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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第四章 力を合わせて

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25.力を合わせて

 みんなで力を合わせて、フィリベルトのとこまでたどり着けたし。こっからは、ニンゲンたちがなんとかしてくれそうだし。

 まだすぐには帰ってこれそうにないみたいだけど、とりあえずビアンカのとこにも連絡がいくと思うんだよね。一応ボクも明日ビアンカのとこに行って、直接話すつもりだけど。


『まずはセレーナに教えてあげないとなー』


 きっと心配しながら待っててくれてるし、今回はニンゲンが一緒だったからちゃんと伝わるはず。

 ……そういえば、結局このニンゲンのオスの名前、思い出せないままだったな。別に困らないからいいんだけど。


「……ふぅ。王太子殿下と騎士団長のお二人の前だと、さすがに緊張したな」

『え? そうなの?』


 もうそろそろ山から出られそうかなってくらいになって、後ろのニンゲンからそんな声が聞こえてきたから、思わず振り返っちゃった。

 いや、だって。結構堂々としてたし。


「ん? 緊張してたのかって聞いてるのか? そりゃあ緊張するさ。なんたって、主よりも偉い方々だぞ?」

『そっか。そういえばフィリベルトって、将来ニンゲンのボスになるオスだったね』


 ビアンカと一緒の時ばっか見てるから、すっかり忘れてたけど。言われてみればさっきのフィリベルトって、ちょっとボスっぽかった。きっとあの中では、ホントに一番上だったんだろうね。


「俺みたいなのが、そう簡単にお目にかかれる相手じゃないんだよ」

『俺は知ってるぜー、ジャンがめっちゃ緊張してたこと』


 ため息をつきながら零した言葉に、マルツィオがちょっとふざけた感じでそう返してた。

 というか、このニンゲンのオスってジャンって名前だったんだ。今さらだけど覚えたよ。


「マルツィオ? なんか言ったか?」

『べっつにー』

「……お前、俺のことちょっとバカにしただろ」

『俺は事実を言ったまでだけどな』


 なんか、ちゃんと会話が成立してるんだけど、なにこれ。ジャンって、マルツィオの言ってることが分かるのかな? それとも偶然? セレーナも時々ボクと普通に会話してることあるから、もしかしたらそれに近いことしてるとか?

 ニンゲンって、ホントにボクたちの言葉が理解できてないのかどうか、疑いたくなる時あるんだよね。不思議。


「ダークブロンドにグレーの瞳の強面(こわもて)、か。噂には聞いてたけど、確かにスプレンドーレ公爵様のあの威圧感はすごかった。さすが、我が国の騎士団長様」


 マルツィオがちゃんと歩いてくれるっていう信頼からなのか、ジャンは真上を向いてそんなこと言ってるけど。それ、目の前に木の枝とかあったら危ないから、やめたほうがいいよ?

 なんて思ってたら開けた道に出たから、たぶんこれで山から出たのかな。


『スプレンドーレ公爵ってことは、あれだよねー?』

『ずっと昔に、王女様がお嫁に行ったお家だよねー?』


 小鳥たちがクロの背中の上で『ねー』って言い合ってるけど、それってつまりフィリベルトとも血の繋がりがあるってこと? 見た目は全然違ったけど。

 フィリベルトが、もしあんなおっきなニンゲンみたいになっちゃったら……。うん、ボクはイヤかな。セレーナとも並んでほしくないかも。


「まぁこれで、あと数日もすれば王太子殿下もお戻りになられるだろうし。任務は無事完了ってところか」

『ってことは、ジョヴァンニさんに褒めてもらえるってことだよな!』


 嬉しそうなマルツィオだけど、基準はそこなんだね。

 ジョヴァンニ、頑張って。一応マルツィオも頑張ってくれたし、今回はしっかり褒めてあげてほしいな。



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