第六話:「神の御心」という名の権力の濫用と偽物の勇者
王都へと続く街道。カズヤは領主ヤナ・ヤーツから「ゆすり」取った豪華な馬車に揺られながら、最新の情報を精査していた。
隣では、何も知らないヒロがユカを心配して拳を握りしめている。
王都の象徴、中央大聖堂。
白亜の壁に囲まれたその場所は、一見すれば神聖な祈りの場だが、一歩足を踏み入れれば、そこは「神の御心」という名の権力の濫用が渦巻く場所だった。
カズヤは「地方の有力な献上者」を装い、教会の奥深くへと潜入する。
「……ほう、これが『信仰』の正体か。反吐が出るな」
重厚な扉の隙間から見えたのは、荘厳なパイプオルガンの音色に隠された醜悪な光景。
壇上では、脂ぎった王侯貴族の老人たちが、絹の法衣を身にまとい、民衆を顧みない贅沢と腐敗にふけっている。
彼らは、神への奉仕を口実に、国庫を食い物にし、自らの欲望を満たしてきました。その権力は、何代にもわたりこの腐敗した世を支配し続けてきた。
富と権力に溺れる姿。強欲と、欺瞞に満ちた言葉。
美しく磨き上げられた大理石の床には、民衆の血税が汗となって広がり、それを「聖なる恵み」と称える司教たちの傲慢な笑い声が響き渡る。
「――次の『教会の貢献者』は、辺境から来たユカという娘だ。あの純真さ、王も利用価値を見出されるだろう」
司教たちの会話を聞き、カズヤの瞳が冷たく凍りつく。
「ヒロ、見ておけ。これが神が放置し、王が貪る『理』の正体だ。愛なんて微塵もない、ただの搾取だ」
「……許せない。兄ちゃん、僕、あんなの壊したい!」
ヒロの怒りに応えるように、彼の周囲に温かな、しかし凄まじい密度の光が渦巻きます。
「焦るな。まずは『査定』だ。あそこにいるのが、現勇者さまか?」
大聖堂のバルコニーから、この醜悪な政治劇を退屈そうに見下ろしている男がいる。
名はジーク。神が選んだとされる「偽物の勇者」。
彼は、民衆の苦痛に耳を傾けず、酒を煽っている。
カズヤは処世術スキルをフル稼働させ、ジークのステータスを透視しました。
【対象:勇者ジーク(偽)】
【スキル:神の加護(偽)/傲慢/虚飾】
【状態:重度の権力依存、精神の腐敗】
「……評価に値しない。ありゃあ、ただの『看板役』だ。実力も、神に与えられたハリボテだな」
カズヤは冷酷に切り捨てた。
今のシステムを破壊するには、この腐敗した教会と王族の「権力構造」を断ち切る必要がある。
「ヒロ。俺たちは、この汚物溜まりの中に『真の信仰』を隠し持っている連中を探し出す。この権力を裏で支え、屈辱に耐えながらチャンスを待っている『虐げられた者たち』や『改革を望む下級司祭』……。彼らを束ねて、一夜にして王都の裏側を支配下に置くぞ」
カズヤは、ヤナ・ヤーツから巻き上げた金貨を指先で弄びながら、闇に沈む教会を見つめました。
「ユカを助け出し、王の権威を失墜させ、神の拠り所を内側から崩壊させる。
――基本は『リソースの枯渇』からだ」




