友情から芽生えた・・・1
俺が沙雪と付き合いだしたて1週間。これも、全部瑞希のおかげ。俺は本当に感謝してる。あいつは俺の1番の友達だ。今までも、そしてこれからも・・・・。少なくとも俺はそう思っていた。
『おっはよー蓮沼、今日は1人なの??』
俺が1人で学校へ登校していると、瑞希が俺の肩を叩いていった。最近はよく沙雪と登校している。
「よ、瑞希、沙雪は今日休むって。」
『ふーん。病気?看病してあげないとね、私のときみたいにね。』
「そうだな。あれからお前大変だったんだろ、俺が沙雪に告ってる間、うなされてたんだって?」
『そうそう、本当に大変だった。その後まるまる3日間寝込んじゃったしさ。』
俺と、瑞希はあの日のことを思い出した。あの日、俺と沙雪が付き合うことになった日・・・。
瑞希に言われるがまま、俺は沙雪を追いかけた。沙雪は、中庭の大きな木下にあるベンチに俯いて座っていた。俺は沙雪のそばに行った。沙雪は、泣いているようだった。俺は沙雪の隣に座った。沙雪は俺に気づいていた。
沙「准樹?氷田さんはどうしたの?」
沙雪は涙を流しながら言った。俺は沙雪をみた。あいかわらず下を向いていて、俺の顔を見ようとしない。
准「氷田は、大丈夫だって・・・・。お前が心配だったから・・・。」
沙「私なんかほっといて。」
准「ほっとけるかよ。」
俺は思わず怒鳴ってしまった。
准「ごめん・・・。」
沙雪はだまっている。俺は沙雪の体が震えていることに気づいた。
沙「ばか・・・。准樹は優しすぎるの、今の私に優しくしないで。」
声も震えていた。俺は思わず沙雪を抱きしめた。沙雪はビックリした様子だった。俺は強く沙雪を抱きしめた。
沙「・・・ぃた・・いたいよ。准樹どうしたの・・・」
沙雪の声に俺は我に返った。
准「ぁ・・・ごめん・・・。でも俺・・・、俺お前のことが・・好きなんだ」
俺はすんなりとその言葉を言ってしまった。もう後には戻れない。そんな俺の心配をよそに、沙雪は嬉しそうな顔をして、俺に抱きついてきた。
沙「私も、准樹がずっと・・・好きだったの。」
「なぁ、瑞希、本当にありがとな。イロイロと、今度は俺がお前を応援しなきゃな。」
俺は、大真面目な顔をして瑞希に言った。それを聞いた瑞希は笑って、
『そんな改まって言わないでよ。それに私は今のとこ“ザ・ハリケーン”が見れれば、文句ないからね☆』
と言った。その言葉に2人して、大笑いした。そのあとも俺たちは一緒にしゃべって、笑って、学校へ向かった。朝からハイテンションな気分だった。そういえば、瑞希と一緒に行くのは久しぶりだった。
学校へ着いてから、俺は席に着いた。隣の席に瑞希はいない。隣には、瑞希のダチの藍野美奈がいた。藍野は、本当に女の子って感じで、俺はちょっと苦手だ。瑞希の席のほうを見た。瑞希の隣にいるのは、富永柴音だ。瑞希と楽しそうにしゃべっている。俺はふと、思い出した。前に聞いたことがある。富永が、瑞希のことを好きだって・・・。俺は少し不安になった。仕度を終え、瑞希のところへいってみた。
『あ、ねぇ?富永、うち英語の宿題忘れちゃったんだぁ・・・・。』
「俺は、やってきてあるけど・・・・。」
『本当?お願い!貸して!!本当にお願い!』
「え〜・・・。ま、今度何かおごってくれるならいいけど。」
『分かった!!じゃぁ、借りるね!!』
瑞希と富永・・・。なんかかなり仲いいじゃん。俺が瑞希の前の席に腰掛けた。瑞希は俺をみて、
『ねぇ?、蓮沼、富永も“ザ・ハリケーン”好きなんだって!今度3人でライヴ行かない?』
と、言ってきた。俺は少し癪に障ったが、てきとうに相槌を打っといた。瑞希はどんなやつともすぐに仲良くなれる・・・・。でも俺は無理だ。すぐには仲良くできない。
『あぁ!蓮沼、私今日放送委員の当番だった。もういかなくちゃ、ちょっとこれ、写しといて!!』
瑞希はいきなりそう言って、教室を後にした。俺は仕方なく瑞希の席に座って、英語の宿題を写していた。すると、富永が話しかけてきた。
富「ねぇ、蓮沼君、もしかして・・・・氷田さんと付き合ってる?」
准「俺が瑞希と?ありえない。俺は違う奴と付き合ってるから。」
富「なんだぁ・・・・良かった。あ、なんて言うか、俺、氷田さんの事すきなんだよね。」
俺は一瞬ドキッとした。
准「そうなんだ・・・。がんばれよ」
と、俺が言ったら、富永は調子に乗りやがって、こんなことを言ってきた。
富「じゃあさ、俺の恋、手伝ってくれない?」
俺は断った。富永と瑞希が付き合うなんて考えられないし・・・。てか、俺何やってるんだろぉ・・・・。自分で虚しくなってきた。それから、瑞希と俺と富永の微妙な関係が始まった。
3日後、病気が治った沙雪と俺は学校へ行った。沙雪は楽しそうにいろんなことをしゃべっていたが、俺は上の空だった。全然笑いもしないで歩いていた。すると、前の方に、富永と瑞希が歩いているのが見える。俺はムシャクシャした。何でだろう。俺には沙雪がいるのに・・・・。
学校に着いても、瑞希と俺が一緒にいる時間は急激に減った。瑞希は沙雪に遠慮してか、俺に近づこうとしない、それをいいことに、瑞希の近くに、いつも富永がいた。富永の存在はとても目障りだった。俺は、瑞希のそばにいった。富永は日直でいなかった。
「瑞希、明日部活で練習試合あるんだけど、見に来いよ。」
俺が言った。でも、瑞希は首を横に振る。
『ねぇ、蓮沼の彼女は、畔さんでしょ?何で私が行く必要があるの?畔さんに失礼だよ。』
そう言った。かなりショックだった。やっぱり、彼女を持つと、前みたいになれないのかなぁ・・・・。俺は瑞希との距離がどんどん離れていきそうで、凄く怖かった。瑞希と俺は超仲良しな友達。でも、そのポジションを富永に奪われそうでならなかった。俺は、瑞希の何なのだろう?
