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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第一章 ルシェとセレーナ
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4.しゃこうかいでびゅー

 ボクとセレーナは、ずっと一緒。

 そう、思ってたのに……。


『なんで!? もう夜だよ!? これからどっか行くの!?』


 ここ最近、お家の中が色々と忙しそうなのには気づいてたけど。今日は朝からずっと、セレーナの周りはバタバタしてて。

 それでもボクが出かける前までは、セレーナはいつも通りだったのに。


『ボクのこと、置いてくの……? なんで一緒に行っちゃダメなの……?』


 帰ってきたら、すごく忙しそうにしてて。

 全然かまってもらえないまま、いつの間にかキレイなドレスに着替えたセレーナが出かける気配を感じ取って、ボクは焦ってた。


「今日はよく鳴いていますね」

「きっと置いていかれると理解しているのね。賢い子だから」


 どこか自慢気なセレーナが、そう答えてたけど。今はその言葉に喜んでる場合じゃない。

 なんとかして出かけないようにしてもらうか、ボクも連れて行ってもらえるようにしないと。

 セレーナがいないお家でお留守番なんて、絶対ヤダ!


『ねー、セレーナー。ボクいい子にしてるから、一緒に連れてってよー』

「ルシェ。私は今日、社交界デビューをするの。だからおとなしく待っていて?」

『……しゃこうかいでびゅーって、なぁに?』


 足元にすり寄ろうとするボクを、いつも色々とお世話してくれるニンゲンが抱き上げるから。仕方なく鳴いてお願いすれば、セレーナからは知らない言葉が返ってくる。

 意味は分からないけど、たぶんその『しゃこうかいでびゅー』のせいで、ボクは置いてかれそうになってるってことでしょ?


『じゃあ、それやめようよー。ボクと一緒にいてよー』

「ルシェは賢い子だから、分かるでしょう? ちゃんと帰ってくるから、いい子にしていてね?」

『わかんないよぉ』


 必死に訴えかけるけど、諭すようにセレーナに言われて、頭を撫でられる。

 ボクは知ってるんだ。こうなると、どんなに一生懸命鳴いたところで、要求は聞いてもらえないんだってこと。


「それじゃあ、行ってくるわ」

「行ってらっしゃいませ」

『セレーナー!』


 案の定、ボクの必死の叫びは完全になかったことにされて。そのままセレーナは部屋の外に出ていっちゃった。


『うぅ……。セレーナ……』

「大丈夫ですよ。お嬢様は、ちゃんと帰ってきますから」

『……でも、全然かまってもらえなかった』


 そのことが悲しくて、せめてセレーナの匂いだけでも感じたくて、ボクは下ろしてもらうために腕の中で体をひねる。


「あぁっ。危ないので、少し待ってください……!」


 ボクの要求を理解して、そっと床の上におろしてくれたから。そのまま一目散にセレーナのベッドに向かって走り出して、ぴょんとその上に飛び乗る。

 このくらいの高さなら、ボクにとってはあってないようなもの。


「あらあら。もう寂しくなっちゃったんですか?」


 その言葉には答えずに、ボクはいつもセレーナが枕にしてるクッションの上で、真剣に寝床を作ってた。

 前足でしっかりと踏みしめて、形を作って。ある程度満足したら、その場で丸くなる。

 だってこうなったら、ふて寝するしかないんだもん!


「ふふ。ご自身の枕でフミフミして丸くなって寝ていたと知ったら、お嬢様はきっと喜びますね」

「ルシェはお嬢様に溺愛されているものね」


 どこか微笑ましそうな声で、そんな会話が繰り広げられていたけど。ボクにはそんなこと、関係ない。

 いや、まぁ、セレーナが喜んでくれるんだったら、いくらでもやるけど。

 でもやっぱり、一人じゃ意味ないもん。


(セレーナ、早く帰ってこないかなぁ)


 寂しくて、ふて寝を決め込んだボクは。まさかセレーナが、ニンゲンのオスに心を奪われて帰ってくるなんて、想像もしてなくて。

 目覚めてすぐに盛大なショックを受けることになるなんて、夢にも思ってなかった。



 すでにブックマークが20件も!?Σ(゜д゜;)

 しかも評価してくださった方までいらっしゃる!?Σ(゜Д゜;)

 登録してくださった20名の方、評価してくださった1名の方、本当にありがとうございます!(>ω<*)



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