」
みんなは生徒会長の声を聞いて、またざわつき始めた。
生徒会長の声は低くて、でも優しく響いて、なんかどこかで聞いたことのある声だった。
生徒会長はざわつきを気にすることなく読み続ける。
「今日この良き日にご入学された新入生のみなさん。期待と不安でこれからの学校生活を膨らませていることでしょう。私たち在校生は、みなさんがご入学させることを楽しみに待っていました。………。学生生活は……」
その瞬間だった。
ほんの少しの間に、生徒会長は私のほうをチラッと見たような気がした。でも、目が合ったかどうかは分からない。ほんの一瞬の出来事だった。その一瞬で、私は何だか子どもの頃を思い出したような、不思議な感じになった。
続く




