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大切な友達 2

 その日の夜、ずっと待っていたが、蓮沼からのメールは来なかった。

「ちっ・・・。なんだよ蓮沼のやつー。明日、一発殴ってやる!」

私は、携帯をながめながら、つぶやいた。蓮沼からのメールが来ないなんていつものことだ。次の日、何かと理由をつけて謝ってくる。だから、メールが来なくてもおかしくないはずだった。なのに、妙な胸騒ぎがした。今日の畔さんとの出来事が頭から離れなかった。〔畔さんと蓮沼は両思い・・・。蓮沼はうちの大切な友達・・・。蓮沼が幸せなら、私も幸せなはず・・・。蓮沼が畔さんのこと好きだって知ってたのに、どうして胸が苦しいんだろう〕そんなことを考えながら、私は眠りについた。このまま明日にならなければよかったのかな・・・。


 太陽の光がカーテンの隙間から部屋の中に差し込んできた。私は目を覚ます。その目には涙の痕。なぜ流れたのか私は知らない。私は、起き上がり、カーテンを開けた。眩しい秋の太陽。その光をいっぱい浴びながら、私は朝食を食べる。1人の朝食は、慣れている。私は朝食を食べている最中、くしゃみ、鼻水が止まらなかった。

「風邪・・・ひいたかな・・・。」

食事を済まして、身支度を整えて、私は家を出た。私はいつもの通学路を1人で歩き始めた。その時、携帯がなった。携帯を見ると、蓮沼からメールだ。【昨日メール出来なかった。ごめんな。で、今日一緒に学校行こうぜ!今、俺お前の後ろにいるから】私は後ろを振り向くと、蓮沼がニカッと笑って立っていた。

「蓮沼さ、いちいちメールしないでよ。直接声かけてくれない?」

『悪い?なんかシカトされたら困るからさ。』

と、蓮沼が笑って言った。

 蓮沼は、私の隣に並んだ。

「で、何か用あるの?」

『あ、大会の日程な、3週間後の土曜日に9時から、地区大会があるって、場所は、俺らの学校だって。』

「分かった。え、まって、その前の金曜日、”ザ・ハリケーン”のライヴじゃなかった?」

『うそ?マジで??ぅわーどうしよう』

「蓮沼、行くのやめる?」

『ん・・・、行く!“ザ・ハリケーン”は俺の永遠のあこがれだ!見ないわけにはいかないだろ』

蓮沼は熱く語っている。それを横で聞きながら、私は鼻水をすすっていた。その時、強い風邪が吹いた。

私は、たまらずくしゃみをした。それをみた蓮沼が、

『お前、風邪ひいた?これでも羽織れよ。』

と言い、私に自分の学ランを被せた。蓮沼の学ランは私の体がすっぽりとはいるくらい大きかった。

「ねぇ蓮沼、これ着て学校行くのかなり恥ずかしいんだけどぉ。」

『いいじゃん、結構似合ってるぞ、ほら、女番長みたいで(笑)』

「何それ〜ウッザー(笑)」

私と蓮沼は大声で笑った。こんな日々がいつまでも続くと思っていた。蓮沼とおもしろおかしく過ごす日々が終わらないでほしかった。

 しばらく一緒に歩いていると、前に畔さんが通りかかった。私が、蓮沼の腕を引っ張ると、蓮沼の顔は

もう真っ赤だった。畔さんは、1人で歩いていた。蓮沼の様子を見て私は、

「気になるなら、話しかけてくれば?私1人で学校行くし。」

『何強がってんの?一緒に学校行って欲しいくせに。』

「はぁ?そんなわけないでしょ。」

私は、蓮沼を睨みつけた。そのあと、後ろを向くと、美奈と雛乃がいた。2人でこっちを見ている。

「蓮沼、畔さんのとこ行きなよ!私は、美奈たちのとこに行くからさ。」

そう言って、蓮沼に学ランを渡した。蓮沼は、少し戸惑っていたが、顔を真っ赤にさせながらも、

『分かったよ。そんじゃ、またあとで。』

蓮沼は私を残して畔さんの所へいった。蓮沼が畔さんに声をかけている。何か楽しそうにしゃべっている。そんな姿をただ見守っていることしか出来ない私。私も一緒に2人の中に入りたい。けど、無理。あの2人の中に私の入る隙間なんかあるわけないのだから・・・。