練習試合の日。瑞希は来なかった。1年のときは、俺が試合に出るとなったら、いつでも駆けつけてくれたのに・・・・。沙雪がスポーツドリンクを差し入れしてくれた。それを飲みながら、コンディションを整える。
「がんばってね、准樹!」
「おぅ・・・。」
沙雪の声が俺の耳を通り過ぎる。いつもの瑞希の応援はない。
その日、俺は途中で交代させられた。こんなの初めてだった。いつもフルセットコートに出ている俺が、前半15分で出番が終了してしまったのだ。目立った活躍どころか、エラーをしまくった。瑞希の応援がないと調子が狂う。
それからも、俺と瑞希はぎくしゃくしたままだった。前のように戻れないのかな・・・。俺が1人悩んでいると、藍野さんが
「ね、蓮沼君、最近瑞希と一緒にいないね、どうしたの?」
と、聞いてきた。
「別に・・・。なんか、俺に彼女が出来たからかな・・・。」
俺は、藍野さんに内容を話した。藍野さんは黙って聞いていた。それから、
「そっか・・・。もしかしたらさ、2人とも、友情じゃない何かが芽生え始めているのかもよ?」
と言った。その意味が俺にはよく分からなかった。友情じゃない何か・・・何だろう。
大会が近づき、部活が忙しくなってきた。俺も一生懸命やろうと思うのだが、なぜかしっくりこない。瑞希の応援がなくては・・・。沙雪は優しく、いつも練習にきて、マッサージしてくれたり、差し入れをくれたり、励ましてくれたりしたが、それでは物足りなかった。沙雪がいけないのではない。ただ、俺には瑞希が必要なのだ。そうしているうちにも、瑞希と富永はどん?仲良くなっていった。
ある日、瑞希と帰りが一緒になった。久しぶりに一緒に帰る。
『蓮沼、もうすぐだね、大会!本当、がんばってるよね☆』
瑞希の明るい元気な声。俺はこの声を聞くと安心する。
「あぁ・・・。絶対優勝しないとな。」
『あ、ライヴ明後日だよね。あのさ、富永がね、ライヴのとき送ってくれるって。』
「分かった。じゃぁ、俺、どうすればいい?」
『とりあえず・・・、ライヴ7時からだから、5時頃うちに来てくれる?』
「了解」
瑞希とはわりとスムーズに話せた。富永に送ってもらうのか・・・。俺と瑞希が橋の上を通りかかったとき、きれいな夕焼けが映し出された。
『蓮沼、超キレイな夕焼けだよ。明日いいことあるよね!』
「だといいな。」
その夕焼けを2人でずっと眺めた。そのうち、辺りは暗くなり、星が輝き始めた。
『ね、私らがこんなのん気でいられるのってさ、いつまでだろうね?』
「さあな・・・。今年までじゃん?来年は受験だし、その後同じ高校行くのかわかんねーし・・・。」
『そっか・・・なんか寂しいね。。』
俺は瑞希をみつめた。瑞希も俺をみつめている。こいつ・・こんなに可愛かったっけ?俺はそう思いながらみつめ続けた。その時、冷たい風が頬にあたった。
『もう遅いし、帰ろっか。』
「あぁ・・・」
俺たちはその場から離れて、また歩き出した。月の光が、俺たち照らしているかのように、明るくキレイだった。いつもの曲がり角、瑞希と別れる場所・・・・。
『じゃ、また明日ね。ライヴ楽しみだね!』
瑞希が言った。辺りは真っ暗なのに気づいて俺は言った。
「もう暗いし、家まで送るよ。」
でも、断られた。彼女のいる男が、違う女を家まで送るなんていけないと言われた。瑞希は自分の家に向かって行った。その後ろ姿を、見ていると、悲しくて、寂しくて・・・・不安でいっぱいだった。
次の日、富永と瑞希は相変わらず仲良くしゃべっていた。俺の隣には沙雪がいる。沙雪は俺の彼女、俺は沙雪が好きだ。じゃぁこの胸騒ぎはなんだ。富永と瑞希が仲良くしゃべっているとこは見たくない。これはわがままなのか?
「准樹?明後日大会だね!がんばって♪」
沙雪はカワイイし、優しい、俺の好きな人。俺の彼女・・・・。
「あぁ・・・。」
そっけない返事をした。俺は、今のままでいいのか?俺は・・・・。




