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はじめてのダンジョン選び

 目の前に並ぶのは、さまざまなダンジョンの簡易地図と特徴、推奨ランク、そして主な採取素材や出現する魔物の情報。


 ファイルにあるダンジョンを指でなぞりながら、ハルは手元のノートを開いて、簡単な表を作りながら候補をメモしていった。


———


◾️鉱石の小径こうせきのこみち

•タイプ:坑道型/鉱石系ダンジョン

•危険度:Fランク

•特徴:旧採掘場跡地。崩落の恐れは少ないが足元に注意。初心者向け鉱石採集に最適。


◾️まどろみ草原

•タイプ:野外型/昼寝注意の植物系

•危険度:Fランク

•特徴:リラックスしすぎると本当に寝てしまうため要注意。薬草系が豊富。


◾️星詠の遺跡ほしよみのいせき

•タイプ:遺跡型/天体モチーフ

•危険度:F〜Dランク

•特徴:星の動きと連動する不思議な遺跡。魔石が“星の巡り”に反応して出現する箇所がある。謎解き、機械装置の操作が求められる。


◾️忘れわすれだに

•タイプ:谷型/採取重視

•危険度:Dランク

•特徴:かつて一帯が魔導鉱山だった場所。地層に魔力が残っており、さまざまな魔石が“風化したかけら”として散らばっている。宝探し気分で探索が楽しい。稀に魔石が吹き寄せられて集まる「魔石溜まり」がある。錆びた道具や古魔具の部品などが出ることもある


◾️ノクタ廃都はいと

•タイプ:都市遺構型/宝石採集向き

•危険度:D〜Eランク

•特徴:かつて魔石文明が栄えた都市の遺跡が、まるごと迷宮となっている。崩れた建物の隙間に、美しい結晶が静かに育っている。古の知識が残されていることもあり、稀に書物や記録装置のようなアイテムが発見されることもある。


◾️閃きの間

•タイプ:異空間型/謎解き系

•危険度:Dランク相当

•特徴:魔法陣・記号・鏡などのギミックを解きながら進む頭脳系ダンジョン。素材はギミック解除時に現れる結晶や報酬箱から得られる。戦闘がほぼない為苦手でも挑めるダンジョン。思考力と観察力が試される。


———


 ぱたん、と一覧ファイルを閉じ、ハルはノートにまとめた候補ダンジョンのメモを見返しながら選ぶことにした。


 鉱石の小径こうせきのこみちは近くて安全だけど、鉄鉱石が中心か……魔石の種類は少ないかもしれないな


 まどろみ草原……薬草はたくさん採れそうだけど、今回は魔石優先だし……


 星詠の遺跡ほしよみのいせき……すごく気になる。星の巡りと連動する魔石の出現ポイントって、すごくロマンがある。でも……遠いな。今週中に素材をそろえるには、時間が足りないかも。ここはまた今度、ちゃんと準備して行こう


 閃きの間は、ほとんど戦闘がないって言ってた。思考型で謎解き中心……それはすごく興味あるかも。でも、結晶の出現が運次第って感じだから、確実性に欠けるか


 ノクタ廃都は……場所が少し遠いし、崩れた建物の中は少し危ないかもしれない。でも、書物が出るっていうのは気になる……これも、今度じっくり時間をとって行ってみたいな


 そして、最後に残った候補を見つめる。


 (……忘れわすれだに


 城下町から半日以内で行ける距離。もともと鉱山だった地形は足元に注意が必要だけど、危険度はDランク程度。風化した魔石のかけらが多く、運がよければ「魔石溜まり」に出会えることもある。


 (時間的にもここが1番無難だし、いろんな種類の魔石が見つかる可能性がある。それに……なんだか、宝探しみたいでワクワクする)


 ハルは、にこっと微笑んで、ノートに大きく「◎ 忘れ谷」と丸をつけた。


 (よし、行き先は決まり!)


 次は持ち物の準備と……道中の安全確認だ。初めてのダンジョン探索で魔石を何としても手に入れなければならないし、失敗できない。


そう考えながら、ハルはその足でギルドの受付へと向かった。


受付に忘れ谷の申請を出すと、記録を確認しながら少しだけ眉をひそめた。


 「忘れ谷ね。うーん……ルートは整備されてるけど、地形が少し複雑で、魔物も出ることがあるから……Fランクの君には、ちょっとだけ難易度が高いかもしれないわ」


 ハルは表情を引き締めて、真っ直ぐに答える。

 「大丈夫です。ちゃんと準備して行きます!」


 「そうね、きっと君は真面目に準備するタイプだと思う。でもね、覚えておいて。“ひとりで全部こなそうとすること”が、必ずしも正解じゃないのよ」


 受付の人は、やさしく微笑んだ。


 「誰かに助けを求められるのも、冒険者として大事な資質のひとつよ。パーティを組んでいくことも、選択肢のひとつとして考えてみて」


 その言葉に、ハルは一瞬驚いたように目を見開いた。


 (……たしかに、ツムギお姉ちゃんだって、すごいけど、全部ひとりでやってるわけじゃない。エドさんも、ナギさんも、エリアスさんも、いつもそばで力を貸してくれてる)


(僕は、前の人生では、なんでもひとりでやろうとしてた気がする。“誰かの力を借りること”も、これからはちゃんと覚えていかなくちゃ)


 思い浮かんだのは、あの元気でまっすぐな親友の顔。


 「……よし。リュカを誘ってみよう」

明日も23時時ごろまでに1話投稿します


同じ世界のお話です


⚫︎ハルの素材収集冒険記・序章 出会いの工房

https://ncode.syosetu.com/N4259KI/


⚫︎ 異世界で手仕事職人はじめました! 〜創術屋ツムギのスローライフ〜

https://ncode.syosetu.com/n3980kc/

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