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【第1章完結】僕だけ戦う素材収集冒険記 〜集めた素材で仲間がトンデモ魔道具を作り出す話〜  作者: 花村しずく
ハルの日常

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依頼の受注

 講座を終えて、ギルドのロビーに戻ってきたハルは、椅子に座って待っていたリュカの姿を見つけて、手を振った。


 「リュカ、おつかれさま!」


 「ハルー!そっちも終わったんだな!」


 リュカはギルド支給の教本をぱたんと閉じて、嬉しそうに笑った。


 「なあ、見ろよこの教本!武器と防具の基礎だけじゃなくて、鍛冶のこともちょっと書いてあってさ……いつか、自分の魔剣とか手に入れられたら最高だよな〜!」


 「魔剣……かっこいいね。うん、絶対似合うと思う」


 「だろっ!」


 隣でリュカがにかっと笑うのを見ながら、ハルは、先ほどのぷるんとした特級スライムのクロのことを思い出した。


 「……僕も、相棒が欲しいなあ。クロ、可愛かったな……」


 そうつぶやいた瞬間。

 ポシェットが、小さくぶるる、と震えた。


 「……あっ」


 (……い、いまのって……いじけた?)


 ハルは慌ててポシェットを抱えるようにして、慌てて心の中で弁解する。


 (ち、違うよ!きみは特別なんだってば……!)


 進化するとはいえ、見た目は普通のポシェットのはずなのに、なぜか“すねてる”ように感じてしまって、ハルは苦笑いを浮かべた。


 「どうした?」


 「ううん、なんでもない!」


 ごまかしながら笑うハルに、リュカは首を傾げながらも、立ち上がって声をかけた。


 「なあ、せっかくだし、今日も何か依頼受けて帰らねぇ? そしたら明日すぐ行けるし!」


 「いいね!いいのがあるか、探してみよう!」


 「お、これとかどうだ?『小麦畑のカラス追い払い』。報酬少ないけど、なんかのんびりしてて良さそうじゃね?」


 「うーん、のんびりすぎるかな……あ、これは?『温泉宿の薪割り手伝い』って書いてある。行ってみたいかも」


 ふたりでファイルをめくりながら、楽しそうに依頼を見ていると——


 「あ……!」


 ハルの手が、ぴたりと止まった。


 「どうした?」


 「……この依頼、ガウスさんからだ」


 リュカが横から覗き込む。


———


依頼名:青磁茸せいじたけの採取


【ランク:Fランク】


【場所】 カムニア町・湿地帯(指定採取区域)


【目的】

湿地に自生する青磁茸を5本採取し、依頼主へ直接届けること。


【注意点】

・滑りやすい地面に注意。

・青磁茸は群生しにくく、一株ずつ丁寧に採取する必要がある。

・湿気で傷みやすいため、採取後はすぐに布で包み保管。


【報酬】

2,000ルク(状態良好な場合、追加報酬あり)


【備考】

直接納品指定。依頼主:ガウス(カムニア町・精錬屋)


———


 「ガウスさんって……あの、前に話してた、町の精錬屋さん?」


 「うん。僕、昔からずっとお世話になってて……。拾った素材を買い取ってくれたのも、最初はガウスさんだったんだ」


 感慨深そうに依頼書を見つめるハルの横顔に、リュカは「そっか」と頷いた。


 「じゃあ、それ受けるんだな?」


 「うん!本人に届けるって書いてあるし、きっと僕が行ったらびっくりするよね。冒険者の格好をしていったら喜んでくれそうだし!」


 「ふふ、ガウスさんも目をまるくするだろうなー!……じゃあ、俺は……これにしようかな」


 リュカが選んだのは——


 【初級ダンジョン・護衛付き探索補助】


 「上級者がついてくれるなら安心だし、初級なら危険も少ないって書いてある。ダンジョンって、ちょっと憧れてたんだよなぁ」


 「リュカ、ダンジョン攻略が夢だもんね。でも、怪我だけは気をつけてね」


 「おう、そっちこそ!」


 お互いの健闘を祈りながら、ふたりは、それぞれの初級依頼に申し込むため、受付へと向かっていった。


ギルドで魔導スタンプを押し終えると、二人は笑い合って、それぞれの帰路についた。

 ハルは明日の採取がカムニア町周辺だったため、実家へ帰ることにしていた。


 ——魔導列車に揺られて約一時間。馴染みのホームに降り立つと、夕暮れの風と共に、ふわりとあたたかな香りが鼻をくすぐった。


 「おかえり、ハル。お腹すいてるでしょう?」


 迎えに来てくれた母の笑顔に、ハルの顔も自然とほころぶ。


 その夜、夕食の後。ハルはふと思い立って、今日講習で習ったばかりの“観察訓練”を試してみることにした。


 (……イメージは、透かして見るように。目の奥を、ゆっくり、静かに——)


 深呼吸をして、母の目をじっと見つめる。光の魔力をそっと流すように意識を集中すると……ごく微かに、黒っぽいモヤのようなものが視界の端に揺れた。


 (……あった。見えた……かも?)


 まだ確信にはほど遠い。でも、前の人生では決して見えなかった“原因”の手がかりが、今はこうして目の前にある。


 ——ハルは、そっと拳を握りしめた。


 (絶対、治してみせる。お母さんの目も、前の人生の後悔も——全部、今の僕で変えていく)

明日も23時時ごろまでに1話投稿します


今回登場したガウスさんは下記な短編にも

ツムギのスローライフにも登場します。


⚫︎ハルの素材収集冒険記・序章 出会いの工房

https://ncode.syosetu.com/N4259KI/


⚫︎ 異世界で手仕事職人はじめました! 〜創術屋ツムギのスローライフ〜

https://ncode.syosetu.com/n3980kc/

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