美・雛「おはよう瑞希!」

そんな私もとに、雛乃と美奈がやって来た。

美「ねぇ?あれ、昨日の畔さんじゃないの?」

雛「蓮沼やるじゃん。てか、瑞希は別れたの?」

2人の言葉が微妙に心をつつく。

瑞「だから、私たちはね、付き合ってないし、別れてもない、友達なの!。」

美「えぇーそんなのつまんないよぉ↓↓」

雛「ねぇ、三角関係って感じで、おもしろそうだったのにぃ・・・」

瑞「ねぇ、2人ともさ、私の不幸な姿がそんなに見たいわけ?」

美・雛「そんなことないよぉ!!(笑)」

私たちは笑いながら学校へ向かった。

 朝の会。隣の席の蓮沼は、まだ畔さんとの余韻にひたっている。その光景は結構面白い。

《じゃぁ、そろそろ席替えするか。》

先生の声に生徒の歓喜の声。[えっ?席替え?蓮沼と席が離れちゃう]私が蓮沼の方を向くと、蓮沼も私のほうを見て、目が合った。今までだって、隣じゃない時だっていっぱいあった。隣になるほうが珍しかったのに、蓮沼と席が離れたら、もう一緒にいられないのではと、心配になった。

『なぁ、瑞希、また一緒の班になれるといいな』

蓮沼の声。その声が私の心を安心させた。

「そうだね!でも、またイロイロ冷やかされちゃうかもよ(笑)」

『そんなことねぇよ、だって俺ら、友達じゃん。』

私は一瞬頭の中が真っ白になった。蓮沼の何気ない一言が私の心に刺さった。[私は何を期待していたの?そうじゃん蓮沼と私は友達。どうして心が痛いの?] そんなことを考えているうちに、席替えのくじ引きの箱が回ってきた。私はおそるおそるくじを引いた。くじの番号は13・・・。何か不吉な予感。

『あー俺、1番前じゃん。最悪↓な、瑞希何番?』

蓮沼は1番前の席?13番って1番後ろじゃん。一緒の班ですらないじゃん。

「え?窓側の1番後ろだよ。蓮沼は?」

『うっそー、俺と一番遠いじゃん!俺、廊下側の1番前だし。』

こんなもんだよね・・・。うちらに縁なんて無いんだし。私は机を動かした。窓側の1番後ろの席は、静かで寂しかった。秋の日の光が机を照らしている。窓が開いて、たまにビューッと風が通り過ぎた。私はその度に身震いした。どうやら、本気で風邪ひいたらしい。

 昼休み、体がだるくて、私はとうとう保健室へ行った。でも、あいにく保険の先生が不在。私は1人でベッドに横になった。どんどん病状が悪化していく。[だれか・・・。来てくれないかな・・・・氷が欲しいんだけど]そう思ったとき、保健室のドアが開いた。入ってきたのは、蓮沼だった。

『先生いますか?』

と言った。保険の先生はいるはずがない。蓮沼は自分で怪我をした足に消毒液を塗っている。かなり慣れた手つきだった。私は蓮沼の姿を目で追っていた。[私のことに気づいて!氷、氷・・・。] その時、ベッドの隣にあるテーブルの上のペンが落ちた。それに気づいた蓮沼が私の方へ来た。蓮沼はペンを拾って、テーブルの上に置いた。その時、私と目が合った。蓮沼は少し驚いてから、

