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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第四章 力を合わせて

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15.証明できるもの

『クロー!!』


 とにかく急いでたボクは路地裏の入り口についた瞬間、大声でクロの名前を呼ぶ。これでいなかったら、探しに行かなきゃだからね。奥まで行くより、このほうが早いでしょ。


『ルシェ? どうしたの、そんなに慌てて――』

『クロ、お願いがあるんだ!』


 前みたいに、路地裏の奥のほうで闇に同化してたクロが出てきたのを見て安心したのと同時に、飛びつくように駆け寄る。事情を話して、小鳥たちと一緒にフィリベルトのとこまで行ってほしいってお願いしてみた。


『それは、いいけど……』

『ホント!? ありがとうクロ!』

『でも僕が場所を知ったとしても、そこからどうやって誰を誘導すればいいの?』

『それは……』


 言われてみれば、ボクはフィリベルトを探しに出てるニンゲンの、顔も名前も知らない。それ以上に、どうやってそこに誘導すればいいのかの方法も、まだ思いついてなくて。

 どうしようかと悩むボクに、今度は小鳥たちが知恵を出してくれる。


『貴族とか王族って、名前入りのハンカチーフを持ってるはずじゃなかったー?』

『出かける時も、必ず予備とかは持ってるはずだよねー』

『それをもらえないかなー?』

『それなら確実に誰を見つけたのか分かるよねー』

『それだ!!』


 ただ次の問題は、どうやってそれを渡してもらうかで。クロが下りられないような場所にフィリベルトがいたとしても小鳥たちがいるから、彼女たちに渡してさえもらえれば運ぶことはできるんだけど。


『フィリベルトの部屋にはないのかな?』

『あったとしても、たぶん引き出しの中とかだから、僕たちの前足では開けられないと思うよ』

『そっか』


 しかも小鳥たちが言うには、そういうものは別のニンゲンが普通用意するものだから、部屋の中にはない可能性のほうが高いんだって。セレーナも普段周りのニンゲンが色々用意してるでしょって言われて、ボクもそれはよく知ってるから納得するしかなかった。


『僕がルシェの友達だって、証明できるなにかがあったらよかったんだけどね』


 そう。最初にボクが行こうと思ったのは、ボクがフィリベルトと知り合いだから。きっと一目見れば分かってくれるだろうと思って、自分で直接会いに行こうと思ったんだ。

 でも今回は今日中に帰ってこられないと困るからって、クロにお願いしちゃったし。そうすると、ボクと繋がりがあるって証明できるものってないし。首輪を持って行ってもらうにしても、自分では外せないんだよね。


『……あれ? ちょっと待って』


 首輪の他にボクが関わってるって分かるもの、なにかなかったかなって考えて。ふと、思いついた。


『セレーナとフィリベルトの手紙を入れてる革袋なら、ボクとクロが友達だっていう証明にならないかな?』


 そうじゃなくてもセレーナと関わりがあるって、フィリベルトなら気づいてくれるはず。


『それだ!』

『それだー!』

『それだー!』


 三つの声が重なって、同時に三対の瞳もボクに向けられる。

 しかもあの革袋は、今はちょうど空っぽになってて。いつでもボクがフィリベルトのとこに持って行けるようにって、セレーナが寝室に置いてくれてるんだよね。


『今から持ってくるから、ちょっと待ってて!』


 すぐに出発してもらいたいから、急いでお家に革袋を取りに戻る。この時間だったらまだセレーナも部屋にいるだろうし、寝室の窓から革袋をくわえて出るのも許してくれるはず。他のニンゲンだとイタズラしてるって勘違いされちゃうかもしれないけど、セレーナだったらそんなこともないし。

 そう思って、急いで向かったセレーナの部屋で。なにも知らないはずなのに、ボクの急いでる様子が伝わったのかセレーナは、革袋をくわえてるボクの顔を自分の体を使って他のニンゲンから隠しながら、寝室の窓まで開けてくれたんだ。


(ありがとうセレーナ!)


 心の中で感謝してたら、後ろから「そういったことは私共がやりますから」なんて言ってる他のニンゲンに、セレーナが「ルシェがあまりにも可愛くて、頼られるのが嬉しかったのだもの。たまにはいいでしょう?」って返してるのが聞こえてきて。


(セレーナってホント、時々すごく大胆だよね)


 なんてつい思っちゃったのは、ボクだけの秘密なんだ。



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