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第十九話 試される旗 その二


「ぐっ……! 重すぎるだろ、その剣!」

律は盾を受け止めきれず、またもや地面に叩きつけられた。

鎧の戦士の大剣は、まるで雷鳴のように振り下ろされる。土煙が上がるたび、律の顔が歪んでいく。


(ダメだ……力じゃ敵わない。どうすれば……!)

胸の奥で焦りが渦巻く。だが、耳に届くのは仲間の声。


「律さん、負けないで……!」

セレナの震える叫び。

その一言で、律の目に光が戻る。


「……そっか。僕は力で勝つ必要なんてない」

光の障壁が砕け散る瞬間、律は逆に一歩踏み込み、戦士の懐に滑り込んだ。

「イケメンは! スマートに! かわして決めるんだよ!」

光の閃光が弾け、戦士の兜の視界を奪う。巨体がよろめく。



同じ頃。

セレナは矢を必死に防ぎながら、もう足がすくみかけていた。

「無駄よ。氷は炎を打ち消す……!」女弓使いが冷笑する。


(怖い……でも……!)

ふと、頭をよぎるのはジークの声だった。

──「死ぬ気でついてこい。お前には、その強さがある」


セレナの唇がかすかに震え、やがて強く結ばれる。

「……私だって、“黎明の旗”の仲間です!」

次の瞬間、彼女の杖から放たれた火球は、これまでのものよりもはるかに熱量を帯びていた。


「っ!? 威力が跳ね上がった……!」

女弓使いが目を見開く。

炎と氷がぶつかり合い、轟音とともに蒸気が森に広がった。



「おお……やるじゃねぇか」

見守るルナが、尻尾を揺らして笑う。

だがその横でダグラスは腕を組んだまま、低く吐き捨てる。

「無駄だ。希望は必ず潰える。俺はそれを、この目で何度も見てきた」


「それでも……!」

俺は拳を握り、叫んでいた。

「俺たちは諦めない! ここで示すんだ、黎明の旗の力を!」


その言葉に呼応するように、律とセレナの瞳が燃え上がる。


「直樹! 僕、カッコよく決めるから!」

「わ、私も! 一人じゃ怖いけど……みんなとなら、戦える!」


二人がそれぞれ立ち上がり、再び前に進む。

鎧の戦士と女弓使いも武器を構え直し、空気がピリついた。


──熱血VS諦観。

黎明の旗の未来を賭けた反撃が、いま始まろうとしていた。

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