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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第四章 力を合わせて

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11.雨が降る

 とにかく雨が降る前に、急いでお家に戻ってボクの部屋の中に駆け込んでから色々考えよう。そう思ったんだ。

 でも、その途中でふと。


『……クロにも、雨が降ること知らせておこうかな』


 クロにもヒゲがあるから、もしかしたらもう知ってるかもしれないけど。一応、ね。

 まっすぐお家に向かってた足を、ちょっとだけ横道にそれるほうに向け直して。いつもの路地裏目指して、普段よりもちょっとだけ早足で進む。寄り道のせいで雨に濡れるなんて、絶対イヤだもん。

 これから雨が降ることを知らないニンゲンたちが、ゆっくり歩いてる姿を横目で見ながら。その間を、ボクはスイスイ通り抜けてく。

 クロがいる場所って、どうしてもニンゲンの近くを通らなくちゃいけないから、お互い慣れちゃったのもあるんだろうけど。最初の頃はニンゲンが多すぎて、必死でこの場所通ってたなー。


『クロー。いるー?』


 初めてここまで歩いてきた時のことを思い出しながら、ようやくたどり着いたいつもの路地裏に入って、すぐクロの名前を呼ぶ。今日は急いでるから、探すよりもこっちのほうが早いしね。


『いるよー。どうしたの? ルシェがこんな時間に僕のところに来るなんて、珍しいね』


 返事がなければお家に帰ればいいやと思ってたけど、奥の暗闇と一体化してたクロがゆっくり現れたから、とりあえずボクの寄り道はムダじゃなくなった。よかった。


『夜には雨が降りそうだから、気をつけてねって言いにきたんだ』

『え! ありがとう!』


 ボクの答えを聞いて、クロの尻尾が嬉しそうにパタパタ揺れてた。

 そういえばボクたちネコと違って、クロたちイヌは嬉しい時に尻尾をめいっぱい振るんだって。そういうことを知らなくて、最初の頃はなんで不機嫌なんだろうって思ってたことを、ふと思い出したんだけど……。

 ボクさっきから、色々と昔のこと思い出してるよね。なんでだろ。


『そっか、夜かぁ。さすがに夜の間ずっと濡れてるのは、まだ寒いかな?』

『うん、だと思う』


 クロは基本的に、水に濡れるの平気なんだよね。むしろ雨の日とかは、積極的に濡れに行くこともあるみたいだし。ボクからすれば信じられないけどね、濡れるのが平気なんて。

 ボクはどんなに暑くても、水に濡れたいとは思わないんだけどさ。クロは割と暑い時期は、楽しそうに水の中に入ってくんだよね。

 でも、昼間はよくても夜にそれは、さすがにまだ早いんじゃないかな。クロの言う通り、夜ずっと濡れたままは寒いと思うしさ。それはもうちょっと、あったかくなってからにしないと。


『じゃあ、今日はどっかで雨宿りしなきゃ』

『ボクも、今日はもうお家に帰ることにするよ』

『そうだね。ルシェはそのほうがいいかも』


 ボクが水に濡れたくないことを知ってるクロは、そう言って頷いてくれた。同時に、珍しくボクの顔を舐めてくれて。


『教えてくれてありがとう、ルシェ。あと雨が止んだら、また僕のところにも遊びに来てくれたら嬉しいな』


 最近は手紙を運んでばっかで、クロのとこに来る回数が減ってたせいもあるのかもしれないけど。そんなふうに言ってくれて、ボクはすっごく嬉しかった。


『もちろんだよ! 今度は追いかけっこして遊ぼうね!』

『うん。楽しみにしてる』


 次の約束をしてからクロと別れたボクは、今度こそお家に帰ることにしたんだ。せっかくだから、今度はお土産でも持ってこようかな、なんて考えながら。

 相変わらず空気はジメジメしてきてるけど、来た時より気分はずっとよくなったから、やっぱり寄って正解だったな。



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