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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第四章 力を合わせて

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9.情報を集めに

 でもまさか、この直後に真実を知ることになるとは思ってなくて。


『ルシェー!』


 まずはどこから行こうかと、木から降りたボクが歩き出した瞬間。聞き慣れた声が上から降ってきた。

 ちょうどよかったと思って見上げた先で、そこにいたのはいつもの小鳥たち――の、片割れ。


『あれ? 珍しいね、どうしたの?』


 普段から必ずペアで行動するはずの彼女たちが、バラバラでいるとこなんて見たことなかったから。思わず疑問が先に出ちゃったけど。


『ワタシたち、すごいこと知っちゃったのー!』

『すごいことって?』

『とにかくついてきてー!』

『え? ちょっ……!』


 言いたいことだけ言って、焦ったように飛び立つ小鳥に導かれるまま、ボクもそのあとを追う。

 彼女の言う『すごいこと』がなんなのかは分からないし、それよりも今は戻ってこないフィリベルトの情報を集めに行かなきゃいけないんだけど。


(早すぎて、それを伝える時間もなかったよ!)


 とはいえ情報を集めるにしても、彼女たちの力が必要なことは間違いないから、とりあえず素直についていくんだけどね。

 でもホントに、すごいことってなんだろ? いつも一緒のはずの彼女たちがバラバラに行動してるってことは、相当大きな理由があるはずだし。


『あ、きたきたー! ルシェー!』


 上を見上げながら必死についてくボクの名前を呼んだのは、姿が見えなかったもう片方の小鳥。少し先にある木の枝先にとまって、小さな翼をめいっぱい広げて大きく羽ばたかせてた。


『どうしたの?』

『しー!』

『いいから聞いてみてー』


 木の根元から小鳥たちを見上げて話しかけたボクに、彼女たちは同時に首を振って。そのまま今いる枝から見える一番近い窓に目を向けたから、ボクも言われた通りそっちに視線を向ける。

 小鳥たちが止まってる木の枝も、そんなに高い位置じゃないから。音を拾うだけなら、ボクは彼女たちの隣に行く必要もないよね。

 そう思いながら、そっと耳をすませてみると。


「まだ見つからないのか!?」


 窓の向こう側の部屋の中で、ニンゲンたちが会話してる声が聞こえてきた。


「街道の先にある山道が、激しい大雨のせいで進めないとの報告が上がっております」

「では、殿下も同じように山の向こう側で足止めを?」

「それはまだ分かりませんが、少なくとも予定していた街道の宿泊地には到着していらっしゃらないようでした」


 ニンゲンの耳だと、窓の外側から会話は聞き取れないのかもしれないけど。ニンゲンよりもずっと耳のいいボクは、簡単に聞き取れちゃう。

 というか、ちょっと待って。


『でんか……って、フィリベルトのことを言ってるの?』


 それ以外にそんなふうに呼ばれてるニンゲンを知らないけど、あんまりにも早く目的の情報にたどり着けちゃったから、少しだけ信じられなくて思わず呟いちゃった。

 だって、ビアンカに頼まれたの、ついさっきだよ? それなのに、こんなに都合よくすぐに知れるものなの?

 そこまで口に出したわけじゃないけど、答えはすぐに小鳥たちが教えてくれたんだ。


『そうだよー!』

『フィリベルトが大変なのー!』

『ワタシたち、ルシェにフィリベルトが帰ってくる時期をすぐに教えてあげたくてー』

『それで、フィリベルトの話をしてる場所を見つけて、毎日様子見してたのー』


 実は、セレーナやビアンカが落ち込んじゃってるって話も、小鳥たちにしてたから。彼女たちなりに、気にしてくれてたみたい。

 でもまさか、それがこんなことに発展するなんて。きっと誰も予想してなかったと思う。


『捜索隊も出てるんだけど、雨で進めないんだってー』

『ワタシたちはそこまで飛べないけど、山のほうから来た子たちは、抜けるのが大変だったって言ってたのー』

『ってことは、もしかしたら山を越える途中で雨に降られちゃったかもしれないってこと?』

『そうかもー』

『迂回ルートを通ってたら、先に手紙で報告あるはずだもんねー』


 『ねー』と頷き合う小鳥たちは、ボクの知ってる中で一番の情報通。その彼女たちが、他の鳥たちにも話を聞いた上でそう判断してるってことは。


『どうしよう……』


 思ってた以上に、ホントの緊急事態なのかも。



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