『何?お前具合悪いのか?なんか顔色悪いぞ。』

と、聞いてきた。

「うん・・・。なんか熱っぽい。だるくって・・・。」

『熱?ちゃんと計ったのか?どれどれ?』

蓮沼が私の額を触った。ひんやりとして気持ちかった。

『お前、超熱いじゃん。ちょっと待ってろよ。えっと、胸が苦しかったら、ボタン1つはずせよ。あとできれば靴下ぬげよベッドに寝るときは。』

私は蓮沼が言ったとおり、制服の第一ボタンをはずした。そして靴下を脱いだ。その間に、蓮沼が氷を作ってくれた。

『汗掻いてないか?今、先生に連絡したから、あと10分したら、来るってさ。』

「ありがと・・・。何か蓮沼こういうこと慣れてるね?」

『慣れてるっていうか・・・。沙雪がよく病気になるから、俺が看病したんだ。俺の両親も沙雪の両親も仕事で忙しかったからさ。』

蓮沼が言った。私優しく見つめる蓮沼の目・・・。いや、その目は私のことを見ているんではない。私を通して、昔のほとりさんを見ているんだ。そう考えるとなぜだか凄く哀しくなった。ふと、私は蓮沼から目をそらした。まぶたの裏が熱くなってくる。

「ね、蓮沼はさ、畔さんのことどう思ってるの?」

涙が出そうになるのをグッとこらえて、私は聞いた。

『今さら言わなくても分かってるだろ。』

「ちゃんと言ってよ。蓮沼は、畔さんのこと好きなんでしょ?」

『・・・・ああ。好きだよ。それが?』

涙が頬を1粒伝わった。私は急いでそれを拭いた。私はこれ以上耐え切れない。早く2人がくっ付いちゃえばいいのに。私は感情にあわせてつい口走った。

「じゃあ、早く告っちゃいなよ。なんで告らないの?」

『そんなの俺の勝手じゃん。』

蓮沼は少し怒った口調で言った。私の口は止まらない。

「そうだけど。蓮沼、男でしょ?ビシッとしなさいよ」

『うるせーよ。お前に関係ねーだろ。』

蓮沼は怒って言った。私はムカついてそっぽを向いて。布団を被った。

『ごめん。言い過ぎた。』

蓮沼が見かねて言った。涙を噛み締めた。

「蓮沼、さっさと畔さんのとこに行ってきてよ。大丈夫だから・・・・。」

『行けねーよ。こんなお前1人にして行くほど俺はヒドイやつじゃない。』

蓮沼はいいやつ。いい奴過ぎるのがたまに傷。優しくされたら困るときだってあるのに。

「ね、私は蓮沼が好きだから、幸せになって欲しいの。はやく幸せな姿私に見せてよ。」

そう言って、私は蓮沼を見た。その時、保健室のドアが開いた。

「先生?怪我しちゃったんですけど・・・。」

畔さんだった。畔さんは中に入ってきた。[気づくな・・・気づくな・・・]そう思ったとき、畔さんは私たちに気づいた。畔さんはビックリしてから、困惑気味で、少し悲しそうに言った。

「あ・・・、ごめんなさい・・。邪魔でしたよね?」

畔さんは俯いてから走って保健室を出て行った。私は起き上がって、

「ね、蓮沼、畔さん私たちのこと疑ってるの、お願い、私は大丈夫だから、蓮沼さんのとこへ行って。じゃないと、私が気分悪くなるの、お願い。」

蓮沼に言った。蓮沼は私をジッと見ている。

『俺・・・・やっぱ』

「早く行け!男だろ、ビシッと決めて来い。」

蓮沼が言いかけたのを私は止めて言った。

『わかった・・・。』

蓮沼は私を置いて、畔さんを追いかけた。蓮沼の後姿をみているのが辛かった。

私は、1人になった保健室で布団に包まって泣いた。どうしてだろう、蓮沼は私の大切な友達。蓮沼が幸せなら、私も幸せなはずなのに、どうしてこんなに心が痛いのだろう。友情の中から少しはみ出てきた感情・・・。明日になれば、元通りになるよね。だから、今日はうんと泣いてもいいよね・・・・。


畔さんと蓮沼さんは上手くいったみたいだ。いろいろあったけど、結局、私はいつもどおり蓮沼の友達をやっている。

畔「ね、准樹、氷田さんっていいひとだね。」

『ああ、だからあいつは俺の1番大切な友達だからな』

そう、私と蓮沼は今までも、これからもずーっと大切な友達だ。



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