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彼女を助けるために、俺は乙女ゲームの攻略キャラになりました  作者: しぃ太郎


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3/10

第1話 〜一分咲き〜 だが殴る!

はじめまして、作者のしぃ太郎です。


 このお話は、

「前世の彼氏が攻略対象に転生してた」という

 なんとも言えない状況から始まります。


 軽い雰囲気で始まりますが、

 キャラ達の感情はわりと重めだったり、

 甘いところは作者が照れるくらい甘かったりします。


 シリアスもありますが、最終的にはハッピーエンドです。

 安心して読んでいただけたら嬉しいです。


 どうぞ、ゆっくりお楽しみください。



「ちょっとあなた、エルリック様とどういう関係なのよ。たかが平民が、あそこまで馴れ馴れしく接している理由を教えてくださらない?」


 ――またこれか。


「彼とは少し縁があるだけです。平民にも分け隔てなく接してくださるなんて、さすが高位貴族の方ですね」


 目を少しだけ伏せて、ゆっくりと答える。


「高貴な方々が、平民相手に嫉妬するはずがありませんし……。心配してくださったんですか?」


 大袈裟に手を合わせると、令嬢たちは一斉に視線を逸らした。


「……別に、嫉妬なんてしてませんわ」

「ですよね。すべて誤解ですよ」


 私はすぐさま、その場を離れる。

 彼女たちは言い返されると弱い。いつものことだ。



「ミリィ、流石だな。あんなにスマートに躱せる平民なんてまず居ないよ。……取り敢えず目立たない所に移動するぞ」


 いきなり現れたエルリックに腕を捕まれ、空き教室に連れ込まれる。


 ――おいおい。鍵をかけるんじゃない。


 こんな場面を見られたら、私の学園生活は一貫の終わりだ。

 エルリック……いや春樹は、こんなに後先考えない人だっけ?


「高みの見物なんていいご身分ね、侯爵令息様。それで?またアドバイスをくれるの?」


「あぁ、あいつらはただのモブって奴だ。本当に注意すべきは王子、それとあいつの取り巻きと王子の婚約者だ」


「王子がサイコパスねぇ。あの嘘くさい笑顔は確かにそうかもしれないわ。あの婚約者の彼女も手段は選びそうにないものね」


 この学園のトップに君臨している第二王子。彼の顔を思い浮かべる。確かに、違和感を感じる。


「ああ、だから絶対に近づかないように。もし、絡まれたら――」

「はいはい、エルリックの名前を出せばいいんでしょ」


 だから、エルリックとの関係を勘違いされてさっきのような事態に陥っているんだけれど。


「王子が意外と絡んでくる。……なんか嫌な感じだわ」


 ――そう。


『何か困ったことはないか』

『一緒にランチを食べないか』

『勉強でわからない所はないか』


 色々と親切に声をかけてくれるのだ。

 いや迷惑。

 平民には、厄介事に決まってるじゃない。

 私は本当にエルリックの言うとおり避けまくって逃げている。


 王子なんかと関わった平民の末路なんて恐ろし過ぎて考えたくもない。


「なぁ、王子の愛人だと思われるよりは俺と付き合わないか?」


 また同じ提案をされる。


「身分の問題も何とかする。どうせ俺は次男だし、兄が爵位を継いだら平民と同じ扱いだ」


 本来なら魅力的なお誘いだけれど。


「無理!前世の浮気を許してないし!」


「なぁ、話し合おう。俺は浮気なんて身に覚えが無いし、何か誤解があると思う」


 ――こんのクソ野郎。


「何を惚けたことを抜かすのよ。あんたがホテルで”あの子”と抱き合っている場面を見たわ」


「は? ホテル?……あ……!それは!ちゃんと説明出来る!でも、本当に誤解なんだって!」

「へぇ〜」


 あの時の衝撃で恋心が憎しみに変わってしまったのだ。


「今更、別に誤解が解けたとしてもお互いに別の人生を歩んでいるんだし、もう関係を持ちたくないわ」


 二人きりの教室。

 扉を開けようと、エルリックに背をむける。


「私と付き合ってくれる?有り難くもないわ。そこらの貴族令嬢に嫉妬されて散々なの」


 今日もまた絡まれて散々だった。


「本当に貴族って平民を人間として扱わないのね。すぐに愛人に誘ったり、どこかに連れ込もうとしたり。こんな事なら……」


「誰だ!?王子か?側近の誰かか!?」


 あまりの勢いに、肩が跳ねて、扉から手を離してしまう。


 ――びっくりした。掴まれた腕から彼の震えが伝わってくる。もしかして怯えているの?


「いや、そこらの貴族令息みんなからよ。一般論よ」

「なぁ、お願いだから」


 膝をついて、下から覗き込んでくる、彼の瞳。

 そして、そのまま私の服の袖を掴んで懇願する


「学校を辞めても同レベルの教育を受けさせると約束する。今までどんな目に遭った?危険な事ばかりじゃないか」


「それは、結構酷い嫌がらせばかりだけど……」


 今までの様々な事が脳裏に蘇る。


「お願いだから。学校を辞めたくないなら、せめて俺の側にずっと居てくれよ。頼むから守らせてくれ」


(何?ここまで何故、何を心配しているの?彼がここまで心配する原因があるの?やっぱりゲームが酷いから?)


 色々とわからないけれど。

 彼の瞳から伝わるものが、思っている以上に真剣で、強い。


 ――あ〜あ。


 私ってばチョロインってやつなのね。

 本気で私を心配しているエルリック。そんな姿を見てしまうと……。


 少しは許してもいいかな、なんて思ってしまった。


 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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