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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第四章 力を合わせて

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14.新しい情報

 翌日。

 昨日の雨がウソみたいに晴れ渡った空の下、お日様のおかげでお昼までには完全に乾いた庭を通って、小鳥たちがよくいる木のとこまでボクは少しだけ早足で向かってた。

 一応、なにか分かったら会いに行くって言ってくれてたし。もしかしたらそこにいるんじゃないかって思ったんだ。


『ルシェだー!』

『よかった会えたー!』


 予想通り、彼女たちはすでにそこにいた。いつもの定位置に、いつものように横に並んで。

 それに安心したボクは、もしかしたらフィリベルトが帰ってきたことを彼女たちが教えようとしてくれてたんじゃないかって、ちょっと期待したんだけど。


『待っててくれたの?』

『そうだよー!』

『聞いて聞いてー! 大変なんだよー!』


 そんな淡い期待は、彼女たちが持ってきてくれた新しい情報の衝撃に、完全に打ち砕かれたんだ。


『なにが大変なの?』


 翼をばたつかせながら、必死にアピールしてくるその姿にボクが聞き返せば。


『フィリベルトがねー!』

『馬車ごと遭難してたー!』

『…………はい?』


 予想もしてなかった、まさかすぎる言葉が返ってくる。

 彼女たちが言うには、昨日たまたま一緒に雨宿りしてた鳥が、山の向こうから来る時にニンゲンの馬車を見かけたんだって。ただし道の上じゃなく、ニンゲンの力では簡単に上がれなさそうな崖の下に。


『たぶん地すべりなんじゃないかって言ってたー』

『上がるのもムリそうだけど、遠回りするにも大きな川があるからムリなんじゃないかってー』

『しかも雨で川も増水してるから、なおさら難しいんだってー』

『馬車の特徴は一致してたんだけど、さすがに詳しいことまでは分かんないってさー』


 つまり、本当に行方不明になっちゃってたと。そういうことっぽい。

 一応、馬車ごと転倒してたり土に飲み込まれたりはしてなかったし、外にいるニンゲンは普通に話してるっぽかったらしいから、フィリベルトたちは無事なんじゃないかって話なんだけど。


『ちょっと待って! それって、場所は分かるってこと!?』

『うん、分かるよー』

『ワタシたち、ちゃんと聞いてきたからー』

『さすが! ありがとう!』


 ということは、ニンゲンをそこまで案内できればどうにかなるかもしれない。

 問題は、どうやってニンゲンにそれを知らせるかっていうことと、川も渡れないし崖も危なそうだから、どうやってそこからフィリベルトを救出するかってことなんだけど。


(これは、ボクが考えても仕方がないよね)


 そこから先はニンゲンに任せればいいから、とりあえずまずはそのことを知らせる方法からだよね。そのためには、ボクが場所を案内するのが一番。

 そう思って、小鳥たちにお願いしてみたんだけど。


『ねぇ、案内してくれる?』

『いい、けどー……』

『ルシェの体だと、たぶん今日中には戻ってこれないよー?』

『え……』


 それは困る。フィリベルトからの手紙も届かない中、ボクまでいなくなったらセレーナ泣いちゃうかもしれないから。

 ボクにとってセレーナを困らせたり不安にさせるのは、一番やっちゃいけないこと。でもそうなると、どうすればいいのか分からないし……。


『ルシェよりも体が大きくてー』

『ルシェよりも走るのが早くてー』

『ルシェよりも体力があってー』

『ルシェと同じくらい賢い子じゃないとムリかなー』


 悩むボクに、小鳥たちはまるで歌うみたいにそう告げてくるけど。そんなに都合のいい存在なんて、なかなかいないんだよ? 足はすごく早いし賢いけど、だからってジョヴァンニたちにお願いするわけにもいかないんだから。

 焦りからイライラしてきたボクは、とりあえず気持ちを落ち着けるためにグルーミングをしようと、背中に顔を向けて舌を出して。その直前でふと、背中の濃い黒っぽい模様が目に留まった。


『……あれ? もしかして』


 その飛び込んできた色に、雨が降る直前に立ち寄ったクロのことを思い出して。これ以上に適任な存在はいないんじゃないかって、思ったんだ。

 だってクロなら、ボクよりも体は大きいし、ボクよりも走るの早いし、ボクよりも体力あるし。それになにより、ボクと同じくらい賢い。


『いる! 条件にピッタリのイヌが!』

『ホントー?』

『でも、イヌならありかもー』


 一応すぐに彼女たちにクロの特徴を話して、協力してもらえるかの確認も含めて一緒に会いに行ってほしいとお願いして。

 こうしてボクたちは、急いでクロのいる路地裏へと向かったんだ。



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