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僕だけ戦う素材収集冒険記 〜集めた素材で仲間がトンデモ魔道具を作り出す話〜  作者: 花村しずく
冒険者の装備品

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POTEN装備相談会、開催中!

 「ふむふむ、盾のお披露目は終わったようじゃのう〜」


 そんな呟きとともに、湯気の立つ急須と新しいお茶の入った盆を手に、バルドがリビングへ戻ってきた。鼻歌まじりにカップを配りながら、にこにこと全員の顔を見渡す。


 「今日は盾だけじゃなくての、他の装備品や冒険に便利なアイテムの話もしとるんじゃろ? わしにも考えさせて欲しいのう」


 バルドはそう言って、テーブルの空いている椅子ににこにこしながら腰を下ろした。


 「おぬしらが作るもんは、見てるだけでも楽しいでの。つい口を挟みたくなってしまうわい」


 そう笑うバルドに、場の空気がまたやわらぎ、ジンも自然にその空気を引き継いで、声の調子を整えた。


 「じゃあ、そろそろ本題に入ろうか。まずは二人の希望を聞かせてほしいな。どんな装備があったら、今より動きやすくなるとか、安心できるとか」


 ジンの言葉に、リュカとハルが姿勢を正す。


 その横では、エドがすでにノートを広げていた。片手にはお気に入りのペンを握り、どこか楽しそうに目を輝かせている。


 「じゃあ……まず僕から言ってもいい?」


 ハルが少し緊張気味に口を開くと、ジンがにこりと笑ってうなずいた。


 「もちろん。なんでも言ってごらん」


 「うん。えっと……この間の戦闘で、ポーションをポシェットに入れてたんだけど、緊急の時にすぐ取り出せなくて。だから、腰にポーションを刺しておけるベルトが欲しいんだ。できれば短剣も一緒に……」


 「なるほど、緊急用の装備か。いい発想だな」


 ジンが頷きながらメモを取り始めると、エドがさっと顔を上げた。


 「それ、すごくいいね! ポーションホルダー付きのベルト、素材はしっかりめの皮か、柔軟性のある布でもいけるかも……ナギにも相談してみようかな」


 「短剣を刺す場所は左右両方につけて、状況に応じて選べるといいかもしれんの」


 バルドが茶をすすりながら、ぽつりと補足する。


 「それから……ブーツも、そろそろ買い替えたいなって思ってた。結構すり減ってきてて……」


 「おお、だったらこれ! ちょうど考えてたんだ!」


 と、エドがノートの別ページを開いて、勢いよく説明を始めた。


 「ジンさんとは、弾性靴だんせいぐつって呼んでるんだけど、弾草をベースにして作った素材で、跳ねるように軽くて、着地の衝撃も吸収してくれるようにしたくて……今ちょうど試作してるところなんだ。移動にも、戦闘にも向いてると思う!」


 「へぇ……なんか、すごそう」


 「それにね、この靴、風魔法とも相性いいと思うんだ。跳躍と風の推進、組み合わせたら……ね?」


 エドはワクワクしたように手をぶんぶん動かして、空中を飛ぶイメージを描いて見せる。


 「やば、もしかして空飛べちゃう?ちょっとカッコよすぎるじゃんそれ……!」


 ハルの顔にも、期待に満ちた笑みが浮かんでいた。


ハルの希望をひと通り聞き終えると、ジンが視線をリュカに向けた。


 「さて、次はリュカ君の番だな。なにか、こんな装備があったら……っていう希望はあるかい?」


 「えっと……」


 少しだけ考え込んでから、リュカはおそるおそる口を開いた。


 「僕、接近戦が多いから……その、動きを妨げない、何かしら効果のあるマントがあったら嬉しいです」


 「マント、いいね!」

 ハルがすぐに反応する。「リュカって意外とヒラヒラ似合うと思う!」


 「おいおい、ハルー! 俺王族じゃあるまいし、ヒラヒラ似合わないと思うんだけど……!」


 慌てるリュカに、ジンがくつくつと笑いながら言葉を重ねる。


 「マントっていうのはな、使い方次第で盾にもなるんだ。視線を逸らしたり、攻撃の軌道をずらしたり。いい選択だよ」


 「属性対応クロークなんてどう? 軽い素材で作って、差し替え式の魔石を入れるポケットをつけてさ。入れる石の属性によって、耐性を変えられるようにするの」


 エドが身を乗り出しながら提案すると、リュカが目を見開いた。


 「……そんなことまでできるんですか?」


 「もちろん! しかもね、魔石によってはちょっとだけ“気配をぼかす”効果も出せるかもしれないんだ。迷宮とか夜戦で便利だよ!」


 「視認性ダウンの応用ってやつじゃな。確かに、軽いクロークなら接近戦の邪魔にもならん」


 バルドも湯呑を置きながら、うんうんと頷いている。


 「それって……ボス戦の前に、魔石を入れ替えておけるってこと?」


 「そうそう! あ、さっきの盾と似た仕組みにしたら、操作感も統一できるしね!」


 話が盛り上がるうちに、リュカの表情にも自然と笑みがこぼれていった。


 「……あ、そういえばさ」


 今度はハルが思い出したように顔を上げる。


 「この間のダンジョンでさ、冒険者ギルドのサイルさんが言ってたんだよね。屈折率がすっごく低くて、光をほとんど反射しない構造の生地があるって。冒険者ギルドの秘蔵らしいけど、詳しく教えてくれるかなあ……?」


 「おお、それ、俺も聞いた聞いた!」

 エドがすぐに反応する。


 「ふむ、確かに言っておったのう。わしも横で聞いておった。たしか、光魔法が少し吸い込まれるような……妙な感触じゃった」


 「そんなすごい生地、使えたら最高じゃないですか……!」

 リュカが思わず前のめりになって目を輝かせる。


 「ほんとだよね! それでマントを作れたら、属性防御だけじゃなくて、視認性ダウンの効果もすごく自然になるかも!」


 「よし、これは後でサイルさんに相談してみよう。頼めば、ちょっとくらい分けてくれる……かもしれないし!」


 エドはわくわくした様子でノートをめくりながら、新たな素材の候補をメモに加えた。

明日も23時時ごろまでに1話投稿します


同じ世界のお話です


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