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謎解き開始

 読み終えた後も、しばらくプレートを見つめたままのハルに、リュカがぽりぽりと頭をかきながら言った。


 「……なあ、ハル。これ、どういう意味だと思う?」


 「うーん……たぶん、何かを選ぶ仕掛けなんだろうけど……“四つの光”っていうのが何のことか分からないんだよね」


 「俺には、詩みたいなもんにしか見えねぇな。えっと、天のてっぺんに昇って影が消えて……なんだって?」


 「“真なる道が開かれる”……ってあるから、正しい選択ができれば、扉が開くってことなんだと思う」


 リュカは腕を組んで、「ぜんっぜんわかんねぇ」と唸った。


 そんな様子に、ハルはふっと笑いながら言葉を返す。


 「でも、謎解きって、ここにある情報だけで解けるはずだよ。どこかにヒントがあるはず……たぶん、この部屋の中に」


 ハルはゆっくりと立ち上がり、プレートから離れて室内を見渡す。けれど、目立った装置や明かり、装飾らしきものは見つからない。


 リュカも仕掛けらしきものがないかと、機械の残骸を軽く足でどかしながら言った。


 「こういうとこって、壁に何か隠されてたりしないの?よくさ、秘密のボタンとかさ」


 「うん、可能性はあるかも……」


 ハルは静かに壁際を歩きながら、手で触れて確かめていく。床、天井、柱……しかし、どこにも“これだ”と思えるものはない。


 「……ヒント、どこかにあるはずなんだけどな」


 完全にお手上げ状態になったハルは、ため息をつきながらポシェットを肩から外し、そっと床に置いた。そこからノートとペンを取り出し、膝の上に広げる。


 「ちょっと、頭を整理してみるね」


 そう言って床にしゃがみ込み、プレートに刻まれた文をまず一行目に書き写す。


   ***


 ——《汝、四つの光より正しきひとつを選べ。天の頂に願いを込めたその時、影は消え、真なる道は開かれん。》

《白き始まり、金の頂き、茜に染まりし刻、漆黒に沈みて、光は巡る》


 続けて、目にしたものや状況を箇条書きにしていく。


 ・プレートには太陽のような紋章

 ・下には丸い穴が四つ、横一列に並んでいる

 ・機械モンスター×10体が出現

 ・ドロップ:金属ガラクタ&10色の魔石

 ・弱点は関節部分


   ***


 書き終えたところで、ハルのペンが止まった。


 (……ん?)


 手元のノートをじっと見つめ、視線が最後の一行に戻る。


 (魔石10個……? でも、“光は四つ”って、数が合わないな……どういうことだろう……)


 小さく唸りながら、ハルはポシェットを開けて中を覗き込んだ。そして、そっと手を入れ、先ほど拾い集めた魔石を一つずつ取り出して床に並べていく。


 赤、青、白、金……そしてそれ以外にも、緑や紫、黒、橙など、多彩な色が揃っていた。全部で10個。それぞれ、同じ大きさと形——あきらかに「意図的に揃えられた」ように見える。


 「……やっぱり、これ……ヒントっていうか、“使え”ってことなのかも」


 ハルは小さく呟きながら、10色の魔石をじっと見つめた。


 「おおっ……確かにこの魔石、穴にぴったりハマりそうだな!」


 ハルが魔石を並べ終えたのを見て、リュカが身を乗り出すようにして声を上げた。


 「なあ、まずは試しに適当にいくつかはめてみようぜ!ひとつでも正解だったら、何か反応あるかもしれないし!」


 「えっ、ちょっと待っ——」


 止める間もなく、リュカは橙、緑、紫、そして白の魔石を手に取り、勢いよく丸い穴にひとつずつ差し込んでいく。


 最後のひとつがカチリと音を立てて収まると、部屋に一瞬、低く唸るような音が響いた。


 「……ん? 今、なんか音したか?」


 「……リュカ、後ろ……!」


 振り返ると、部屋の奥の壁面から、音を立てて何かがせり上がってくる。ごぉん、ごぉん……その形があらわになった瞬間、ハルは思わず息を呑んだ。


 「また出たっ!? モンスターだ……今度は四体……!」


 ガシャリ、と音を立てて現れたのは、先ほどのものより一回り小柄ながら、鋭利なパーツを備えた機械仕掛けの魔物たち。赤い目がぎらりと光ると、金属の脚が床を踏みしめ、こちらへと歩みを進めてきた。


 「よし、関節が弱点だったな……任せろ!」


 リュカが剣を構え、にかっと笑って前に飛び出す。

 迷いのない一撃が、一体の膝関節を狙い撃ち、ガコンと鈍い音を立てて崩れさせた。


 「ハル、後ろは頼んだ!」


 「うん、任せて!」


 ハルもすかさず手を前に差し出し、風魔法を発動させる。

 狙うは関節——回転の要となる小さなジョイント部分。風の刃がすっと滑り込み、もう一体の動きを止める。


 「効いてる!この調子!」


 その後も、ふたりは冷静に連携を取りながら次々と敵を倒していく。最初の戦闘とは違い、弱点を把握している今は、まるで模擬戦のような落ち着いた戦いぶりだった。


 やがて、最後の一体がガシャンと音を立てて崩れ落ちる。


 「ふぅ……終わったな」


 「うん……今回は、うまく戦えたかも」


 緊張を解いたふたりは、戦いの余韻を抱えながら周囲を見回した。だが、今度の敵は魔石を落とさなかった。


 「……あれ? 魔石、出ない?」


 ハルが金属片の中を見ながら首をかしげる。


 「さっきのは、魔石をドロップするための試練的なやつだったのかもな。こっちはただの防衛機構って感じか」


 「……え、じゃあ、間違えたら、また出てくるってこと?」


 「かもな!」


 軽く笑うリュカに、ハルは小さくため息をついた。

 その後、ハルは再び床に並べた魔石へと視線を戻した。

明日も23時時ごろまでに1話投稿します


同じ世界のお話です


⚫︎ 異世界で手仕事職人はじめました! 〜創術屋ツムギのスローライフ〜

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