その後
目が覚めると充の腕の中。いつの間にか寝てしまってたみたい。ちらりと充の顔を盗み見る。充も寝てるみたい。
いたずらしてだなんて、恥ずかしいセリフ。目をつむって考える。私から仕掛けたとはいえ、充はどういうつもりなの。無意識のうちに溜息がもれる。
「久美」
後頭部にキスされた。
「充、起きたの」
「起きた。おはよ」
またキス。
「あー幸せ。卒業まで無理だろうって思ってたのに、本当予想外」
「え?」
充がクスクスと笑い、回された腕に力がこもる。
「俺が高校生だから、気にしてたんでしょ。知ってる」
耳にキスされ、リップ音が響く。恥ずかしい。
「久美、好き。大好き。小さい頃から、ずっと」
嘘だ。最近のスキンシップ過多はともかく、今までそんな素振り、微塵も見せなかった。それに、彼女。
「彼女なんていないよ」
「嘘。見たんだから、一昨日、駅前で」
「一昨日……あぁ! 女子と一緒だったけど、付き合ってないし」
「でも、腕組んでた」
「スキンシップ過剰なだけだよ。俺の周り、皆そんなだし」
だから充もここ数年スキンシップが激しくなってたの。
「俺の彼女は今日から久美でしょ?」
「彼女……」
「うん、彼女。今更って感じもするけど、ずっと一緒にいてね」
幼馴染だから、確かにずっと一緒だった。就職したらさすがに交流がなくなるかな、って思ってたけど、充は相変わらず家に来るし。
充は地元の専門学校に入学だから、受験もなくて、引越しもしない。クリスマスとかバレンタインとかお互いの誕生日とか、毎年欠かさず一緒にいた。約束するってわけじゃなくて、毎年恒例って感じで。彼女はいいの、って何度も聞いたけど、いないって答えしか返ってこなくて。
「ペアリング買いにいこ。仕事中もつけててね。虫除けしないと」
「虫除けって……私を好きになる人なんて、充くらいだよ」
シンプルなデザインなら、仕事中でも装飾品は禁止されてないけど。でも、虫除けの心配はいらない。だって告白されたことなんて今まで一度もないから。これってかなり珍しいんじゃないかな。
「そんなことないんだけど。今までは近かったから色々出来たけど、さすがに職場まではね」
「え?」
「何でもなーい。ね、明日の夕方いこうね」
「うん……」
嬉しい。当たり前だけど、ペアリングなんて初めて。
「今日はまだハロウィンだから、いたずらの続きしようね」
「え!?」
まだするの? 初心者なんだから、手加減して!
必死の訴えも空しくいたずら再開、……次の日は筋肉痛になりました。
END
「ただいまー」
「母さん、おかえり」
「手伝って! 重い!」
「何これ、どうしたの?」
「読書の秋でしょ、いっぱい本買って来たの」
「珍しいね。老眼になってから読まなくなったのに」
「見て見て、特集が面白そうでねー」
「え?」
「オンナノコのためのセッ○ス上達法」
「はぁっ!?」
「ツ○ヤ行ったらあったの。本当はDVD借りに寄ったんだけど、だってほら、久美初心者だし、充くんのために勉強したらー?」
何 故 知 っ て る ! ?
さて、これを書いたのは誰でしょう?
まぁバレバレだと思いますけどね……だがしかし。今回誰かさんが自分っぽく書いてるので(笑)だまされる方もいらっしゃるかと。ふひひ。
さて。
ルール上、あとがきで作者名を明かすことになってますが、あえて明かさない!
消去法でお願いします。
うそです。
1話目のママンのセリフに注目!
セリフの頭の字を縦に読んでね!
以上、ありがとうございました☆